67話 B級認定
→→→→→兄ターン
俺達はギルドから暫定でBー級判定を得た! 実力実践もさることながら『お前ら短期間で凄い働くじゃん?』という評価も高ったようだ。
あくまで暫定だから、評価上歯抜けになってた所をそれぞれ埋めてゆくことになった。
俺はかなり我流で探知技として変形気味に習得したウィッチサインをキッチリ覚え直したり、竜騎士職的に必須の『気圧変化弱耐性』『日光弱耐性』『窒息弱耐性』『冷気弱耐性』を習得したり、竜騎士職や竜族に関する座学をもう少し詰めたり、といった具合だ。
オッシモ教官に改めて指導を受ける。
「ウィッチサインは大体できているからあとでよしっ。座学は私も苦手だ! 竜学の専門家を紹介する。今日は耐性を覚えるぞ?!」
「あ、うッス···」
オッシモ教官の家の裏手の空き地だ。今日は群立させた柱の上じゃない。教官は愛馬ならぬ愛竜の紫の飛竜に乗っていたが、
「掴まえさせるから避けるでないぞ?」
「えっ?」
飛竜は素速く尾を振るって稽古着に木の槍だけ持った俺を掴まえて持ち上げたっ。
「ゆくぞっ、ゼンモン!」
「がぅっ」
相当な勢いで真上に上昇しだすゼンモン!
「ううううっっっ?!」
風の結界、飛行に必要なだけしか張ってない! 気圧っ、呼吸ぅっっ。
「ヒロシよっ、まずは『凍り付く空』まで上がる! 基礎は修得済み。あとは頑張って必要な耐性を獲得するのだ!!」
「お、オッシモっ、教ぅ官んんっっっ」
毎回指導がせっかち過ぎるんッスよ!!
→→→→→ボルッカターン
オイラは教練所の特別室で浮遊する、トレーニングトラップボックスと煮た構造のカラクリの箱? を前に途方に暮れていた。
「ボルッカく〜ん! 今、トレーニングトラップボックスに似た構造をしている。とか思ってるだろうけど正解! ただこれは擬似トラップの変わりにランダムで動き回る機能を持たせてあるよ?」
工学師なんかが作業用によく着るツナギみたいな格好をした、ロングフットと猫獣人よワーキャットのハーフらしき女の教官、ザミ・レンテが言ってくる。
わりとレアクラスの人形殺し職だ。
「どうしろと?? つか、オイラ鍵師だぜ?」
「君は末端とは機神の弱点を自己流のスキル運用で一発で露出させた逸材! まぁ筋や神経を痛めて両腕の魔力系もガチャってたから惜しい感じだったけど、まさかの妖精界の謎療法で即復活!! 人形殺し職に転職するかどうかはともかくっ、『超カラクリ解体』スキルは覚えなきゃでしょ?!」
「···」
仮にコレを覚えたとして、座学でトラップ解除以上には興味ない『工学』をどっさり履修するハメになるのは確定的だった。
「じゃ、スタート! 解除しないとだぞ?」
カラクリ箱は高速で逃げ出し始めたっ!
「はっやっ? これ解除以前でしょ?!」
「来訪者曰く『メタル系は速い』そうだから」
「どういう意味??」
チキュウの文化ちょいちょい理不尽だ! 加速ブーツ抜きのただの靴と稽古着のオイラはまず、カラクリ箱の動きを捉えるところから始めたっ。
→→→→→ナンクゥーターン
ボクは例によってロヴミィ教官の元に来ていました。装備の恩恵抜きなので見習い用のローブに簡素なワンドだけです。
「哲学的ですね」
ボクの前にはカットされたフルーツ、しなびた野菜、病んだ花、砂の詰まった樽、魔法陣でキープされた圧縮された霧がありました。
さらにロヴミィ教官は闇の精霊のナンナを連れています。
「多いがやることは基礎的なことばかり。ナンクゥーよ、お主は力が有り余り過ぎて大味になっている。細かい力の使い方を覚えるのだ」
「あーでも、ボク、大体感覚で」
「ではドリアードから」
「···」
そうでした。シトリーさんと違って、ロヴミィ教官はまったく止まらない人なのでした!
ボクはここから『ドリアードを使って傷んた植物を回復させる』『ブラウニーで砂を変幻自在に操る』『ウンディーネで霧を使って細かい幻術を操る』『大技禁止ルールでラカを使って教官のナンナを撃破する』を連続でこなすことになりました。
マジックポーションを飲みながらでしたが、教官は休憩をほとんど取らせてくれないから、後半からなんか「うぉおおーーっっ!!!」とか、出したことない声出しちゃいましたね。
→→→→→ノッコターン
調査部の測定専門の人らと料理人の人ら、それから魔法道具の専門の人らに囲まれて、平服に紐付きナプキンのウチは席に着き、テーブルの上の『一杯の料理』を前にしてる!
「ではノッコさん。これより個人差も激しいレアスキル、快食成長スキルと快食充填スキルの限界値と基準値の割り出し実証実験を始めます」
「やったぁーーーっっ!!!」
「計測ですからね···」
やったぁーーーっっ!!! ウチは美味しく食べまくったで?!
→→→→→妹ターン
放送部の皆元気かな? こちらの世界(仮にネオ山梨ね)来てはや3ヶ月が経ちました。
色々冒険はしていますが、最近は野営料理にもハマってます。
奥深いですね。まず、火起こしですが魔法も大活躍なんですが、この世界普通に着火剤の油を染ませた藁みたいなのと火打石があるから、意外と魔法なくてもサクッと火が点いちゃって、ドライな感じですね。
とにかく夜、パチパチ焼ける焚き火を見ながら、スパイシーなこの世界のコーヒー的なのを飲んでると、
『私、違いのわかる私になってきてるわ』
と自覚しちゃうよね? ふふふふ。
うふふふふふふふふふふ。
「全然課題が進んでませんねー。今、現実逃避してたのかなぁ? ここは異世界だからこれ以上は逃避できないぞ〜✩」
ふんわり笑顔のシャウシャル教官だったけど! ギルドの教官の執務室の作業机に座った私の前には『雷魔法ジガの魔法書』『風魔法ズマの書』『浮遊魔法パフオの書』『拘束魔法ハギンの書』さらに魔法学の書籍がズンドコ積まれてる!
見習いローブを着た私の頭には『5倍速読サークレット』を嵌められ、椅子に縛られた私は逃げ場なし!!
「5倍速サークレット取って下さい! 頭オカシクなりそうてすっ!」
「ポーションは一杯あるし、わたくしもいますよ? それに、お兄さん達に甘やかされて隙あらば友達と遊び歩いてたから魔法の基礎座学がおろそかで、B級まで来れたのに修得魔法少な過ぎなんでしょう? チートはないんだから、はい頑張って頑張って」
反論し難いけど、ふんわり厳しいよシャウシャル教官!
「読めますけどっ、凄い速さで読めますけど!! うごごごっ、の、脳みしょがんがっっっ???」
あばばっ????
「あ、また白眼剥いちゃった。サティマ(麻痺)アティ(回復)」
なんか脳がジュルルってなった!
「はっ? 私は??」
「治ったね。じゃ、カズネさん。続行!」
「い〜〜やぁ〜〜〜っっ??!!!」
ここからの5日間、辛過ぎて、一通り修得して解放されてから3日くらい私は寝込んだよっ。今後はちゃんと合間に自習するから!!
こうして、私達のBー級認定の為の特訓は完了していったんだ···というか、なんかノッコだけズルくない?!




