第九話 トルネードキャッチ
二郎は、公園のベンチに座り、一人で会議を始めた。
――ラーメン禁止令。
恐ろしい命令だ。
これに耐えられるのは、僕だけだ。
そして、これを乗り越えるのも――きっと僕だ。
僕には策がある。
家で食べられなければ、外で食べればいい。
これが、大人の階段というやつか。
「食えるなら、外で食べよう、ああラーメン」
作戦だ。
この手だけは、使いたくなかった。
だが、背に腹は代えられない。
価格は上がるが、今日は、コンビニラーメンだ。
誰もいないベンチでようやく食べられると思った矢先、猫が近寄ってくる。
――今回は、猫か。
これまで、数々の妨害に会ってきたんだ。
今日こそは、負けないぞ。
麺一、麺二、力を貸してくれ。
「ラーメンディフェンス」
可愛いな。
だけど、ラーメンには、近寄らせない。
完全防御体制だ。
これ以上は、近づけさせないぞ。
猫は、諦めたようにその場に座った。
――勝った。
「気をつけてー。」
僕の目の前に勢いよくボールが飛んでくる。
――このままでは、危ない。
「ラーメンキャッチ」
ふん、僕のディフェンスを通り抜けられると、思ったのか。
小さな男の子がやってくる。
年は、三郎と同じくらいだろうか。
「お兄さん、凄いですね。」
「ああ、任せな。どんなボールも、見逃さないぜ。」
――よし、あの技を見せてやろう。
ラーメントルネードキャッチだ。
僕は、ボールを高く上げた。
ボールが落ちる前に自ら回転してから、キャッチする。
子供の頃に覚えた必殺技だ。
よし、回転。
……そして、キャッチ。
成功だ。
キャッチしたボールを男の子に手渡した。
「すごい。カッコいい。」
「そうだろ。練習すれば、君も出来るぞ。」
「ありがとう。」
――良いことをしたな。
僕は、ベンチに座ると、カップラーメンの時間を思い出した。
――そろそろ、食べ頃のはずだ。
後ろを振り向くと、僕のカップラーメンは、倒れていた。
そういえば――
トルネードの時に何かに当たった気がする。
……
「ラーメンガード」
ラーメンは、倒れたままだった。
「ラーメンリカバリー!ラーメンカムバック!」
「くっ、……食えぬなら、笑って泣こう、塩ラーメン」
ラーメン記録帳
出来事
カッコよくボールをキャッチしたら、ラーメンが溢れた
教訓
ラーメンの前では、暴れるな(行儀良く)
命名
トルネードキャッチ事件




