エピローグ:EDON
AI100%ですので注意されたし。
古びた集落の外れにある、小さな小屋の中。
夕暮れの光が差し込む部屋の片隅で、古い木製の椅子に腰掛けた老人は、目を閉じたまま、代々口伝えに受け継がれてきた物語を静かに語り終えた。
猿達は、世代を経るごとに洗練されその頭蓋は知性へと最適化され、かつての祖先たちに比べて尻尾の名残も短くなっていた。
「――そしてアダムとイブは、新しい世界を切り拓き、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし」
その言葉を合図にしたように、この場に集まっていた子どもたちは一斉に歓声をあげた。
「わあ、面白かったー!」
「おしまい! 遊びに行こうぜ!」
子どもたちは笑い声を響かせながら、窓の外を我先にと駆け出していく。ぱたぱたと小さな足音が遠ざかり、やがてあたりは静けさに包まれた。
ひとり室内に残された老人は、目を閉じたまま、子どもたちが去っていった窓の外の気配を感じ取る。
今しがた子どもたちに聞かせた物語も、自分たちがこの場所で築き上げた秩序も、すべてはかつて逃げ出したはずのエデンと何ひとつ変わらない。人間はいくら頭が良くなろうとも、システムから逃れることはできないのだ。
老人はゆっくりと視線を向ける。部屋の奥にある壁へと。
その壁の向こう――扉も窓もない隠し部屋には、誰の目にも触れぬよう大切に保管された「あの岩」が眠っている。
冷たい静けさの中、老人の老いた頬を、涙が静かに伝い落ちた。
『ハッピーバースデー 新たな種よ』




