序章:8月、腐った夏
#肉の聖骸 #イヤミス #サイコホラー #なろう #グロ注意 #精神崩壊 #閲覧注意 #アンチ異世界
POV: 犬神 江戸 (Inugami Edo)
「死体は嘘をつかない。少なくとも、生きている人間よりは清潔だ」
2015年、8月。埼玉の記録的な猛暑が、人間の死体をあっという間にどろどろのスープに変えてしまう。
俺の仕事は、そのスープを雑巾で拭き取り、残された『腐敗』という名の痕跡を消し去ることだ。
今日の現場は、築40年の木造アパート。
部屋に入った瞬間, 換気扇も回っていない蒸し風呂のような熱気の中で、ハエの羽音が耳を劈く。床には、住人だった男の皮膚が絨毯のように張り付いていた。
俺は防護服越しに冷笑を浮かべる。
世の中の連中は、異世界に転生してチート能力で無双することを夢想しているが、現実はこれだ。死ねばただの肉の塊。数日放置されれば、異世界どころか近隣住民に異臭を届けるだけの汚物になる。
俺はポリ袋の中に、床に残された「肉の破片」を一つ、こっそりといれた。
これは俺のコレクションだ。
「おい、江戸。さっさと片付けろ」と先輩が怒鳴る。
「わかってますよ。……ただ、この肉が何を言いたいのか、少しだけ聞いていただけです」
俺は壁にこびりついた血痕をこすりながら思う。この部屋の住人を殺したのは、強盗でも怨恨でもない。
この街の「退屈」という病気が、彼を内側から解体したんだ。
俺はポケットの中の肉片を指でなぞった。まだ、少しだけ温かい。
俺はこの「肉の対話」を、次の犠牲者が現れるまで楽しむことにした。
「異世界のファンタジーに脳を焼かれた低能どもへ。これが君たちの最期だ。ただの肉片に、乾杯。」




