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小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋 作者:理不尽な孫の手
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9/12

L25~L27

25周目

●1日目●

 さて、今回も投稿を開始しよう。
 今回の作戦はこうだ。
 ひとまず前回の実験で、予め作品を投稿しておくことが、本命作品のポイントの底上げになることは判明できた。
 なので、50日目までは下地用の作品を投稿し、下地を作る。

 それから300日を使って、本命の作品を投稿する。
 増加が目に見えて増えるのは1日2回更新だろうが、これは序盤だけにする。
 これは、1日に1回更新する時の増加率より、1日に1回も更新しない時の減少率の方が大きいからだ。
 1日に1回更新すると、平均して700ポイント。
 2回更新すると1000ポイント。
 1回も更新しないと200ポイントとなる。
 つまり2回更新すれば300増え、1回も更新しなければ400減る。
 もちろん、この数字がどの日付でも正しく機能するわけではない。
 しかし参考にはなる。

 手持ちは約400話。
 使える日数は300日。
 最初の100日間は、1日2回更新で200話を投稿。
 そこから200日間は、1日1回更新で200話を投稿。
 投稿が終わったらマンスリーループを使って戻ってきて、次のパターンを投稿する。
 パターン1、パターン2、パターン3とそれぞれ投稿していき、最もポイントの高いものを軸とする。
 もちろん、どれかで累計一位を取れればよし。
 取れなくとも、前回より高いポイントを取得できるはずだ。

 目標値は当然35万。
 365日目の累計一位のポイントだ。
 前回は21万だった。
 70日分の土台づくり+272話分の更新によるポイントだ。
 これに、約130話分の更新と、完結ブーストが追加される。

 130話は、272話の約2分の1だ。
 21万の約2分の1は、約10万ポイント。
 後半になるにつれてポイントの増加は減るから、実際には7万か6万といった所だろう。
 とはいえ、完結ブーストを加味すれば、10万ポイントは手堅く増えるはずだ。
 それでひとまずは31万。
 30万の大台に手が届く。
 目標35万まで目と鼻の先だ。

 今回こそ、狙える。
 今回で終わりだ。決着を付ける。
 そして、俺はこの部屋から出る。

 そう思いつつ、俺は投稿するため、ブラウザを立ち上げた。


●50日目●

 ひとまず、土台作りは終わった。
 前回は70日かけて三つの作品を投稿したが、今回は50日かけて3つの作品をほぼ同時に投稿した。
 ゆえに前回よりも密度は高い。1日に3回更新することもあった。
 それがどう作用するかは未知数だが……。
 今の所、前回と遜色無いポイントをもらえている。

 ともあれ、明日から投稿を開始する。
 予定通りだ。
 大丈夫。前と同じだ。
 完全に同じ日、同じ時間にとまではいかないが、前回はうまくいった。
 なら、今回も同じようにうまくいく。


●77日目●

 彼からのメッセージは無い。
 まだ書き始めていなかったのか、それとも今回はたまたま目にとまらなかったのか。
 わからないが、とにかくこない。
 彼の批判はダイレクトに効くので、できれば見たくない。
 逆に賞賛が欲しくないと言えば嘘になるが、彼の作品を盗んだ上、賞賛まで欲しいなんて言うほど、厚かましくは無いつもりだ。


●150日目●

 順調だ。
 うまくいっている。
 うまくいかないわけがない。
 なにせ、2回も年間一位を取ったのだから。
 初日からの投稿でも年間一位を取れたし、70日目からでも年間一位を取れた。
 なら、50日目からでも取れないわけがない。


●250日目●

 という感じで、250日目。
 ポイントは23万。
 前回よりも少し多いが、投稿日数で言えば、トントンぐらいだろう。
 前回も投稿しなくなった後、250日目ぐらいにはそのぐらいまで行っていたはずだしな。

 まあ、それはさておき。
 今日から、俺が書いた部分を投稿する。

 ドキドキする。
 本当にこれで大丈夫なのだろうか。
 本当にこれを受け入れてもらえるのだろうか。
 そんな気持ちが湧き出てきて、指先が震える。
 誤字が無いか、言い回しや会話に違和感が無いかを何度もチェックする。

 これはあくまで、物語を完結させるためのもの。
 ポイントを得るためのもの。
 だから、あまり出来がよくても問題ない。

 そう何度も、自分に言い聞かせる。
 今までにも、何度か自分の作品は投稿したはずだ。
 なのに、なぜ今回に限って、こんなに緊張するのだろうか。

「すー……はー……」

 深呼吸する。
 時間は、17時58分。
 あと3分で投稿する。
 不安だ。
 もう一度だけ、チェックしようか。
 いや、そんな時間はもうない。
 今更後には引けない。

 俺は18時1分になると同時に、投稿ボタンをクリックした。


●251日目●

 感想が来ている。
 普段は、あまり感想は見ない。
 見てもしょうがないからだ。
 続きを書く上で、他の読者がどういうものを求めているのかを知るために、多少は読んだが……その程度だ。

 だが、今回は気になる。
 どうにも、何が書いてあるのか、気になって仕方がない。

 そう思いつつ、恐る恐る、感想をクリックする。
 一番上から、一つずつ、食い入るように感想を見ていき……ほっとした。

 概ね、好調だった。
 俺が書いた部分は、自然とそれまでの展開と接続できていたのだろう。
 文体もさしたる違和感はなく。大半の読者は、俺の書いた文章を受け入れてくれているようだ。


