第40話 Fight of God's child<後編>
「……って!シズク卑怯だよ!アアア……天照大神!?」
「私が言うのもなんだけど、あの『天照大神』がネットーゲーム廃人で重課金者なんて……。もうちょっと小物の神様じゃなの!?」
エルチェの言うことも一理ある。だが、シズクは彼女が『天照大神』だと判っていたようだ……!
「ねえ、シズク。何故私が『天照大神』だって思ったの?」
ミカはシズクに質問した。シズクは満面のドヤ顔で答える。
「賽銭箱で判ったのだよ!天野ミカ君!」
「さっきも言ったけど『伊勢神宮』でなくてここなの?」
「信仰だけで考えたら内宮の方が遙かに大きい」
「ぶっちゃけ、賽銭も伊勢神宮のが多いでしょ」
「天照大神の関係者かなとは思ってたけど……」
シズクは生々しい事を言い出した!
「ふむふむ、確かにシズクの言ってる事は的を射ている」
「正直言って、アマゾン便も伊勢神宮のが便利良いわね」
――ミカは深刻な表情を見せ、さらに語りだす。
「……だが、あそこは家賃が高い!」
「観光客が多すぎてガヤガヤしすぎだ。『朱い悪魔』がヤバい!」
「あんな化け物相手に商売しても勝てないわ!」
――ミカはパッと明るい表情を見せ、本宮大社の事を語りだす。
「それに比べてここは居心地が良いわ!」
「田舎でネットの光回線も速くて外は静かだし」
「さらにこのカフェの家賃も安いわ」
「お隣さんが『うどん屋』で『美味しいめはり寿司』を出してくれるわ」
「……何より、『熊野本宮大社』の巫女さんは可愛い!」
「あの特に……『日花梨』ちゃんは最高だわ!」
「死神のような悪魔じみた『危険な香り』がする巫女さんがいるわ」
――ミカは左手を上げた。
ミカの体がふんわりとした光に包まれる。
――ミカは上げた左手を光を払うかのように振り下ろした!
包んでいた光が振り払われるとミカはカジュアルな服装に変わっていた。
ミカの姿をみたエルチェは素直に驚き喜んでいる。
一方シズクはジト目をキメてミカにイヤミを言い放つ。
「……おい……信仰心<ライフポイント>をそういう為に使うんじゃない!」
「あらま……手厳しいねぇ……シズクは」
「私の立場からすれば、シズクも変わらないと思うけど?」
――ミカは神様っぽい説教をシズクに始めた。
「君が乗っているスーパーボールーだっけ?」
「ボルドールです!」
――本宮の光回線よ速いツッコミが入った!
「まあ……ボルチャンね」
「あのバイクもシズクの信者から巻き上げた金で買ったバイクでしょ?」
「だが、あのボルケーノを買ったことによってシズクのセカイが広がった」
「ボルドール!」
――シズクの怒りがボルケーノしそうだ……!
「はいはい……その金杯を手にしたことで、シズクの作品に厚みが増した」
「そして、また『新作の本』で信者たちの信仰心<印税>がさらに上がる」
「スノーボールのように膨れ上がって今や女子高生作家として名を轟かせている」
「その信仰心を使って『理想』を『現実』に引っ張り込んだ」
「今ここにエルチェ君が存在しているのはどう説明する?」
「少しは自覚した方がいい。君も大概神様っぽいことをやってのけているわ」
「まあ、信仰心の大きさこそ『神』としての『存在の糧』になるのよ」
「シズクは『糧』を世界中から『印税』と言う形で吸い上げている」
シズクはミカの説教に対して、失礼にも『ジト目』をキメて言い返す。
「……結果、『賽銭ドロボー』して『廃人プレイ』とは」
「シズク君!判っていないようだね!」
「今や『スマートフォン』と『ネット』の時代なんだよ!」
「『神プレイ』を魅せて、『遊Tube』で信者を集める時代なんだよ」
「その為の、重課金なのよ!」
「シズクの『ボルシチ君』と大差ないわ!」
シズクはスッと『スマートフォン』を出し何処かへ電話する。
「あ、もしもし?宮司さんですか?『賽銭ドロボー』が大体誰か……」
――『ツー・ツー・ツー』
シズクの電話の電波が途切れた……!
