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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
港街アローナ・ビルド編<街灯ビルド>
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第42話 街灯の完成と街の成長<中編>

 シズクとエルチェ達がラパンからギルドに向かう途中、メイン通りにある噴水前に『みすぼらしい姿』の女が噴水に腰掛けていた。


 ボロ着に飢えたような格好では無く……。


 シズクは『その女』を少し距離を置き『ジト目』で観察する――。

「エルチェ……あの……女は……」

 エルチェも『その女』を少し距離を置き『ジト目』で観察する――。

「……あれは間違いなく……ミカね……」


 ジャージー姿でボサボサヘアーで座る大野ミカがいた。


「威厳も何も無いわね……エルチェ君、あれは関わる大変な事になる兆候だね」


「シズク、そっと通り過ぎよう……間違いなく関わると『金運』が逃げる感じがするわ」

 シズクとエルチェはミカをスルーして噴水の反対側にあるギルドへ向かう……!


 運の悪いことに、対照的に『街からの信頼も厚く、羽振りが良さそうな娘』が『ワッフル』をほおばりながらギルドに向かってミカが座る噴水の近くを歩いていった……!

 娘はシズク達より少し若めの女性冒険者を数名引き連れ『ガールズトーク』をしながら歩いている。


 ミカの目の前を通った瞬間……!

 羽振りの良い娘『沢村 ナキ』12歳の手を掴んだ!


「お、お願いします!私に『vTunes』カードをお分け下さい……!」

「あ!ついでに『ワッフル』も頂けませんか?」

 ――異世界でもブレないミカであった!

 異世界で重課金勢の末路を観た!


「ミカさん!働かざる者食うべからずです!!」

 戒めるナキである。


「……お、お仕事……ウッ頭痛が!?」

 ファバーダと地球時間では相当なズレはあるのは判っていたが、『多分一週間』も経過していないだろうが……既に自宅警備員マスターのミカが噴水でゴネている!


 驚いたのは、既にナキとミカが知り合いのようだ……!


「ミカさん!貴方の評判……はっきり言わせてアローナの害虫です!」

「このとても綺麗な噴水前でグダグダしないで下さい!」


「ええー働くのヤだよ!……まだ朝じゃん!」

 泣きつくミカの手を振りほどき、ナキはさらに戒める!

「私たちが食べてる『ワッフル』は日の出から街の測量を手伝って貰った『お礼』としてバニラさんから貰った物です!」

「この街の皆さんは、アローナのために尽くす者に対して最大限の感謝を頂ける温かい街なんです!」


「それは判るけどさー……一昨日来たときはみんな心配してくれてよー」

 たった3日でニート生活が破綻しかけているミカだった……!


「……聞きましたよ!曲がった角の『青果店の まりひめ』さんが、何も手伝わないでお店のフルーツ食べてるだけだったって!」


 シズク達はナキとミカのやり取りを観察していると騒ぎを聞きつけたミッキーが『噴水前通りにあるギルド』から出てきた。


「お?嬢ちゃんお金に困ってるのかい?」

 当然ギルドは仕事の斡旋もする。正しい街の機能だ。


「……いえ、働きたくないでござる!ゴロゴロしてたいよ!」

 ――ミカはゴネた。

 ミカで務まるのは自宅警備と『ネット界の神』位だ。

 現在、ミカは新天地を求め『課金を繰り返している』ネット神か?


「まあまあ、そう言いなさんな。丁度可愛いお嬢ちゃん向きのいいバイトがあるんだよ。ほらそこの路地あるだろ?」

「ちょっと奥まった所にあるPUBの2階にリラクゼーションの店がある」


 ――シズクとエルチェはミッキを疑いの目で見つめる……!


「その個室で寝っ転がってちょこーーーっと股を広げるだけでザックザックお金もらるんだよ?」


 ミカは目を輝かせて――!


「何それいいじゃん!やるやる!」


 ――シズクとエルチェは音速でユニゾンをした!


「天誅!!」

 シズクはミッキーを全力で蹴飛ばした!


「――グホッ!!」

 宙を舞うミッキー!

 飛ばされたミッキは、ギルドのドアを突き破った!

 そして盛大な音を立てギルドの奥に突き刺さっている!


