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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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79話 炎魔の杯

→→→→→ナンクゥーターン



吹雪の中、全速のボルッカの操る飛行絨毯で炎の凍てつく廟に迫ります。

岩の大ワニを駆るユケンは扉の施錠も封印もお構いなしにワニに扉を喰いつかせ、封印の氷の魔力の反発でロックアーマークロコダイルの頭部が凍結されて砕かれながらも強引に扉を破壊してしまいました。


中へ飛び込んでゆきます!


「なんて乱暴なっ!」


「荒事に慣れきってんなっ」


ボルッカも壊された扉から廟内に飛行絨毯を突入させますっ!


内部は低温で氷の魔力に満ちていますが、吹雪がないだけマシですね。

ユケンは廟に『敵』とみなされ、次々涌いてくる氷の鎧モンスター『アイスリビングメイル』に襲われていますが、鉤爪と、用意していたらしい炎属性のメイスで次々撃破しながら廟の奥の祭壇を目指してますっ。


凍て付く祭壇には氷の中で燃えている禍々しい杯がありました。あれが炎魔の杯でしょう。


「ハギン!」


拘束魔法をユケンに掛けるカズネ。しかし、発動を読まれて大柄な体格に似合わない身軽な動きでこれを躱し、拘束魔法はなにもない虚空に魔力の輪で空撃ちしただけでした。


「もうっ」


ボク達のカボチャの魔女は修行が足りないようです。

仕方ないので飛行絨毯でさらに詰めます! と、


「遊んでろ!」


おそらく残したワニ達の召喚は解除して、自分の周囲と宙の私達に向けて、数十体のキラーマリモスを召喚して消しかけてきましたっ!


私達には冷気ブレスをっ、鎧モンスター達には噛み付き攻撃を一斉に仕掛けてきます!


「うわわわっ?!」


「カズネ!」


「ドガラぁっ!」


回避で制御不能になり、ヒロシの呼び掛けでカズネが守備魔法をギリギリで張り直しながら、アイスリビングメイル達も巻き込んで飛行絨毯は急降下! 祭壇への階段に相当荒っぽく着陸しました。


ボクとカズネはノッコが受け止めてくれましたが、ボルッカは吹っ飛ばされたアイスリビングメイルとキラーマリモスに埋もれてしまってますね。

鎧の方からは敵認定されてないので大丈夫でしょう。


「ノッコ! ボルッカはいけるっ」


「うんっ!」


「私もいけます!」


ノッコはボクと目を回してるカズネを抱えてヒロシとミラリカに続きます。

いくらか邪魔してくるキラーマリモスは先頭のヒロシ達が打ち払ってくれますね。ヒロシ、すっかり手練れです。


ユケンは手近なキラーマリモスを全て使い切りながら、一足早く早く祭壇に向かってます。


最悪のケースを考え、ウンディーネは温存し、既にだいぶヘバってるドリアード、ブラウニー、ラカにもう一頑張りしてもらいます!


鉄熱(てつねつ)ホウセンカですっ!」


抱えられたまま、数十の熱した金属の種をユケンに放ちますっっ。が、


「オラぁ!!」


ユケンは損耗していた鉤爪を砕きながら、なにか爪系のスキルを使ってボクの熱の弾を全て打ち払いました。しぶといですっ。

取り敢えずウンディーネを使って、伸びてるカズネの口にミックスポーションを突っ込んでおきます。


ユケンはヒロシ達が追い付く前に祭壇までたどり着きました。情報はないはずですし、ユケンは鍵師ではないです。その種のアクセサリー等を持ってるという話も聞きません。

普通の盗っ人なら安全に回収する方法を思案する所でしょう。

しかし、そこは修羅場を潜ってきた名の知れた大悪党です。彼の勘は最適解、いや自分が参加可能な賭けを瞬時に判断しました。


「ここが鉄火場だ!」


ユケンは炎のハンマーを氷漬けの炎魔の杯に振り下ろしたのです。



→→→→→ノッコターン



がちこ〜んっとっ! 炎と氷の魔力がぶつかりあって弾けやったっ。ヒロシとミラリカは守備魔法を破られてウチの近くまでふっ飛ばされ、ユケンはハンマーが吹き飛んで、右半身をヤケド凍傷でボロボロにされてるわ···せやけど!


「コイツが炎魔の杯か、売れるぜこりゃ。へへっ」 


左手で杯を持ち、傷んだ右手で脱出の鏡を持ってやるユケン!!


「俺の団を潰しやがったことは褒めてやる。じゃ、な」


「ユケン!」


「待ちなさいっ!」


「待ちやっ」


まだいたキラーマリモス5体を引き寄せてヒロシとウチにけし掛けながら、脱出の鏡を使うユケンっ!


