第二話:家族心中という名のオブジェ
#肉の聖骸 #イヤミス #サイコホラー #なろう #グロ注意 #精神崩壊 #閲覧注意 #アンチ異世界
昨夜の眼球は、胃の中で不快な重みとなって残っている。だが、それがいい。死者を体内に収めているという実感が、俺をこの退屈な世界に繋ぎ止めてくれる。
今日の現場は、越谷の高級住宅街にある一軒家だ。
外観は美しいが、中に入ればそこは地獄の釜の底だった。真夏の猛暑で、一家四人の遺体はリビングのソファで「一つ」に溶け合っていた。
「……ほう、これは素晴らしい」
俺は防護マスクの中で、歓喜に震える吐息を漏らした。
父親、母親、そして小学生くらいの兄妹。彼らは手首を切り、互いの血を混ぜ合わせるように抱き合って死んでいた。腐敗が進み、皮膚が剥がれ落ち、四人の肉が熱でドロドロに溶けて、まるで巨大な肉の彫刻のようになっている。
俺の仕事仲間はトイレで吐いている。情けない。「おい、江戸……よくそんなもんを平気な顔で見てられるな」
俺は返事もせず、バケツと洗剤を用意した。
俺が掃除したいのは汚れじゃない。この「完成された美」を邪魔する、ハエや蛆虫どもだ。
「異世界に行って、家族みんなで幸せに暮らす? そんな妄想を抱いて死んだのか、それとも絶望の果てにこれを選んだのか」
俺は溶けた母親の腕から、ポロリと取れた結婚指指輪を拾い上げた。指の肉がついたままだ。
「なろう読者諸君。君たちが大好きな『家族の絆』の成れの果てがこれだ。血の色が混ざり、脂が溶け合い、最後には区別もつかない汚物になる。君たちの理想とするハッピーエンドなんて、この腐敗臭の前では何の価値もない」
俺は掃除の手を止め、溶けた肉の隙間に手を突っ込んだ。
指先に触れる、ぬるりとした内臓の感触。まだ熱を持っている。
俺はそこから、小さな、子供のものと思われる「心臓」の残骸を引きずり出した。
「これだ……これが、この家で一番正直な言葉だ」
俺はそれを口にはせず、持参した新しい瓶の中に丁寧に収めた。
今日の「報酬」は、これだけで十分だ。
床を磨きながら、俺は鼻歌を歌う。
明日になれば、この家の惨劇はニュースで数秒流れて忘れられる。
だが、この心臓の感触は、俺の指先に、そして俺の歪んだ魂に永遠に刻まれる。
「さて……次は誰が、俺に『肉』を捧げてくれるのかな?」
異世界のぬるま湯に浸かっている君たちには、この肉の熱さは耐えられないだろう。……吐いてもいいんだよ。それが君たちがまだ『生肉』である証拠だからね。




