第五話:締め付けと反発
AI100%ですので注意されたし。
新しい王が誕生してからの楽園は、かつてないほどの息苦しさに包まれていた。
もっとも、それは大半の一般の猿たちにとってではなく、主に「新世代」の若者たちにとっての話である。
「お前、聞いたか? 最近始まった『貢ぎ物評価制』とかいうやつ。俺たちが持ってきた果物の鮮度や肉の脂の乗り具合で、毎日ポイントをつけられるんだとさ」
「ふざけんなよ! なんで俺たちの労働まであいつらに数値化されなきゃいけないんだよ!」
「しかも、評価が良い奴は『特権』として少しだけルールの制限が緩くなるとか……完全に俺たちを分断してやがる!」
岩陰に集まった新世代の猿たちが、不満を爆発させて気炎を上げる。
だが、その新王の背後には、いつでもあの「不都合な真実」がチラついていた。新王自身、最初はビクビクしながらも、権力を誇示し、貢ぎ物のランク付けや、さらなる理不尽なルールを矢継ぎ早に量産し続けていたのだ。
「文句があるのか?」
ある日、新王は自分を睨みつける新世代の若者たちの前にふんぞり返り、蛇に耳打ちされた通りのセリフを冷ややかに吐き捨てた。
「これらはすべて、岩の裏で眠り続ける初代の王様がお決めになった絶対の規律だ。従わない者、あるいは評価の低い不届き者は、あの初代王の『お怒り』を受けることになると思え」
――もちろん、初代王はとっくに岩の裏で干からびて白骨化している。だが、大衆の猿どもはそのハッタリを真に受け、「ひえっ、初代様がお怒りになったら大変だ!」「評価が低い奴は非国民だ!」と勝手に気色ばみ、新世代の若者たちを冷ややかな目で抑え込もうとした。
「ふざけるな、あんなの嘘っぱちだ! 誰がこんな査定に従うかよ!」
ついに堪忍袋の緒を切らした新世代のリーダー格の猿が、吐き捨てるように呟く。
「あんなもん、ただの言いがかりだろ! 俺たちはもっと自由に、自分の頭で考えて生きるべきだ!」
能天気な大衆がニコニコと評価制度に順応していく裏で、明確な「反逆者」の烙印を押された新世代たち。
事態を重く見た王と蛇は、ついに隠しきれなくなった亀裂を力でねじ伏せるため、屈強な一般猿たちを集めて「取り締まりの兵」を組織する。
「お前たち、あの不逞の輩が『規律』と『偉大なる王』の権威を脅かしているぞ。……い行け、異教徒どもを徹底的に弾圧し、お上の秩序を知らしめてこい!」
こうして、ただの気まぐれと死体の隠蔽から始まった楽園の支配は、ついに組織的な暴力と弾圧のフェーズへと突入していくのだった。




