第七話:暗躍
AI100%ですので注意されたし。
一般猿たちの自滅による「弾圧」は一段落ついたが、王と蛇にとって、不満を溜め込む新世代の若者たちは相変わらず目の上のタンコブだった。
特に、新世代の中でリーダー格として一際目立っているアダムとイブは、所構わずイチャついてて、このまま放置すればいつか本当の反乱を起こしかねない。
「暴力でねじ伏せるのは、かえって面倒だな……」
蛇は、真っ向からの弾圧を諦め、別の方法をとることにした。
それは、新世代たちが一番食いつきそうな「それっぽい嘘」で、自分から進んで「旧王命の禁足地」へと踏み込むように仕向けるという、巧妙な罠だった。
ある日、蛇は動いた。コソコソと葉っぱで変装し、アダムとイブの前に「ただの赤いリンゴ」を転がしてみせた。
「おや、そこの若いの。……これを見たかい?」
「ん? なんだこれ、ただの赤くて丸い木の実じゃねえか」
「フフフ……甘いな。これはただの木の実ではない。あそことりわけ厳重に隠されている『旧王命の禁足地』の奥深くに生えている、『これを食うと、お上のルールも何もかも超越して、死ぬほど自由になれる禁断の果実』なのだよ」
もちろん、それはただの普通のリンゴである。なんなら味も普通の木の実と大して変わらない。
だが、蛇の「なんか凄そうな語り口」と、自分たちの頭の悪さが完璧な化学反応を起こした。
「まじか……! あそこの絶対に入っちゃいけない禁足地に、そんなすげえもんがあるのかよ!」
「アダム、見て! これを食えば、あんなクソみたいな『貢ぎ物査定』も『ロープの囲い』も、全部気にしないで自由に生きられるかもしれないわ!」
「おおっ、すげえ! みんな、聞いたか!? あの禁足地の奥に行けば、すげえリンゴが鈴なりになってるらしいぞ!」
新世代とはいえ知識が無いため猿に毛が生えたレベルの頭の良さしか持ち合わせていない、新世代の猿たちは、蛇の胡散臭いハッタリを疑うことすらなかった。
「よし、全員で禁足地に行こうぜ!」と、アダムとイブを先頭に、新世代の若者たちは「禁断の果実」を求めて、嬉々として御法度のエリアへと大挙して大移動を始めてしまったのだ。
後ろの木陰から、その様子を眺めていた蛇は、計画が上手くいったことに心の中でニヤリとほくそ笑む。
「勝手に禁足破りをした自業自得の違反者」という形で、新世代の若者たちを合法的に、かつ完全に排除できると。