●266日目●

 その感想を目にした時、血の気が引いていくのがわかった。

『投稿者:ゆーばー [2017年 12月 22日 23時 11分]
 ▼気になる点
 最近、スガレがキャラ崩壊してませんか?
 最初に出てきた時はもうちょっと武人っぽいキャラだと思っていたんですが。
 なんか最近はただのクズですよね。違和感があります。

 ▼一言
 なんか最近の展開はマンネリ化しててつまらないです』

 視界が狭くなり、端の方が暗くなる。
 喉が乾き、水を飲みたくなるが、水はない。
 生唾をごくりと飲み込む。
 心臓が早鐘をうっているのがわかった。
 顔が熱くなってくる。
 何がダメだったのかと、もう一度、今日の更新分を見に行く。

 スガレは、嫌な奴だ。
 そう思っていたが、今回の更新ではさらに嫌なことを言い出す。
 後につなげるための行動だ。違和感のないように書いたつもりだ。
 違和感、あっただろうか。
 そう思い、また感想を見る。
 一つずつ見ていくと、いくつか『今回のスガレの行動がおかしい』と書いてあった。
 だが、別に違和感は無い、と書いてある感想もある。

 違和感があるのは当然だ。
 彼はこの後、一発逆転の作戦に出る。そのためにクロバを遠ざけたのだ。
 普段やらないようなことをやったのだから、違和感も出るだろう。

 だが、その作戦はどうだろうか。
 その作戦に入るための言動は、どうだっただろうか。
 スガレっぽくは無かったかもしれない。
 そもそも、スガレはそういうことを思いつくような奴じゃなかったかもしれない。
 そこに違和感があるというのだろうか。
 それとも、単にこれらの読者の読解力が無いだけなのだろうか……。
 違和感があると書いている読者より、普通に面白いと言ってくれている読者の方が多い。
 でも、そうした読者だって、わざわざ書いてないだけで、少しは違和感をもっているのかもしれない。

 どうしよう。直すべきだろうか。
 でも、どう直す?
 この作戦が無いと、続く展開にはもっていけない。

 ひとまず、口調などの微調整はやっておこう。


●297日目●

 賞賛と批判の割合は、大体9:1ぐらいだ。
 元々、このぐらいだったと思う。
 比率に差はあれど、どの作品だって大きく変わるわけじゃない。
 一定数、批判する奴はいる。
 累計一位の作品だって、二位の作品だってそうだ。

 でも、どうしてだろう。
 こんなに気になるのは。

 感想は毎日くる。
 ありがたいことだ。
 俺が自分の作品を投稿している時には無かった。

 批判も数日に一度は来る。
 その件数は決して多くは無い。
 中には、まっとうじゃない意見もある。
 もっともらしいことを言っているが、よくよく調べてみると、間違ったことを言っている感想だ。
 でも、まっとうじゃないと思っているのは俺だけで、内心では他の読者もそう思っているのかもしれない。
 なにせ、俺だってよくよく調べないと、批判が間違っていると確信できないんだから。

 何にせよ最低でも一人、そう思った読者がいるのは間違いない。

 自分の書いているものは正しいのだろうか。
 今まで書いてあったものを裏切らず、大きく逸脱していないだろうか。
 今の所は大丈夫だ。
 だが、いつか、大きなミスをして、足を滑らせるのではないだろうか。

 もしそうなったとしても、ワンデイ・ループで戻って書き直せばいい。
 それだけだ。
 それだけだが……。
 理屈で割り切れない何かが、あるような気がした。


●330日目●

 クライマックスだ。
 最高に盛り上がっている。
 1日の投稿で、200件以上の感想がきている。

 それに応じて、ポイントも大きく伸びた。
 1日で1500pt。
 これはちょっと、予想だにしていなかった結果だ。
 正直、ポイントの増加率というのは、最初に大きく伸びて、それ以降は、どんな内容でも大きく変化しないと思っていた。
 でも、やっぱり、ちゃんと盛り上がる話を書けば、評価をしてくれるんだな。
 何週も前にそう思って嬉しくなったのが、遠い昔に思えた。


●350日目●

 無事、全ての話を投稿し終えることが出来た。
 感想欄は完結に対する祝福の言葉でいっぱいだ。
 ポイントもよく伸びた。
 今日で28万。
 想定より、やや少ない。

 でも、俺の中には、言い知れぬ達成感があった。
 とうとうやった。
 終わらせた。完成させた。
 そんな気持ちだ。
 だが、そんな気持ちとは裏腹に、何か引っかかるものを感じていた。
 素直に喜んではいけない。
 それはお前の手柄じゃない。
 結局この作品は……。


●364日目●

 最終的なポイントは、29万。
 累計3位。
 予定より、完結ブーストによるポイントは少なかった。
 もう少し入るかと思ったが、目算が甘かったかもしれない。
 しかし十分すぎるポイントと言っていい。
 とはいえ、あと少しだ。
 あと6万。
 サバ読んで5万。

 なんなら、残り2パターンの内、どちらかで達成できるかもしれない。


27周目

●364日目●

 パターン2が28万ポイント。
 パターン3が30万ポイントだった。

 パターン1とくらべて1万の差だ。
 130話を合計しての差だから、誤差と言えるかもしれない。

 落胆はある。
 これなら一位を取れるかもと思っていた。
 期待していた。
 だが、取れないだろうということも理解できていた。
 5万という数字は、決して少なく無い。
 俺がどう転んでも取れなかった数値だ。
 ちょっと展開を変えたぐらいで取れるほど、甘くは無い。

 30万。
 多少低く感じるが、想定を超えて多くもなければ、少なくもない。
 想定の範囲内ってやつだ。

 残り5万。
 次の周回では、パターン3を使って、5万を埋めることにしよう。
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