「……てか、何でここに居るのです?ミカさん」

 

「シズク!!会いたかったよ!」

「って!良い仕事紹介してくれそうだったのに!!」


 偉大なる神が地に堕ちる様をこれ以上見過ごすわけには行かない。


「……ミカさん……確かにゴールドは稼げますが……」

 12歳のナキが居る手前、ミカに小声で内容を説明する。


「……」

 ――冷や汗を流すミカ。

「あのネズミ!『ぶっコロ』してやんよ!」


 シズクは鼻息を荒くするミカを足払いで『すっ転ばした!』。


「ミカさん……自業自得でしょ!何しにここに来たんですか!」


 スッと立ち上がりミカは語り出した……?

「よくぞ聞いてくれましたシズク君!」

 ――ジト目を決めるシズク。とりあえず、黙って犯人の言い訳を聞く事に。

「昨日シズク達から別れたあと、一応約束だからカグツチに話を付けに行こうと思った訳よ」

「それで、竃山神社まで行こうと思って……」

「バス代を『第三殿』からちょーっとお借りしようとしたら……」


 ――シズクはジト目と冷や汗を流し、ミカの話を黙って聞く。


「そしたらさ、酷いのよ!結界張ってたのよ!!賽銭箱に!巫女さんがよ!?」

死神・・のような、あの日花梨ヒカリちゃんよ!」

「……あれはヤバかったわ……宗教の壁を越えていたわ……」

「間違いなく、あの鎌は『カタストロフィ』だったわ!」

「危うく私の『左手』を解放するところだった……!」


 ――シズクは厨二病をこじらせる神の言い訳を『とりあえず』聞く!


「それで、ここに戦略的撤退をしてきたわけよ」


 シズクはミカの行動に一言……。

「……熊野くまのプーニートさんと命名してさしあげよう」

「すぐ帰れ!今すぐ帰って、巫女さんに謝ってきなさい!」

「結局、なにもしてないじゃないですか!バニラさん達にも……」

「……彼奴らに慈悲を与える必要が無い事は判った……」


「ありゃ?カグツチちゃん所から無事帰って来られたのね?」

「……おかしいわ……」

 ――ミカは少し考え込んだ……。

「それじゃあ私は……シズクちゃんの工房でお世話になって良いかな?」


 新たなる引きこもり先を探し始めた……!


「直ぐに本宮大社に帰って、巫女さん謝ってください!」


「……うんもー判ったわよ!帰ればいいんでしょ!」

 ――ミカは左手を上げた。

 ミカの体がふんわりとした光に包まれる。

 ――ミカは上げた左手を光を払うかのように振り下ろした!

 振り下ろした瞬間、ミカの姿は消えていた……!


 ミカの姿を見たナキが驚く!

「シズクさん!……転移?しましたよね!?」


「ええ、自分の家に戻ったはず……彼女も一応ナキちゃん一緒で『神』の末裔まつえいになる意外と偉大な方なんですけど……素行に関しては……ナキちゃんの爪の垢を煎じてがぶ飲みさせる必要があるわ……」

 今やネット界の神を目指す『左手に魔を内包する太陽の御方おかた』だ!

 私利私欲の為に『信仰心』を悪用する堕落ぷりだ。

「……彼女はいつか報いを受ける日が……この後帰ってから裁きを受けるはずよ」

「受けなければ、私が通報しておきます……」


 ……賽銭泥棒に鉄槌を!

 シズクの予想ではミカがまたファバーダに逃げ込んでくると予想してる。

 ナキも転移する方法を、多少の荒事を伴ってもミカから聞きこうとシズクは思った。


「あ、話が飛んじゃいますが、これからミッキーさんに預けている『火のスフィア』回収したら、早速『街灯に属性付与』しますね」

「ほんと、ナキちゃん頑張ってくれてるね。私たちが火のスフィア回収に行ってる間に設置してくれたんだね?」


 シズク達が火のレリクスに行ってる間にナキ達は『街灯』の設置作業を終えた。

 ナキは『街道のレンガ敷き』から『街灯の設置』まで3ヶ月程でやってのけた。

 献身的に街に貢献するナキの行動に……。

 街全体がナキを愛してくれているようだ……!


 シズクとエルチェはナキと別れ、ギルドで埋もれている『ミッキーから火のスフィア』を回収した。


 シズクとエルチェは街灯へ『火のスフィア』を仕込む作業を開始する。

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