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L28

投稿28回目


●1日目●


 さて、あと5万か。

 どんな方法があるか、よく考えないといけない。


 まず思いつくのは、話数を増やすことだ。

 今回は、50日目から投稿を開始し、300日かけて400話を投稿した。

 1日に2回更新するほうが、当然ながらポイントの伸びはよくなる。

 ゆえに、この400話を600話まで増やせば、その分だけポイントが伸びるはずだ。


 それから、投稿する時間帯もあるだろう。

 前回までは、毎日2回更新をしていた。

 9時と18時の2回。

 これは初日に全パターンを試した結果、それが一番良かったからだ。

 でも考えてみると、これは初日のみのデータだ。

 もしかすると、日によって違ってくる可能性もある。

 1日目は9時と18時が一番だが、2日目は8時と19時の方が良い。

 なんてパターンもあるはずだ。


 感想返し……というのもやった方がいいような気もする。

 感想を書いてくれた人に、ありがとうございますと返事をしたり、疑問に答えたりするものだ。

 もっとも、一位はともかく二位の人は完全に感想に対する反応を返していないから、あまり意味は無いのかもしれないが……。


 タイトルを変えてみるのもいいだろう。

 『異界のハサミ使い』も悪いタイトルだとは思わないが、よりインパクトのあるタイトルがあるような気もする。

 あらすじだって、もっと興味を引くような文面があるはずだ。


 とにかく、出来ることは全てやっていこう。

 あと、たった5万だ。

 5万は決して少ない数字ではないが、30万まできたのだから、いけるはずだ。



●80日目●


 まず、前回同様、50日目まで別作品を投稿し、土台を作った。

 それをしながら、『異界のハサミ使い』の加筆修正だ。

 全話を見直し、1話を2話分に分割出来る部分は分割してみた。

 さらに、後半に閑話を大幅に追加し、600話まで増やしてみた。


 ここからマンスリーループを使って50日目まで戻り、投稿を開始する。

 が、その前にタイトルとあらすじを考えなければいけない。


 現在のタイトルとあらすじは、以下の通りだ。


 タイトル

『異界のハサミ使い』。


 あらすじ

『平凡な若手会社員ヒラタ29歳。彼はある日働きすぎが原因で死んでしまった。

 目覚めると真っ白な世界で、目の前には女神が立っていた!?

