第四話:新王誕生
AI100%ですので注意されたし。
大半の一般の猿どもは、「王様の決めたありがたい規律」のおかげで、自分で考える面倒臭さからも解放され、ただただニコニコと平和に暮らしていた。
――あやしい木の実を食うべからず。仲間を殴るべからず。
ルールに縛られているという息苦しさなど微塵もなく、むしろ「これさえ守っていれば安全だ」というぬるま湯のような安心感に浸り、今日も今日とて配られた肉を美味しそうに頬張っている。まさに、彼らにとっての楽園とはかくあるべし、といった風情だった。
だが、そんな平和な澱みの中に、ふと混じり気のある風が吹く。
「おい……これ、もうとっくに干からびてやがるぞ。寝てるどころか、完全に死んでんじゃねえか!」
一般の、ごくありふれた新世代の猿が、立ち入り禁止となっている岩の裏をふと覗き込み、間抜けな大声をあげた。
その瞬間、近くの草むらにいた蛇が血の気を引かせ、猛烈な勢いで走り寄ってくる。
「しーっ! 声がデカい! 騒ぐんじゃない!」
「だってこれ……!」
「わかってる、死んでるよ! だから何だっていうんだ、大声出したら他の猿どもが寄ってきて面倒くせえだろ!」
蛇は冷や汗をダラダラと流しながら、ガタガタ震える新世代猿の肩をピタリと押さえた。そして、必死の形相で耳元にささやく。
「なあ……。ここで騒がれて大騒ぎになるくらいならさ。お前、次の王にしてやるから、このことは内緒にしてくれねえか?」
「……は? 俺が、王様に?」
「そうだよ。お前が新しい王様に座るんだ。表向きは『若き王の誕生』ってことにして、俺と一緒に、これまで以上に都合のいいルールを作っていこうぜ。な?」
死体が転がっているという現実を目の前にしながら、蛇のその軽薄で身勝手な提案に、一般の新世代猿はわずかに目を丸くした。
能天気な大衆が相変わらずニコニコと平和に騙されている裏で、こうして、初代の死体を隠すための新たな「共犯関係」と、さらなる権力のすり替えが幕を開けたのだった。




