第24話 エルチェの気持ちシズクの武器
エルチェはシズクに獲得して欲しい知識がある。
だが、ファバーダには無い技術なのは判った。
「シズクに呼び出して欲しい本は……」
「シズクに持って欲しい武具を作るための本です」
エルチェはシズクに所持して欲しい『装備』のイメージがあるようだ。
ファバーダで今後の活動して行くには、アルハンブラで行った『レリクス』のような場所へ冒険に行くことがあるだろう。
エルチェは100年ファバーダで生活をしている先輩だ。
「エルチェは……私にどんな武器が相応しいと思うの?」
「ファバーダストーリーに載ってた武器は私には扱えないって事かな?」
つい最近まで『ただの女子高生』だったシズクの戦闘力は『町娘A』程度だ。
ただ、『鍛冶士』としての才能は相当高い事は、『浄水釜の再付与』で証明されている。
エルチェには『町娘A』の戦闘力をカバーできる案があるようだ。
「シズクには……」
「マスケットの構造を記述された『銃の本』を召喚して欲しいのです」
「マスケット……マスケット……って、あの魔法少女が使っていたの?」
「うーん、私は『デザートイーグル』2丁持ちとかの方が良いなぁ……」
シズクはファンタジー溢れる『ファバーダ』で、マグナム弾を『ぶっ放す』つもりだ!
「でもエルチェ。この世界なら『スフィアと魔法』を使った武器の方が強力だと思うけど?」
ファバーダ・アストゥリアーナには、『銃』が無かった。遠距離攻撃は『魔法』がある。
『弓』も存在しているが、スフィアと精神を使った強力な攻撃が出来る。
特に、フィーナがレリクスで使っていた魔法は強力だった。
「私が100年間で得た知識と経験からすると……シズクは魔法も剣も弓も……無理だよ」
「シズクは精神はとても高いけど、技術が追いつかないかな」
「今から魔法や剣を勉強・訓練して、レリクスで足を引っ張らないまでに成長出来る?」
17歳の女子高生には無理なことだ。どちらかと言えば、運動音痴である。
シズクはエルチェの指摘に対し、納得をしていた。
『本』に関しては自信を持って自慢できるが……。
シズクはキリッとした表情で、自信満々でエルチェに答えた。
「当然!ムリ!」
ギュッと握り拳を作り、自慢げに答えた!
「コホン……シズクと私が銃の方向性が違ってるけど、シズクの武器は『銃』で良い?」
「うん、銃で!絶対に2丁拳銃でお願い!」
シズクは2丁拳銃を堅くなに突き通す。
職人の拘りから来る……ただの趣味だ。
「マスケットにする理由は、この世界観を壊さない為なんだけど」
「シズクがどうしてもと言うなら、デザートイーグルにするわ」
「エルチェ、銃って重くて反動があるし、私に撃てる?」
シズクの細腕では、剣すら振るのが難しいステータスだ。
「でもでも、ちゃんとブローバックはしてね!」
……しかし、要求は一人前だった。
「それは大丈夫。シズクの鍛冶士としての『加護』次第だから」
「シズクなら出来る……」
「シズクはアルハンブラの『浄水釜の再付与』で2属性付与出来たでしょ?」
「その応用で、銃の本体に『風』、装填する所には『属性付加しない』で欲しいの」
「うーん、正確には属性付加しない銃を作るんだけど、それだとシズクは重くて」
「軽量化と扱いやすくする為に、『風の加護』を付けるの」
「シズクも感じていると思うけど、『ファバーダ』に銃という武器はないわ」
「私の100年の研究で得た知識でも未完成なんだ」
シズクはエルチェが実現したい武器『銃』について考察する事にした。
銃の構造自体は、『学校の図書館』から本を召喚すれいいが……。
普通に銃を作るだけなら『自分の世界』から『モデルガン』を持ってくればいい。
……しかし『スフィア』や『精神』を活用した武器ではなく、ただの物理攻撃になる。
シズクは『銃』を作る事自体は難しくないと考えてる。
――例えば、『エアーガン』をファバーダに持って来る。
――『属性を付与』すればどうなるだろう?
……殺傷能力がイマイチな『属性付加されたプラスチックの玉』が発射されるだけだ。
浄水釜での戦闘から『属性付加による恩恵』について考える。
剣に関しては『属性特効』が乗り『ダメージ上昇効果(大)』となる。
弓に関しても同様だ。
魔法に関してはどうだろう?
フィーナは『火と光』の魔法を使っていた。
――杖に属性は無いのか……?
