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10.運命説

「なー、まだかぁー?」


ガヤガヤとした街の中を、ある集団が歩く。

人々はその集団の為にと道を開けていく。


「なあなあ、まだ…あ!すみません!」


集団の中でも、サロスは人混みに揉まれがちだ。

まだ勇者としての知名度は低く、

不老不死なんていう事実さえ出回っていない。

そこら辺にいるただの少年、

そう周囲から見られているだろう。


「サロス、大丈夫?」


人混みに苦戦するサロスに、イレモが声をかける。

彼女も、ぶつからないように歩くのに精一杯だ。


「やー、買い物の手伝いって

こんなにハードだなんて…人が多すぎるぜ」


「まぁまぁ、女性は買い物好きだもの。

まだまだ帰るのには時間がかかるかもね」


一方、買い物に行こう!と言い出した

ミラとカルディアはというと…


「うわぁ、レッドカーペットでもひいてんのか

って感じだなー」


人々が避けて出来た道を堂々と進んでいる。

最強戦士と天才魔法少女の二人だ。

どちらも知らない、という人はいないだろう。


「ちょっと!ちゃんとついてこないと?

ね、勇者さん?」


サロスらの視線に気が付き、

ミラは勇者の手を引いて道を歩いた。

周りの人々はざわめいている。

引かれている二人は何者なんだろうか、と。


注目を集めてしまい、

慣れないことに戸惑うイレモ。

顔を真っ赤にしてうつむきながら、

そそくさとミラについて行く。


「ミラ、次は何処に行くの…?」


「あー、次は魔法店らしいよ。

カルが行きたいって言ってるからねー」


これまで、店に入りは商品を見て、

迷いに迷って買わない、

というパターンが連続した。

次の店では何か買ってくれれば。

でないと、何の為に連れ出されたのか分からない。


そもそも、サロスとイレモが

戦いの後に手伝いに連れ出されたのは、

家で待機する二人と比べると、

比較的怪我が少ないかららしい。


ミラ曰く、


「不老不死だから大丈夫でしょ?」


……と。

死なないからと扱いが雑になってきてる気が。


不老不死でも、疲れたり、怪我をしたりと、

基本は以前と変わらない。


けれど出かける前、

カルディアに魔法水を貰ったため

戦いで付いた痛みは和らいでいる。

傷口が塞がるのに時間はかかるが、

見た目よりも痛みが早く治る仕組みだ。


四人は魔法店の中へ入る。


専門店の為か、人は少ないものの、

いかにも魔法を使いそうな強者が揃っている。

高級感あふれる店内に、大人の雰囲気を感じ

ドキドキしながら店を巡る。

…まぁ大人になることはもう出来ないけれど。


「ねぇ、イレモ。あの時の戦いについて、

詳しく聞かせて欲しいけど、いいかしら?」


カルディアがイレモに聞いた。

外出前に軽く聞いたが、

より細かなことを聞きたいらしい。


「あ、はい!えーと、何から話せば…」


「じゃあさ、あのマフィリで壁作ったじゃん!

あれについて教えてくれよ!

俺も分かんなかったからさー」


エルピダとオモルフォから逃げた時だ。

彼女らから姿をくらましたあとに、

宙を飛んで周囲をマフィリで囲んだ。


「あぁ、あれね。

あの時メロンの黄色いマフィリを使ったんだけど

黄色と白、って並んだらどう思う?」


どう思う?なんて答えればいいのか悩んでた時、


「もしかして、似た色を使って目をくらました

…ってことなの?」


ミラが推測した。

イレモはニコッと微笑み、どうやらビンゴらしい。


「そう、そしてマフィリを光らせれば、

ほぼ宙の白と同化するわ。

マフィリの光は、黄色混じりの白、だからね」


イレモの説明に、カルディアはクスッと笑う。

やはり宙を利用して戦っていた。

話に耳を傾けながら、透明なクリスタルの粒を

小瓶に詰めて、買い物カゴに入れる。


そして、もうひとつ尋ねる。


「その仕組みは、メロンがプリクスィを捕らえた時

…その時にも利用していたのよね?」


そう、セリスィとイレモが

プリクスィと戦っていた時、

宙から光り輝きながらメロンが現れ、

見事にプリクスィを仕留めたのだ。


そうそう、と頷いてイレモは答える。


「さっきと同じく、輝かせてたのはマフィリね。

宙と同化する、というのも勿論だけど…

他にカラスの性質も利用したの」


「カラスの性質?」


「カラスはね、光に敏感なの。

だから、メロンが光っていてもすぐに気づくはず。

そして、カラスの目は多くの色を認識できるの。


殆どが宙の白と同化したメロンが見えない中、

カラスのプリクスィだけ、はっきりと見える。


そうすることで、エルピダ達に

メロンの存在を隠すことが出来るし、

唯一存在を捉えられるプリクスィは、

さっきまで気絶してたはずのメロンが現れて

驚き隙をつくってしまった!…てことよ」


やっぱり何言ってんだか分かんねー。

それがサロスの率直な感想だった。

中身もそうだが、

あの時によくこんな複雑な戦略を練ったなと。


「さすがね、イレモ。

あなたの頭の回転の早さは、

フォーエバーの大きな武器となるわ」


カルディアもイレモを褒め称える。


フォーエバーの活躍を聞きながら、

魔法に使うための道具や材料を揃えた。



「よし、これで揃ったわ。

会計するから、ちょっと待っててね」


たくさん魔法道具が詰まったカゴを抱えて

カルディアはレジに並んだ。


ミラと、サロス、イレモは

入り口の広いスペースで彼女を待つ。


「さ、カルが戻ったら帰りましょ!

セリスィも起きている頃でしょ。

帰ったらちゃんと、お疲れ様、て言わなきゃね」


何故か上機嫌でミラが言う。

戦いの間、久しぶりに寝ていた…というが、

それで睡眠が足りたのだろうか。

本来なら、あの時間の五倍程度は睡眠が必要だ。


「…強くなると、生活面も次元違いになるのか?」


だるさや、目の下のクマなど見せず、

鼻歌を鳴らしてスキップで進むミラ。


不老不死の自分らより、超人な気がしてきた。


「まぁ、私達は帰ったらゆっくり休みましょ」


「んだなー、お疲れ様々だもんな!」





レジに進み、品物の会計をしながら

カルディアは考える。


豊富な知恵を持つ、イレモ・ケラスィア。

迅速で雰囲気を支える、サロス・フルトゥーナ。

一瞬を逃さない、メロン・ランプスィ。

そして、

自称平凡だけど、何処からか大いなる力を感じる

リーダー、セリスィ・セルモクラスィア。


やはり才能があって勇者に選ばれたのだな、と。


「あなたの選択は、運命を変えるかもね…」


誰にも聞こえない独り言。

ぽつりと呟いて、ある人物を思い浮かべる。


異例とも思われた、勇者の人選。

けれども、間違ったメンバー何かではない。


全てを変える可能性だって秘めている。


それは、世界だって、この白い宙だって

そして…


あなたの望む未来にだって。


自然とこぼれるニヤけを手で隠し、

ちょっとした希望に胸を膨らます。


「可能かもよ。



―――メロン…」




ある未来を願う、少女。


彼女は涙を飲みながらここまで来た。


カルディアの頭の中で

勇者達の運命説が浮上する。



白い宙の下。

永遠の命は、可能性を導き出す。

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