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4.状況悪化

「ふぁ~っあぁ…」


ふんにゃりとしたアクビが小さな部屋に響く。


「ねぇ、カル?私寝ていいかしら?」


口に手を当てながら、戦士ミラは尋ねた。

そのまぶたは垂れ下がっている。


「うん、まぁ最近ドタバタして寝れてないけど…

あの子達のことはいいの?」


窓をじっと眺めながら、カル…カルディアは答える。


彼女も、出ていった勇者達を信頼してはいるが

少し心配もしている。

成り立て勇者である上に、歴代でも異例な勇者であるからだ。


一方、ミラは頭のてっぺんの一本結びを解いて

寝る準備万端のようだ。


「大丈夫だって!4人いれば強いんだから。

それに私、あの子達と会って以来寝てないのよ」


「…まぁ、そうね」


セリスィらとミラが出会ったのは最近よりちょっと前のこと。

その時から今まで寝ていないのは、流石に辛い。


白い宙ゆえ時間の区切りの概念がない世界。

いつ睡眠を取ろうが、個人の勝手だ。


「おやすみカル。

あ、その赤の砂時計貸してちょうだい」


カルディアは言われたものを手渡した。


この砂時計は、しっかり睡眠を取りたい時用のものだ。

カルディアが発明したもので、

砂が全て落ちると、軽快なメロディーが流れ出す。

要はアラームだ。


「おやすみなさい、ミラ」


優しく手を振り、ミラを見つめる。

ミラも手を振り返し、地下室へと降りる。


バタン…


「…さてと」


地下室への扉が確実に閉まったのを確認し

カルディアも自身の研究室に閉じこもる。


そして、ためらいもなく鍵をかけた。


…ガチャッ……


あたりは静まり返っていた。




「きゃああ!?ちょっと私のお肌に傷つけないでぇ!」


甲高い声が響くが、気にしてる暇なんてない。


セリスィは今、闇の女三人の相手をしている。

騒がしい人魚と、無表情の電気女と、そして…


「あんた一人で勝てやしないよー!」


幼いカラス。

統一感のない三人組だが、なかなか手強い。


「……っぐぅっ!!」


大きく、長剣…スパスィを振り

三人まとめて吹き飛ばした。


背中から地面に倒れ込み、もたついてる隙に

セリスィもある一方へ走り出した。


「メロン、大丈夫か?」


「大丈夫って言ってるでしょ。

自分のことくらい自分で守れるわ」


横向きに倒れているのは、同じ勇者のメロン。

彼女の周りには、薄黄色のバリアが張られている。

メロンが作り出したものらしい。


「まだ、視界がぼやけるわ…

セリスィも気をつけなさい」


さっきまで彼女は、セリスィの隣で剣を構えていた。

しかし、先程のカラスの攻撃によって

目にダメージを負ってしまったのだ。


「…分かった」


メロンの分まで戦う。

そう自分に言い聞かせ、後ろを向いた。


まず最初に電気女がこちらに向かってきた。

少ない動きでかわし、首根っこを掴んで

後に続く人魚を狙い投げ飛ばした。


「ぎゃ!ちょっと何するのよ!?」


何が起きたのか分からないままに

二人は後ろにごろごろと倒れ込んだ。


女に対しては、荒技だったかもしれないが

一対三のハンデがあるからいい塩梅だろう。


カツンッ!カツンッ!


「……っ!」


何の音だ。

そう思い振り返ると、メロンのもとに人影があった。


例のカラスだ。

いつの間に俺をすり抜けていったのか。

カラスはつま先でメロンのバリアをつついていた。


「おい、止めろ…」


バチィっ!


刹那、足に雷が走った。

突然の痛みに、バランスを崩しうずくまる。


「あら~、やるじゃない、エルピダ」


「ふっ…さっきの仕返し、してあげるわ」


やはり、と思った。

電気を操る女…エルピダ。

彼女の手には、見てるだけで痛いほどの

多量の電気を放つ電球があった。


反撃をしたいところだが、思うように足が動かない。

麻痺してしまっている。


その時だった。


バリバリィィインッ!!


頭が白く染まった。


「さぁ、ここからが本番だよ?」


カラスとメロンの距離は、ゼロ。


破片となったバリアが消えていく中、

カラスは笑う。


「メロン!危ない!」


腕だけに全ての力を込め、スパスィを握る。


だが。


バタッ……


もう次の瞬間には


電気と黒モヤが彼らを包み込んでいた。



白い宙の下。

永遠の命は、敗北の手前にある。

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