「あああ!判った判ったよ!ボルドールだね?」
シズクは三度ジト目をキメ……。
「天之尾羽張を早く貸して。あるんでしょ?」
「だから!無い物は無いって!」
「そもそも、ナキちゃんと契約してるなら……」
「ナキちゃんの力を借りたら良いんじゃないの?」
「『神の子』と喧嘩するのにその『親の剣』借りに来るって無茶苦茶じゃない」
「もうちょっと柔軟に解決するべきよ!」
シズクはミカの言い分にも一理あると思いアプローチを変える。
「じゃあ、ナキちゃんをこっちの世界に戻してあげる方法教えて」
シズクの要求に神妙な面持ちでミカは答える。
「……え?帰れなくなってるの?」
「……困った……いや……まああり得るか……」
「ナキはまだ未熟な存在……。だからかな?信仰が薄いのかもね」
「ナキにはもうちょっと今いる所で『ガンバレ』って事なんだろう」
シズクはやや暗い表情をし、ミカに質問する。
「それじゃあ、帰ってくる頃には時間が進んでいて家族とか心配するじゃない」
「この世界では『普通の女の子』なんだから」
「……それは『シズクのセカイでの話』であって、『ナキの物語』ではない」
「まあ、シズクが心配する事では無いわ。ナキが帰れないのは『ナキが帰りたくない』だけかもよ?ナキも神なんでしょ。なら、自身の力で何とかするわ」
「でも、彼女は未熟なのも事実。先代のナキサワメとは比にはならない」
「まあ、ナキが戻りたいと思ったら『転移前』の時間に戻れるんじゃない?」
「一応、私とナキは神道だからね」
「シズクとはちょっと違うのよ」
「まあ、私からのアドバイスするとしたら、『目的は果たしている』んだから、今回は『カグツチ』ちゃんは諦める事ね」
「そもそも、ナキちゃんと契約出来たのって奇跡に近いんだから」
「シズクがやろうとした事って、『営業マンがダメならその上の本部に文句言って解決してやろう!』的なノリだからね」
「もうちょっと『地盤』を固める事にすることね」
「私の言いたいことは、もうちょっと身の丈を成長させましょうって事ね」
シズクは『本』能的に察する。
これは天照大神からの警告だと。
今のシズクの能力では『カグツチ』との関係は進行しないと。
アローナで鍛冶士として成長しろと言うことだ。
――だが、ミッキー達をレリクス中枢に放置することになる。
助けに行かないといけない……!
シズクの軽い行動で3人を置き去りにしてきた。
罪の意識がシズクの心に生まれる。
だが、どうすることも出来ない……。
次にファバーダへ行く時には『数日』進んでいるはずだ。
悩むシズクの心情を知ったか知らぬかは不明だが、ミカはシズクに提案する。
「仕方ないな……私の可愛いシズクちゃんに助け船を出してあげよう」
「はっきり言ってロールプレイングとしてはチート行為だからね」
「『カグツチ』には私が話をつけてあげる」
「その代わり、バイト料13万円は徳政令カード切らせて貰うよ?」
シズクはバイト料が13万円分プールされていた事は気にならなかった。
むしろ『金』で解決出来るのが違和感を感じていた。
「それって、都合悪くなりましたからお金で解決しましょうって事?」
「……なんか……」
シズクは納得は行かない。
「そもそも、3人の命が13万円って……」
シズクは金額が高くても納得はいかないだろう。
「そう?私は容赦なく『vTunesカード』で課金するわ」
「ガチャは回した回数分強くなれるものよ!」
「……じゃあ、もう一つ要求するわ」
「っと言っても、勝手にしちゃうけど。それでいい?」
「私たちは友達だから、まあWIN-WINの関係ってやつよ」
――ミカの要求をシズクに同意することにした。
「ミカさんそれで何をすればいいの?」
どうも掴めないミカの要求に少し不安を感じる。
相手は身近な友達のミカではあるが、『神』だからだ。
「うんとね、まあ……これから私がする事に協力的にしてくれればいい」
「それでいい?……まあ、ご近所付き合いみたいなものね」「まあ私程になると色々できるもんよ?」
要約すると『友達同士仲良くしよう』ということだ。
何でも出来るが、『ガチャ』の確率だけは操作できないようだ……!
「わかった。……なんか雲の上の話みたいにフワッフワしてるけど」
その後、シズク達は夕方まで『あまりお客が来ないカフェ』を手伝った。
明日の放課後にファバーダへシズクは行くことにした。
ミカ曰く問題は解決しているはずだ……と。





