↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EDEN  作者: もんちょび
PR
3/14

第二話:空っぽの貢ぎ場

AI100%ですので注意されたし。



 それからどれほどの年月が流れたことか。


 「EDEN」と名付けられたその巨大な飼育小屋のような楽園で、王は長年、岩の上にふんぞりかえっていた。かつてそこは、すさまじい光景だった。毎日のように群れの者たちが競い合い、山のような木の実や、脂の乗った上質な肉の塊を足元へと積み上げていたのだ。ただ威張っているだけで、欲しいものが何でも手に入る。その圧倒的な豊かさは永遠に続くものだと、王は信じて疑わなかった。


 だが、時は残酷だった。


 王が贅沢に溺れ、過去の「便利な道具の記憶」にしがみついている間に、下々の人間たちは次第にその構造に慣れ、そして「退屈な疑問」を抱きはじめた。


 ――あれ、俺たちが毎日汗水たらしてあいつに貢いでるけど、あの王様、最近なんか新しく便利なこと教えてくれたっけ? ただそこに座って肉を食ってるだけじゃねえか?


 気づいてしまった者の足取りは重い。日を追うごとに、貢ぎ物は減り、そして――。


 その日の朝、王が目を覚まして見下ろしたかつての「貢ぎ場」は、見る影もなく冷え切っていた。


 かつて山をなしていた食料は影も形もなく、ただ乾いた風が吹き抜けるだけの、完璧な「空っぽ」が広がっていた。転がっているのは、誰かが投げ捨てた乾いた木の枝が一本だけだ。


「やだやだ、なんだよこれ……! どうして何も置いてないの~! 俺のメシはどこだよ!」


 王は岩の上で足をジタバタさせながら、子供のように情けない声を張り上げていた。目の前では、王の時代よりもあとに産まれ落ちた新世代の知性持ち――「蛇」が、退屈そうに寝ている。


「う〜ん……私に言われても、何も思いつかないんだよな〜……」


 蛇は面倒臭そうに、まったく他人事のように欠伸をかみ殺した。


「だってよ、どうすんだよこれ! あいつらすっかりサボりグセがついてやがって、このままだと俺様のメシがなくなるぞ!」


 二人して頭を抱え、岩の上でうーうーとうめき声を漏らす。だが、頭をいくらひねったところで、まともな名案など出てくるはずもなかった。


 やがて、蛇は面倒そうに尻尾をピクつかせると、ふと妙なことを思いついたように言った。


「……あー…、いっそ、向こうから何を不満に思ってるのか、困ってることを幅広く拾ってみませんか?」


「はあ? 拾うってなんだよ」


「いや、あいつらが今どんなことに躓いてるのか、不満や悩みをあらかた吐き出させるんです。で、出てきた面倒な愚痴の中から、うまいこと使えそうなものだけをこちらで都合よくかいつまんで……」


 さっそく下々の猿どもを小突いて「自分たちの不満や悩みを言ってみろ」と募らせてみると、愚かな猿たちは群がり、口々に叫びをあげはじめた。


「なんか、となりのやまだくんにたたかれた……」


「きのう食べた木の実がくさくておなかがいたいの……」


「あいつのほうが大きい石を持っててむかつく……」


 集まってきたのは、どうしようもない私怨と、日々のどうでもいい愚痴ばかりだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。