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本の世界の鍛冶士 柊シズクの物語  作者: 川崎タイチ
アルハンブラ浄水釜 再付与(うちなおし)編
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24/120

第24話 エルチェの気持ちシズクの武器

 エルチェはシズクに獲得して欲しい知識がある。

 だが、ファバーダには無い技術なのは判った。


「シズクに呼び出して欲しい本は……」

「シズクに持って欲しい武具を作るための本です」


 エルチェはシズクに所持して欲しい『装備』のイメージがあるようだ。

 ファバーダで今後の活動して行くには、アルハンブラで行った『レリクス』のような場所へ冒険に行くことがあるだろう。

 エルチェは100年ファバーダで生活をしている先輩だ。


「エルチェは……私にどんな武器が相応しいと思うの?」

「ファバーダストーリーに載ってた武器は私には扱えないって事かな?」


 つい最近まで『ただの女子高生』だったシズクの戦闘力は『町娘A』程度だ。

 ただ、『鍛冶士』としての才能は相当高い事は、『浄水釜の再付与』で証明されている。

 エルチェには『町娘A』の戦闘力をカバーできる案があるようだ。


「シズクには……」

「マスケットの構造を記述された『銃の本』を召喚して欲しいのです」


「マスケット……マスケット……って、あの魔法少女が使っていたの?」

「うーん、私は『デザートイーグル』2丁持ちとかの方が良いなぁ……」


 シズクはファンタジー溢れる『ファバーダ』で、マグナム弾を『ぶっ放す』つもりだ!


「でもエルチェ。この世界なら『スフィアと魔法』を使った武器の方が強力だと思うけど?」

 ファバーダ・アストゥリアーナには、『銃』が無かった。遠距離攻撃は『魔法』がある。

 『弓』も存在しているが、スフィアと精神を使った強力な攻撃が出来る。

 特に、フィーナがレリクスで使っていた魔法は強力だった。


「私が100年間で得た知識と経験からすると……シズクは魔法も剣も弓も……無理だよ」

「シズクは精神はとても高いけど、技術が追いつかないかな」

「今から魔法や剣を勉強・訓練して、レリクスで足を引っ張らないまでに成長出来る?」


 17歳の女子高生には無理なことだ。どちらかと言えば、運動音痴である。

 シズクはエルチェの指摘に対し、納得をしていた。

 『本』に関しては自信を持って自慢できるが……。



 シズクはキリッとした表情で、自信満々でエルチェに答えた。


「当然!ムリ!」


 ギュッと握り拳を作り、自慢げに答えた!


「コホン……シズクと私が銃の方向性が違ってるけど、シズクの武器は『銃』で良い?」

「うん、銃で!絶対に2丁拳銃でお願い!」

 シズクは2丁拳銃を堅くなに突き通す。

 職人の拘りから来る……ただの趣味だ。



「マスケットにする理由は、この世界観を壊さない為なんだけど」

「シズクがどうしてもと言うなら、デザートイーグルにするわ」


「エルチェ、銃って重くて反動があるし、私に撃てる?」

 シズクの細腕では、剣すら振るのが難しいステータスだ。

「でもでも、ちゃんとブローバックはしてね!」

 ……しかし、要求は一人前だった。


「それは大丈夫。シズクの鍛冶士としての『加護』次第だから」

「シズクなら出来る……」

「シズクはアルハンブラの『浄水釜の再付与うちなおし』で2属性付与出来たでしょ?」

「その応用で、銃の本体に『風』、装填する所には『属性付加しない』で欲しいの」

「うーん、正確には属性付加しない銃を作るんだけど、それだとシズクは重くて」

「軽量化と扱いやすくする為に、『風の加護』を付けるの」

「シズクも感じていると思うけど、『ファバーダ』に銃という武器はないわ」

「私の100年の研究で得た知識でも未完成なんだ」


 シズクはエルチェが実現したい武器『銃』について考察する事にした。


 銃の構造自体は、『学校の図書館』から本を召喚すれいいが……。

 普通に銃を作るだけなら『自分の世界』から『モデルガン』を持ってくればいい。


 ……しかし『スフィア』や『精神』を活用した武器ではなく、ただの物理攻撃になる。

 シズクは『銃』を作る事自体は難しくないと考えてる。


 ――例えば、『エアーガン』をファバーダに持って来る。

 ――『属性を付与』すればどうなるだろう?


 ……殺傷能力がイマイチな『属性付加されたプラスチックの玉』が発射されるだけだ。

 浄水釜での戦闘から『属性付加による恩恵』について考える。


 剣に関しては『属性特効』が乗り『ダメージ上昇効果(大)』となる。

 弓に関しても同様だ。


 魔法に関してはどうだろう?

 フィーナは『火と光』の魔法を使っていた。


 ――杖に属性は無いのか……?


