第八話 揺れるラーメン愛
二郎は、鼻歌交じりに学校からの帰り道を歩いていた。
「一昨日、チャーハン〜」
「昨日も、チャーハン〜」
「毎日美味しい、チャーハンだ!」
「今日は、ラーメン〜」
「食べたい、ラーメン〜」
「本命食べるぞ、ラーメンだ!」
――毎日、食べるのが楽しみだ。
こんなに毎日、美味しいものが食べられるなんて、兄のチャーハン練習に感謝だ。
もう一週間近く、チャーハンを食べ続けている。
このまま、試食が続けば、チャーハンとラーメンの食べ比べが実現出来るぞ。
今の所、ラーメンが六、四でリードかな。
……いや、違う。
主役はあくまでラーメンだ。
これは、兄の為だ。
仕方なくチャーハンを食べているんだ。
チャーハンを食べていた僕を許してくれ、ラーメン。
だから、今日は、ラーメンを3つも買った。 ラーメンが主役だ。
陽気に家の玄関を開くと、そこには、見慣れない靴が置いてある。
――誰だろう。
……妙に静かだ。
僕は、そのままリビングへ向かう。
そして――
そこには、祖母がいた。
――マズイ、隠れないと。
祖母には、ラーメンの食べ過ぎで、怒られた事がある。
ここは、逃げるしかない。
逃げよう。
「二郎さん。何しているんですか。」
――なんで、分かったんだ。
僕は、じっと固まりながら、様子を伺う。
「さっきまで、大声出していたんだから、分かりますよ。早く入って来なさい。」
僕は、恐る恐るリビングに入った。
「その袋の中身を見せなさい。」
――ダメだ。これだけは、見せられない。
「見せなさい。」
僕は、祖母に手に持っていた袋を手渡した。
「また、ラーメンばかり……これは、没収です。」
「私がいる間は、ラーメンを禁止します。」
「僕のラーメンが……麺一、麺二……」
――罰が当たったんだ。
昨日なら、食べられたのに……。
「今日から、ネーメン〜(ラーメンが……)」
「いつまで、ネーメン〜(ラーメンが……)」
「許しておくれ、ラーメン神……」
ラーメン記録帳
出来事
待ちに待ったラーメンを、祖母に取り上げられた。
昨日なら、食べられたのに。
明日、チャーハン、食べさせてくれないかな……。
教訓
チャーハンに浮気するな
命名
ラーメン禁止事件




