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第三話:歌う臓器

#肉の聖骸 #イヤミス #サイコホラー #なろう #グロ注意 #精神崩壊 #閲覧注意 #アンチ異世界

昨日の家族の「心臓」は、瓶の中で静かに拍動を止めた。だが、俺の指先にはまだあの生暖かい拒絶の感触が残っている。


今日の現場は、大宮にある廃校寸前の音楽専門学校だ。

防音室の重い扉を開けた瞬間、俺を待っていたのは悪臭ではなく、奇妙な「音」だった。

シュウ、シュウ、と空気が漏れるような、湿った音。


「……これはまた、随分と手の込んだ『調律』だな」


防音室の中央。グランドピアノの上に、一人の女子学生が「展示」されていた。

いや、ただの死体ではない。彼女の腹部は美しく切り開かれ、そこから引き出された腸がピアノの弦に複雑に絡みついている。肺にはプラスチック製の管が差し込まれ、窓から吹き込む風がその管を通るたびに、彼女の喉から笛のような音が漏れていた。


死体を楽器に作り替えた犯人の、歪んだ芸術的執着。


「江戸、もういいだろ……。警察だってさっさと検視を終わらせたがってた。こんなの、ただのキチガイの仕業だ」

先輩が震える声で言う。


俺は無視して、彼女の喉から漏れる「歌」に耳を澄ませた。

「キチガイ? 違うな。これは、この腐った街で唯一、純粋な『声』だよ」


俺は彼女の横に座り、腸が絡みついたピアノの鍵盤を一つ叩いた。

ド――。

彼女の腹部が微かに震え、肺に残った最後の空気が「ヒュウ」と音を立てる。美しい。


「なろうの読者諸君。君たちの好きな『音楽の魔法』や『癒やしの歌』は、一体どこにある? 愛や希望を歌うその喉も、開いてみればただの肉の管だ。この少女の叫びを、君たちはノイズとして切り捨てるのか?」


俺はポケットからカッターナイフを取り出した。

掃除を始める前に、彼女の「声帯」を少しだけ調整してやりたくなった。

ピンセットで喉の奥を広げ、神経を一本ずつ弾いてみる。


「……ああ、この音だ。君たちが異世界で夢見る女神の歌声よりも、ずっと魂に響くだろう?」


俺は彼女の喉から切り取った「声帯」の一部を、大切に小瓶に収めた。

今日の報酬は、この『旋律』だ。


掃除が終わる頃、防音室は不気味なほど静まり返っていた。

俺の耳には、今も彼女の肉が奏でた、あの絶望の和音がリピートされ続けている。


「さあ、次はどんな『音』が、俺を悦ばせてくれるかな?」


これはただの文字の羅列に過ぎない。だが、あの古い音楽学校の空気は、あまりにも生々しくそこに在った。……この暗い旅路へようこそ。君の胃袋が最後まで耐えられることを祈っているよ。

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