ピシッ。


鏡は上手く発動せんと、魔法式に覆われて少しヒビが入りやるだけやっ。


「?!」


廟の入口を見やるユケン。入口には、ボロボロやけど7名の転送対策の人魚の人らが来はってた! 魔法式展開してるわ。


「オイオイ···この上、領主だの国軍だのの手柄になるのは面白くねぇ。あとはオマケよっ、ユケン・アザン!! 土付かずで通したぜ!」


「ダメっ!!」


ミラリカの静止も聞かんと! ユケンは炎魔の杯に満ちとる溶岩みたいな負のパワーが凄い液体をっ、飲み干しやったわ···割れて塵になる炎魔の杯。


ボッ!!!


爆発的に燃え、骨だけになるユケンっ。キラーマリモスの召喚も解ける。

そのまま崩れるんかと思ったけど、燃える魚人の骨のままっ、瞳に負の光が灯って爆炎を纏いながら身体が巨大化しだしやった!


「なんということをっっ」


「ここじゃ窯焼きになる! 出ようっ。ノッコ!」


「うん、ウチ2人運んでマリモ蹴っただけやわ〜」


「助かりました」


「私も〜」


カズネ起きとるしっ。とにかくウチらは出口向けて駆け出したわ!



→→→→→ボルッカターン



でぇいっ、キラーマリモスとアイスリビングメイルにもみくちゃにされ、飛行絨毯回収してる間に出遅れた! 飛行絨毯はまだギリ飛べるっ。


炎の巨人と化してくユケンの爆炎に廟が呑まれてく中、ヒロシ達に追い付く! ノッコ遅っ。逃げる思考がないアイスリビングメイル達はひとたまりもないな···


「乗れ!」


全員飛び乗ってきたっ! 2人抱えてるノッコのボリュームっっ。


「お前ぇらも一旦退避だぁーっ!」


あたふたしてた入口の人魚達にも言って下がらせっ、俺達は炎に粉砕される廟から飛び出した!!


燃えて爆発的に蒸発する廟と氷雪を押し退け、骨の魚人ベースの巨大な炎の魔人が現れるっ。


「ンンンンンッッッ!!!」


呻く炎の魔人。正気は今んとこねぇかっ。


「カズネとノッコはそんな損耗してねーな! ヒロシ達は人魚達の本隊と合流して立て直してくれっ、足止めと様子見るっっ」


「私残るの??」


「投擲やな!」


「わかったっ。3人とも気を付けろ!」


「ウンディーネは有効なはずです。手を考えましょう」


「愚兄のせいでこんなことに···すいませんっ」


ナンクゥーはウンディーネに乗り、3人は吹雪の雪原に飛び降りていった。


「どうすんの? もう怪獣だよっ」


「カイジュウ? とにかくっ、足止め以前に一通り攻撃を出させる。この環境自体は有利なはずだぜ? つーか、炎魔の杯が使われた場合、ここで処刑する設計だろこれ?」


魔人化ユケンは特大の炎のブレスを放ってきたっ。


慌てて回避する!


「よ~し! ブレスなっ。本隊も観測してるだろっ? 初見殺しをなるべく潰すぞっっ、ノッコはポーチ渡すから効きそうなもん投げまくれ! カズネはひたすら守備魔法!!」


「「了解!!」」


これで完成なのか変身の中途なのかは判然としねーが、相手してやる!


魔人はブレスの他、拳打、拡大する炎の鉤爪、頭上に大雑把な火の魔法陣を張って火の雨を降らす攻撃をかましてきた。


傷んだ飛行絨毯じゃ捌ききれねーから、カズネの守備魔法と、色々試してるノッコの投擲頼りだ。


「うぉおおっっ、キツいが! 大体手の内見れたんじゃねーか? 時間稼げたしっ」


「もうしんどいよ、無理···」


「ん〜、あ! コレいいかもしれへんっ!」


ノッコはソーマセノ郷で安く買えた水触媒のブルージェムの小袋と発破玉の袋を手にしてた。


「蒸気爆発か! 賢いぞノッコっ」


「そやろ〜? さっき廟から出た時もドーンっ、なっとったしぃ」


「ンンンッッッ!!!」


くっちゃべってる内にまた炎の爪で襲われたっ、やっべっ。カズネ、へバってるしよ!


「そりゃーっ!!」


剛腕で発破玉とブルージェムを景気よく投げ付けるノッコ!


ドドドッッ!! ただの爆発じゃない、水の魔力の炸裂だ! 魔人の右腕が吹き飛び···復元が遅いっ。


「よし! ジャバウォック程仕上がった不死じゃないぞコイツ!! まぁやたらデカいのとこっちもヴォーパルは欠片しか今ねーけどよっ」


「もう1回分くらい投げられるで?」


「いや、本隊と合流してからな。カズネ! 伸びてると、落っこちんぞっ?!」


「ふぁい···」


オイラ達はもう一発きた火の特大ブレスを避けながら、本隊の方へ離脱を始めた。


入口の人魚達も間に合ってりゃいいんだけどな。ま、手札は一通り見た! 介錯してやんぜ、ユケン!!

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