 前世の罪が原因で魔物の跋扈する世界への転生という罰を与えられたヒラタ。

 異世界へと落とされようとする寸前、彼の耳に声が届く。

 「私は前世で君に助けられた者……今、その恩を返そう!」

 ヒラタの視界に映ったのは、ちっぽけなクワガタムシだった。

 こうしてクワガタムシの力を手に入れた男の、異世界での冒険が始まった!』。


 特筆して悪い部分が無いように思える。

 しかし、もっとイカしていてガツンと読者を引き寄せるようなタイトルもあるはずだ。


 とにかく、こういうのはアイデアをたくさん出そう。

 友人がいれば案を募れるのだが……。

 あいつ、元気かな。

 もう何年も話していない。

 創作関連の話をして楽しい奴じゃないのは確かだけど、今は無償に話をしたい……。



●50日目-2●


『異世界ギロチン』

『クワガタトリッパー』

『二匹の虫神様』

『黒いダイヤとハエの王』

『クワガタムシの贈り物』


 ひとまず、この5つをタイトル候補としてみた。

 この中で、『異界のハサミ使い』よりポイントを取れるタイトルを、正式なタイトルとしようと思う。



●50日目-8●


 結論から言うと、『異界のハサミ使い』が、一番ポイントを取れた。

 日間一位を取るまでのスピード、ポイントの増加量、全てにおいてだ。

 しかし、興味深いデータが取れた。

 最初に一週間分のデータだけを見てもハッキリわかるほど、タイトルによってポイントの入り方が大きく違ったのだ。


 他作品を投稿してゲタを履いた状態であっても、タイトルで見るか見ないかを判断する人も多いということなのだろう。

 そして、『異界のハサミ使い』は俺の考えた他のタイトルより、今のニーズに合っているのだ。

 ニーズは時期によって変化するだろうが、少なくともこの作品タイトルは、この時期に投稿を開始し、年間一位を取っている。俺のようにゲタも履いていない。

 タイミングとしては、『異界のハサミ使い』が最善だったというわけだ。偶然にも。


 もっと長時間掛ければ、これ以上のタイトルも見つかるかもしれないが……。

 はたして、俺にコレ以上のタイトルを思いつけるだろうか。

 正直、難しい気がする。

 ランダムで1から100のどれかが出る中、すでに95が出ているのに100が出るまで頑張るようなものだ。

 イジらない方がいいだろう。

 あらすじも同様だ。


 というわけで、『異界のハサミ使い』のタイトルは変更無しだ。

 とりあえず、タイトルはそのまま、600話に増やした話を300日間、1日2回更新で投稿してみよう。



●284日目-8●


 どうにも、よくない。

 600話まで増やしたことでポイントが増えるかと思ったが……。

 むしろ伸びが悪くなっている。

 感想も「冗長的」とか「話が進まない」、「マンネリ」というものが多くなったように感じる。


 この方法はダメだ。

 50日目まで戻ろう。

 次は、総当りで日毎の最適時間を探ってみよう。



●80日目-722●


 総当りで投稿時間を探ってみる。

 すでに30日分だが、気が遠くなりそうだ。

 だというのに、ポイントの上り幅は、そう対して変わらない。

 それどころか、今日の分は完全に逆転している。

 今日に限っては、最初から毎回9時・18時に投稿した方が高いのだ。


 色々と原因を考えてみたが……。

 これは最初の方は作品自体を知らない人の方が多いから、ある程度バラけた時間の方が多くの人の目に止まって新規を得やすいが、ある程度投稿したら、同じぐらいの同じぐらいの時間に投稿した方が、読む方が楽だからだろう。

