第一話:瓶の中の蒐集品
#肉の聖骸 #イヤミス #サイコホラー #なろう #グロ注意 #精神崩壊 #閲覧注意 #アンチ異世界
仕事から戻り、俺は六畳一間のアパートの床に座り込む。
部屋にはエアコンなどない。熱気が淀み、壁紙の裏でカビが繁殖する音が聞こえてきそうだ。俺は防護服を脱ぎ捨て、今日「採集」したポリ袋を机の上に置いた。
袋の中から取り出したのは、赤黒く変色し、脂身が黄色く浮き上がった指の先端だ。
「……お前、前の持ち主はろくな人間じゃなかったみたいだな」
俺はそれを、棚に並んだホルマリン漬けの瓶の一つに放り込んだ。
瓶の中には、眼球、耳たぶ、そして名もなき臓器の断片が、まるで深海魚のように不気味に浮かんでいる。これこそが、俺の「本当の家族」だ。
俺はふと、隣の部屋から聞こえてくるテレビの音に耳を澄ませた。
アニメの主題歌。また、無能な主人公が異世界に飛ばされて、可愛い女を連れ回している物語だろう。
「虫酸が走る」
俺は独り言を吐き捨てた。
あの異世界転生とかいうゴミを好んで読む低能どもは、一度でいいから俺の仕事を手伝えばいい。
魔法で傷が治る? 愛の力で奇跡が起きる?
笑わせるな。
現実の肉体は、死ねばただの腐ったタンパク質の塊だ。腸の内容物が漏れ出し、蛆虫が眼窩を埋め尽くし、鼻を突くアンモニア臭が魂の最期を告げる。それが「人間」という物質の終着点だ。
俺はピンセットで瓶の中の肉片を突いた。
「なあ、見てるか? なろうの読者諸君。君たちが夢見ているチート能力なんてものは、この腐敗した脂身の前では無力だ。君たちが死んだとき、君たちの『ステータス画面』は、ハエの餌になるだけなんだよ」
俺は、瓶の中から一つ、一番新しい眼球を取り出し、口に含んだ。
噛み潰すと、苦い液体と鉄の味が喉を焼く。
「……まずいな。強欲な奴の味だ」
俺は血の混じった唾を床に吐き捨てた。
明日の現場は、一家心中だという。
どんな素晴らしい「素材」が待っているのか、想像するだけで股間が熱くなる。
救いなんて、この世のどこにも存在しない。あるのは、解体されるのを待つだけの、無防備な肉体だけだ。
眼球を噛み潰した時のあの不快な感触、君の脳内でも再現されたかい?
ただの文字を読んでいるだけだと思ったら大間違いだ。君がこの物語を読み始めた瞬間、君の正気はすでに俺の解剖台の上に載せられているんだよ。
異世界の甘い夢に逃げ込みたいなら、今のうちだ。
でも、君の胃袋がこの腐敗した現実に耐えられるというのなら……次の『素材』を用意して待っているよ。
……吐き気は、君がまだ生きている証拠だ。大切にしなよ。