「あのう……フィーナさん?」
「どうしました?どうしました?エルチェさんの『ジュー?』ですか?」
「製作するうえで何か判らないことありました?」
フィーナも『銃』に関しては判らない。ファバーダに存在しないので当然だ。
「いえ、浄水釜で魔法を使った時なのですが、杖を使って『魔法を発動』してました」
「でも杖自体の属性って付与が無かったように感じたので」
フィーナは『火』『水』『光』の属性魔法を使用していた。
具体的には『火炎放射』『回復魔法』『光の矢』だった。
賢者の加護は『光』属性だった気がした。
「そうですね……魔法は、その属性の呪文を唱える事で発動する能力です」
「もちろん剣と同じく、火の加護を受けた杖は『火の特効』が付き、より強大な力を『引き出せます』ここで問題になるのが、『引き出せる=精神力が多く必要』となり、大魔法を使用するには優位です」
「消費する精神力は使う魔法と『等価交換』なのです」
「よって、大火力を発動するために、『火の特効』の付いた杖や『魔法具』を使用すると、大容量の精神力を消耗されてしまいます」
「逆に反属性の魔法を使用すると、『同じ火力を出すには二倍の精神力』を消耗します」
「もちろん、武具も同じです。先日作った『フライパン』の加護が『大きい』とその分使用する精神も『比例して消耗』されてします」
「だから、道具は『程よい加護』の力でないと使い所が難しくなると言うわけです」
「私が魔法を使った時は、『賢者の加護・光』の証を装備していたのです」
「光側の属性魔法を中心に私は使っていますので」
シズクは『この世界の属性相関図』を思い出した。
少し特殊……とまでは言わないが、『光・闇』属性が上位属性だ。
『火・水・土・風』は下位属性となる。
『光の火・水・土・風』があり、『闇の火・水・土・風』がある。
この世界の『時間』の単位も『属性』によって語られる。
――ファバーダ・アストゥリアーナは、『属性』が最優先する世界。
職人の加護を受けない状態でフライパンを合成した時も『僅かながら付与』された。
この世界で作られたアイテムは『必ず属性が付く』。
『無属性』が存在しない世界――。
シズクは『無属性』の合成を成功する事は……。
この世界で『ゼロ』を発見すると同義だと理解した。
シズクは『本』脳的に、『判らない事があったら調べ尽す』タイプだ。
シズクの鍛冶士としての『目標』が『明確』に決まった。
……っと思ったが、大どんでん返しが『本』脳的にピンッっときた。
――シズクの世界……『アース側』のアイテムはどうなる?
シズクの着ている服は『無属性』のはずだ!
――その逆もどうなる?
属性の加護を受けた、エルチェの着ている『シルフィード・パーカー(仮)』は?
自分の世界に帰ると、『ハイジャンプ』とか『100m走8秒』実現出来るのでは!?
エルチェは『ジトと目』でシズクに……。
「シズク……シルフィード・パーカー着て体育の授業受けたらダメだよ」
「な、何で判ったの!?」
――ドールと『主』は一心同体である!
「……シズク……顔に出てる……まあ、主の考えは伝わるからってのもあるけど」
シズクは『ポーカーフェイス』は無理な女子だ。
シズクはふと思った。
エルチェの考えが伝わって来ない……。
「エルチェ!エルチェの考えていることが私には伝わって来ないよ!」
不合理である!
理不尽である!
――『どう?私の想い聞こえる?』
「な、な、な!テレパシーが!?」
頭に直接系なのか!?
――『シズクも私に想ってみて』
……。
――『エルチェのパンツ何色?』
ドールオーナーとしてパンツ確認は義務だ!
――『ドールオーナーって、絶対パンツ確認するよね!あれってどうか思うけど!』
「おおおおお!これって!距離とか時空とか超えたり出来るのかな!?」
「アースに戻って試してみたら?」
「私は、シズクの声……想い……いつも聞こえていたよ」
――帰りたい!自分の世界へ!
――帰って色々試したい!
シズクは自分の世界へ帰る事にした。
「フィーナさん、一度自分の世界へ帰還します」
「あら?ではまた明日ですね!」
「昨日と今日はお疲れさまでした」
「……また必ず来てくださいね!」
「あと……転移出来ることは……『私以外に知られないでくださいね?』」
シズクはフィーナの忠告が……気になった。
確か……フィーナは『ファバーダ』には異世界からの転移者が存在すると言ってた。
確か……『ナキサワメ』も異世界の『神』だと本人が言っていた……。
シズクは異世界から来たことを……フィーナとナキサワメ以外には……。
話していなかった……?
シズク自身が……判断し言わなかった?
――何かが引っかかる……。
シズクは……。
右手を前に出し……想う……。
「ファバーダ・ストーリー!」
――本を召喚は出来た!
――シズクは背中に『悪寒』を感じる――。
――シズクは恐怖を感じる――。
――帰れなくなる……『恐怖』……。
最終ページを開き……。
そっと目を閉じる……。
……本を閉じ……。
……目を開ける……。
夕暮れの日差しで色付いている『高校の図書館』に戻っていた。
……シズクは『どっと冷や汗をかいた……』
制服のブラウスが透けて下着に貼り付く程に――。





