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狐の嫁様  作者: 葛籠
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対面

北の森の中へ入り、進んで行くと開いた場所がある。野原が広がっており、白くて小さな花が咲いていた。既に3人は来ていた。

「…本当だったんだな。」

三人兄弟で揃って来た訳ではなく、2人と良き理解者である(さとる)だった。昔見た時より少し大きくなっており、体格が良い満月と弥生が小さく見える。

「その様子だとあの時のメンバーは全員この事を知っているの?」

「…信以外は全員知っている。言いたいことは山ほどあるが、城に向かうのが先決だ。」

目を伏せたかと思うと、眉間にしわを寄せ睨みつけるかのように見てきた。その瞳には怒りだけがあるとこの時私は思っていた。悟の言葉が終わると同時に現れた満月の尻尾。尻尾が絡みつき、身構えたが2、3回飛んで行くのにこうでもしないと私が置いてかれることを考慮したのかと思うと不甲斐なさを感じる。それからは到着するまで無言だった。






二重門をくぐる。先代である忌帝の見た目だけの門とは違い、少ない装飾に監視や拘束、転移などの言葉を模様のように描いている。古の言葉を用いているからため、ぱっと見では分かりづらい。

(…あぁ、立派になった。建物も、人員も、民も何もかもが良くなった。)

その後直ぐに宮殿の前に到着した。降ろしてもらったが、満月が腕を掴む。そのまま早歩きで行くため、何度か躓きそうになりながらも付いて行く。客室用の部屋に入り、座布団の上に座る。待つように言われたから数十分待っていると不意に廊下から声が聞こえてきた。何か説得しているように聞こえる。隣にいる弥生を見ると明後日の方向を向いていた。心なしか顔が青ざめている。なんかやらかしたんだと思いながらお茶を飲む。すると襖が開いた。

「待たせてすま」

謝罪の言葉が止まる。目があって多分バレた。いや、絶対にバレた。何で直ぐわかるの?普通300年も経てば忘れるでしょ。あっ、こいつら普通じゃなかった。

しかし、信は驚愕した表情から普段通りの真顔に戻った。机を挟み、雫の正面に座る。静寂が訪れ、チクタクチクタクと時計の音が聞こえる。何処に時計あるのと思いながらも、一応信の目を見る。

(…圧が、圧が凄い。満月も弥生も目が死んできてる。)

チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク

「…なぁ、弥生。どういうことだ。何で深月を連れてきた?」

「っ、…っあ、会ったんです。店で偶然、」

「そんな事は聞いてない。」

泣きそうになる弥生に同情する。淡々と言うから怖い。怒鳴らないから逆に怖い。真顔で言うから怖い。私に聞いているわけじゃないのに泣きそうになる。そんな時悟が口を開けた。

「…深月、今は雫である彼女の働きは優秀だから。お前には秘書も護衛も基本的にはいない。そのために連れてきた。」

悟の言葉に理解するのに時間がかかった。

(イマ、コノ男ナンテ言ッタ?)

悟を見ると表情は真剣だが、目の奥底にしてやったりとあった。巻き込まれた。いや、満月と弥生(元子狐達)は知らなかったようだ。この男の独断だ。

「…いらん。功績もなしには」

「功績はある。お前も前に言っていただろう。商業組合の有名な招き狐と戦闘組合の有名な雷狐はこの女だ。逆に断る理由はないだろ。」

確かにそう呼ばれているが、違う!問題はそこじゃない‼︎

「それにもう書類は作成済みだ。他の国も薄々気づいている。」

悟の言葉に頭が痛くなる。事の発端となった元子狐達(バカ)を睨みつける。その間に信と悟の話は済んでいた。

「…なら、仕方がないか。……明日から宜しく頼む。」

「……宜しくお願いします。」












ドッテン、バッタン、ガタン、バッコーン

帰宅するとどでかい音が外まで聞こえる家に恐る恐る入る。

「…ただいま。」

何時もならすぐに出迎えるはずの頭がお花畑な馬鹿(両親)が来ない。先程体験してきた怖さとは別の意味で怖い。警戒しながら、食卓に向かう。襖を開けて見ると、

パンパカパーン、ヒュー、ヒュー、

「凄いわ!雫ちゃん‼︎王様のひしょ?になれるなんて‼︎」

「お祝いだ‼︎今日は雫の好物用意したんだぞ‼︎たくさん食べて頑張れよ‼︎」

机に並ぶ数々の料理。数えるのも馬鹿馬鹿しい。右から刺身、漬け物、焼き魚、焼うどん、お好み焼き、席の前にはどんぶり用の米、その他諸々。

別に好物ではないものもある。確かに前世から私の燃費はお世辞にも良くない。

(だからって何も10人前以上誰が食べるんだ⁈私だけどそうじゃない!出費がヤバイ。)

「ねぇ、ねぇ、ねぇ!雫ちゃん、嬉しい⁈」

「うん、嬉しいよ。」

「嬉しそうに見えない‼︎ちょー冷静‼︎」

「いいえ、これは謙虚って言うのよ‼︎」

「…よく謙虚って言葉知ってたね、母さん。」

「漢字は書けないし、読めないけどね‼︎」

顔にご飯粒がつけたまま、ドヤ顔する。母の隣に座っている父は顔中にご飯粒つけながら深く頷いている。これで仕事が出来るのだから不思議でしょうがない。







「久しぶりに食べたなぁ〜。」

住み込みで働くため、必需品を収納カバンに入れていく。ふと信の様子を思い出した。目を合わせていたが、本当の意味では向き合えてない事が今になってわかる。

(前途多難っていうのかな…。)

あまりにも知らないことが多過ぎる。調べるにも昔のようにコネがあるわけではない。これからの事にため息をついた。

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