「あのう……フィーナさん?」


「どうしました?どうしました?エルチェさんの『ジュー?』ですか?」

「製作するうえで何か判らないことありました?」


 フィーナも『銃』に関しては判らない。ファバーダに存在しないので当然だ。


「いえ、浄水釜で魔法を使った時なのですが、杖を使って『魔法を発動』してました」

「でも杖自体の属性って付与が無かったように感じたので」


 フィーナは『火』『水』『光』の属性魔法を使用していた。

 具体的には『火炎放射』『回復魔法』『光の矢』だった。


 賢者の加護は『光』属性だった気がした。


「そうですね……魔法は、その属性の呪文を唱える事で発動する能力です」

「もちろん剣と同じく、火の加護を受けた杖は『火の特効』が付き、より強大な力を『引き出せます』ここで問題になるのが、『引き出せる=精神力が多く必要』となり、大魔法を使用するには優位です」

「消費する精神力は使う魔法と『等価交換』なのです」

「よって、大火力を発動するために、『火の特効』の付いた杖や『魔法具』を使用すると、大容量の精神力を消耗されてしまいます」

「逆に反属性の魔法を使用すると、『同じ火力を出すには二倍の精神力』を消耗します」

「もちろん、武具も同じです。先日作った『フライパン』の加護が『大きい』とその分使用する精神も『比例して消耗』されてします」

「だから、道具は『程よい加護』の力でないと使い所が難しくなると言うわけです」


「私が魔法を使った時は、『賢者の加護・光』の証を装備していたのです」

「光側の属性魔法を中心に私は使っていますので」


 シズクは『この世界の属性相関図』を思い出した。

 少し特殊……とまでは言わないが、『光・闇』属性が上位属性だ。

 『火・水・土・風』は下位属性となる。

 『光の火・水・土・風』があり、『闇の火・水・土・風』がある。


 この世界の『時間』の単位も『属性』によって語られる。


 ――ファバーダ・アストゥリアーナは、『属性』が最優先する世界。


 職人の加護を受けない状態でフライパンを合成した時も『僅かながら付与』された。

 この世界で作られたアイテムは『必ず属性が付く』。


 『無属性』が存在しない世界――。


 シズクは『無属性』の合成を成功する事は……。

 この世界で『ゼロ』を発見すると同義だと理解した。


 シズクは『本』脳的に、『判らない事があったら調べ尽す』タイプだ。

 シズクの鍛冶士としての『目標』が『明確』に決まった。


 ……っと思ったが、大どんでん返しが『本』脳的にピンッっときた。


 ――シズクの世界……『アース側』のアイテムはどうなる?


 シズクの着ている服は『無属性』のはずだ!


 ――その逆もどうなる?

 属性の加護を受けた、エルチェの着ている『シルフィード・パーカー(仮)』は?

 自分の世界に帰ると、『ハイジャンプ』とか『100m走8秒』実現出来るのでは!?

 エルチェは『ジトと目』でシズクに……。


「シズク……シルフィード・パーカー着て体育の授業受けたらダメだよ」


「な、何で判ったの!?」


 ――ドールと『主』は一心同体である!


「……シズク……顔に出てる……まあ、主の考えは伝わるからってのもあるけど」


 シズクは『ポーカーフェイス』は無理な女子だ。


 シズクはふと思った。

 エルチェの考えが伝わって来ない……。


「エルチェ!エルチェの考えていることが私には伝わって来ないよ!」


 不合理である!

 理不尽である!


 ――『どう?私の想い聞こえる?』

「な、な、な!テレパシーが!?」

 頭に直接系なのか!?

 ――『シズクも私に想ってみて』


 ……。


 ――『エルチェのパンツ何色?』

 ドールオーナーとしてパンツ確認は義務だ!


 ――『ドールオーナーって、絶対パンツ確認するよね!あれってどうか思うけど!』


「おおおおお!これって!距離とか時空とか超えたり出来るのかな!?」

「アースに戻って試してみたら?」


「私は、シズクの声……想い……いつも聞こえていたよ」


 ――帰りたい!自分の世界へ!

 ――帰って色々試したい!


 シズクは自分の世界へ帰る事にした。


「フィーナさん、一度自分の世界へ帰還します」


「あら?ではまた明日ですね!」

「昨日と今日はお疲れさまでした」

「……また必ず来てくださいね!」


「あと……転移出来ることは……『私以外に知られない・・・・・・・・・でくださいね?』」


 シズクはフィーナの忠告が……気になった。


 確か……フィーナは『ファバーダ』には異世界からの転移者が存在すると言ってた。

 確か……『ナキサワメ』も異世界の『神』だと本人が言っていた……。


 シズクは異世界から来たことを……フィーナとナキサワメ以外には……。


 話していなかった……?


 シズク自身が……判断し言わなかった?



 ――何かが引っかかる……。


 シズクは……。


 右手を前に出し……想う……。

「ファバーダ・ストーリー!」


 ――本を召喚は出来た!


 ――シズクは背中に『悪寒』を感じる――。


 ――シズクは恐怖を感じる――。


 ――帰れなくなる……『恐怖』……。


 最終ページを開き……。


 そっと目を閉じる……。


 ……本を閉じ……。


 ……目を開ける……。


 夕暮れの日差しで色付いている『高校の図書館』に戻っていた。


 ……シズクは『どっと冷や汗をかいた……』


 制服のブラウスが透けて下着に貼り付く程に――。

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