 特別に読みたいと思わなくても、同じぐらいの時間に開けば更新されているのだから。


 この案はダメだ。

 取り入れるとしても、最初の10~30日分がせいぜいだろう。


 ひとまず、今日を起点として、その後の事を考えよう。



●81日目-722●


 感想返しをしてみることにした。

 累計2位はしていないが、1位はしている。

 1位と2位の間には大きな差があるが、それはもしかすると感想返しをしているおかげかもしれない。

 感想を書いた方だって、返事がくれば嬉しいはずだ。

 作品を読んで楽しい。感想を書いてたのしい。感想の返事をもらって楽しい。

 WINWINの関係を築いていきたい。



●90日目-722●


 炎上した。

 あまりに的外れなことを書いた感想に対し、正直な言葉を返したら、そいつが荒らしと化したのだ。

 荒らしに対してすぐにブロックすればよかったのに、感情にまかせて言い争いをしたら、お互いにエスカレート。

 感想欄は荒れに荒れた。


 しかし、どうやらそれがどこかの情報サイトで噂になったらしい。

 ポイントの増え幅が目に見えて大きくなった。

 これが炎上商法か。



●95日目-722●


 炎上商法は凄いな。

 この一週間で、普段より1万ポイント近く増えている。

 これを繰り返せば、あっという間に35万に到達できるんじゃなかろうか。



●150日目-722●


 結論から言うと、ポイントの増え幅は一時的なものだった。

 一週間ほど経過した辺りから、目に見えて増加率が低下した。

 そこでもう一度行うが、増加率の増え方はそれほど大きくはならない。

 やればやるほど増加率は減っていき、やがてマイナスになった。

 マイナスになったといっても、ポイントが減り始めたわけじゃない。

 ただ、感想返しをしなかった時の方がポイントの増え方がマシだったというだけだ。

 増加率が減っても、1万増えたならマシかと思っていたが、このままだと最終的にいつものポイントを下回るだろう。


 感想欄でもいくつか指摘をもらったが、やはり感想欄で喧嘩をするのは良くないのだろう。

 せっかく面白い作品を見に来て、他の感想はどんなだろうとわくわくしながら見た所で、作者が口汚く喧嘩をしているのだ。そりゃ誰だって嫌だ。

 普段から楽しく感想を書いている人に、嫌なものを見せる結果となった。

 そして面白半分で見に来た者は、すぐに去る。

 新参の増加より、古参の減少の方が大きくなった結果、ポイントの増加も減ったというわけだ。


 現在、感想欄は荒れに荒れている。

 前回は9:1で批判があったが、今は5:3:2ぐらいだ。感想と、批判と、批判に対する批判だ。

 全体的な感想数は増えたが、これは単に批判や俺への忠告が増えたせいだ。

 中には、挑発して俺をわざと怒らせようという意思を感じるものもあった。


 炎上商法は短いスパンで考えれば良いかもしれないが、長い目で見ればマイナスだ。

 やるもんじゃないな。

 ひとまず、炎上する前、最初に感情的な返しをしてしまった日まで戻ろう。

 それからは、批判はある程度スルーしていくとしよう。



●160日目-723●


 感想返しをすると、若干だが、ポイントが上がっているようだ。

 1日あたり、平均して10ポイントぐらい。

 とはいえチリも積もればなんとやら。

 少しでもポイントが稼げるなら、それで良しとしよう。


 炎上を超えた後に思うに、この10ポイントは、決して新規の読者が増えての10ではない。

 逆だ。

 感想返信することによって、減らなくなった10ポイントだ。


 作品を読んで楽しい。感想を書いてたのしい。

 それだけで終わればいいのだが、書いた感想の返事が返ってこないと、ヘソを曲げるような奴もいるってことだ。


 何にせよ、感想欄を見て不快な思いをさせれば、その分だけ読者が減る。

 コツは、他の読者が見ても楽しい返信を心がけることだと思う。

 他の読者の感想はコントロールできないが、作者の返信はコントロールできる。

 作者の返信を見た読者が、萎えてしまわないようにするのだ。

 批判は無視か、あるいはやんわりとした対応を心がける。

 そこに感情は挟まない。ポイントのためにならないからな。



●180日目-723●


 焦りが生まれ始める。

 感想返しをしたし、ポイントも増えている。

 だが、この増加率では、35万に届かないのは明白だ。

 どうしようか。


 活動報告というものを書くのはどうだろうか。

 活動報告は、『小説を書こう』に付属しているブログみたいなものだ。

 文字通り活動を報告するためのもので、何日に更新できますとか、しばらく更新できませんといった報告を行える。

 今までは使っていなかったが、これを使って何か出来ることは無いだろうか。



●200日目-723●


 いいことを思いついた。

 最終日に炎上するのだ。活動報告で他の作品や、有名作品ををこき下ろす。

 炎上商法でポイントが増えるピークを、365日目に持っていく。

 完結ブーストで注目を浴びている時に、さらに目立つ。

 これで数万ポイント底上げできるはずだ。



●364日目-723●


 32万。

 ダメだった。

 あと少しなんだが……。

 それより、炎上商法で傷んだ俺の心がやばい。

 メンタルは強い方だと思うし、自分で仕組んだことでもある。

 だが、大勢から言いたい放題言われて何の痛痒も感じないほど、鈍感でもない。

 何が「累計ランキングで上位なので尊敬しようと思っていましたが、人としてはクズなのでやめました」だ。

 そんなものが尊敬の理由になるか、アホが。


 ふぅ……。

 いや、落ち着け。

 わかっていたことじゃないか。炎上するっていうのがどういうことか。

 自分で引き起こしたことでもある。

 ここでキレたら逆ギレだ。

 別に逆ギレしてもいいが、何の意味もない。

 この部屋から出られなければ、スカッとすらしないだろう。

 虚しいだけだ。


 しかし、さてどうする。

 32万。

 あと3万。


 あと約10%だ。

 ここまできたら、もう楽勝だ。

 楽勝のはずなんだ……。



●364日目-1129●


 もう、手が思いつかない。


 考えられることは全てやった。

 タイトルも変えてみた。未完成の作品の続きを書いて完成させた。毎日2回投稿し、丁寧に感想を返し、最後には炎上までさせた。

 俺が書いた部分は、何度も書き直した。

 今までコピーしていた部分も、何度も何度も書き直して、それぞれ違うものにしてみた。

 でも、ダメだった。


 やってはいけないことも、やってみた。

 累計一位にメッセージを送って、一日だけでいいから『ランキング除外』にしてくれと頼んでみたこともある。

 今の状況を包み隠さず文章に込めて、誠心誠意、頼んでみた。

 もし彼(あるいは彼女)が目の前にいたら土下座もしただろう。

 なんなら預金通帳を暗証番号付きで彼に手渡してもよかった。

 まあ、信じてもらえずはずもない。

 彼からの返答はなく、もちろんランキング除外になることもなく、虚しく365日目が来た。


 使えるものも使っている。

 ワードプロセッサ、表計算ソフト、アウトラインプロセッサ、アイデアプロセッサ。

 各種ループ機能に、ループデータビューワはフル活用だ。

 絵画ソフトを使って、作中の地図を書いて載せてみたりしたこともある。


 でもダメだった。


 どうあがいても、最後の3万が届かない。

 どうあっても、32万以上にならない。


 他にはなんだ?

 挿絵でも書いて、それを載せるか?

 俺は絵を書けない。小説はまぁ、多少は心得があったつもりだが、絵心はゼロだ。

 まったくゼロの状態で、教本もネットも何もない状態で始めて、人に見せられるようなものができるようになるのか?

 まぁ、時間は無限にあるんだし、できないことはないだろう。

 でも考えてみれば、累計作品のほとんどは、挿絵すら無いのだ。

 一位が使っていないものを使って、どれだけ伸びるというんだ。


 わからない。

 どうすればいい?

 どうすれば一位になれる?


 わからない。

 ……わからない。



 何をしても35万には到達しなかった。

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