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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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45話 きゃーんっ、言わせたい

→→→→→兄ターン



来訪者、カトウ。


ギルドの調査部が確認した限り、リコット村周辺ではなくギムリーのずっと南。犬型獣人ワードッグ達が部族抗争を繰り返す乾燥帯に最初に漂着したと想定される来訪者。


来た当初は10代中盤で『非常に痩せていた』という噂がある。来た時点では自分の能力もなにもわからず、すぐにワードッグ達に捕まり、奴隷商に売られたらしい。


しばらくは血液を採取する牢獄に容れられていたというが、なにかの拍子に『争乱期の魔法遺物と呼応するチート』に目覚め、牢獄を破壊して脱出。


その後、自分を苦しめた奴隷商等に復讐して回ったが、皆殺しにすると消息不明に。


どうもカトウはそこから力の源である魔法遺物を遺跡を荒らして集めだしたらしい···


チート持ちとはいえ、俺達よりずっとハードモードなスタートだ。


「(日本語)ノッコには悪いが、経緯を知っちまうと同情しちまうな」


「(日本語)うん。でも、隠れてしてきたことがバレちゃって、ギルドも衛兵の人達もほっとかない。てなったし、厳しいことになりそう」


カトウは目立つ主旨はないようでも、邪魔な相手や目撃者はガンガン殺害したし、この世界特有の『蘇生できる』というのも警戒して、死体はほとんどモンスターに食わせたり完全に破壊する等して処理していた。


明るみになればタダでは済まないヤツだ。


俺達は銀毛種の馬車で馬首街道を北上していた。どうもカトウの今の拠点は北のロングフット族達のテリトリー内にあるらしい。


ザメルより北の大きな町、リラキアの冒険者ギルド支部に当面対策本部が立つことになり、俺達を含む十組のC+判定のパーティーがギムリーからも義勇団として派遣されることになっていた。


俺達、ボルッカ隊は吉田さんの助言を守り『状況援護』を主なクエストとして参戦してる。


まだ具体的なことは決まっていないが、


「···」


他の3人は眠っていた。もうすっかり仲間だ。地球でこんな関係はなかった。


無事に切り抜けること。


それが第一だ。



···途中、ザメルや中途の村や野営地にも寄ったが、なんだかんだで4日掛けてリラキアの町に着いた。


「うぉおお、蒸気機関はないが、ほぼ『明治時代』だなっ」


「とっかい〜。というか広っ! このスケール感は久し振りな気がするよっ」


ゴーレムはあまりいないが、文明はだいぶ発達してる! 馬の代わりに速くて強い小型の恐竜みたいな竜が牽く、竜車(りゅうしゃ)が普及していた。


「ちょっと開発され過ぎて苦手です···」


「竜車の普及率はさすがだな。フェザーフットじゃ事故が怖いくらいだぜ」


「人多い! 祭りなん??」


ギルド指定の馬借の馬房から出て、俺達はお上りさん全開だ。


「ボルッカ隊っ、ここのギルドまでの竜車が出るぞ?」


「お? わかった! ここは広過ぎて徒歩じゃやってられねぇ、車で行くぜ?」


「交通費だけでも大変だ」


俺達は貴族のように結構遠い、リラキアのギルド支部へと用意されてた竜車に乗り込んでいった。



→→→→→妹ターン



リラキア冒険者ギルド! おっきいっ! この世界の建築力で魔法の気配なく4階建て!!


私達ギムリーの冒険者達は「田舎者だからって侮られるなよ?」「むしろ堂々となっ」「くっそ〜、ロングフットはすぐ『国』を作るからなぁ。使える税金が違うんだよっ」なんて言い合いながら、おっき過ぎる冒険者ギルド支部へと入ってゆく。


「ようこそ、リラキア冒険者ギルドへ!」


ギルドの受け付けが全員、兎型獣人『ワーラビット』族だぁ!


「「「お〜っっ」」」


獣人自体、ギムリーだとあまり見ないけど、ワーラビットはかなり珍しかった。めちゃ可愛いよね。制服も高そう。


でも、だいぶビビるギムリーの冒険者達!


「ギムリーの義勇団の方々ですね。それぞれ対応の窓口まで、こちらの割り振りとなっております」


資料を渡され、私達はあたふたと自分達の窓口2向かった。


「ギルド支部って、こんな緊張するもんかよっ?」


「ま、都会だからな」


「ちょっといい観光ホテル、て感じ」


「ボクは別に、森と比べたら全部都会ですから」


「ウチ、ちゃんと喋れるやろか??」 


私達の窓口は黒毛の兎ちゃんだった。カワ〜っ。


「こんにちは! 私はルシーですっ。ボルッカ隊を担当させて頂きます」


急に『兎ちゃんカフェ』みたいになった!


「···早速ですが、みなさんはカトウに面が割れて、敵意も向けられているようなので、オーダーでもありますし、なるべく外堀埋める係で構いませんね?」


さらに急に表情険しくなるルシーちゃんっ。


「それはいいんだけどよ、そもそもカトウの目的ってなんだ? 単に異能に有利な魔法遺物を集めてるだけなら、ちょっとバツが悪い気もすんだけどよ」


「それは確かに、凶暴で勝手なヤツだとは思うし、ノッコの気持ちもわかるが、この世界での出自からすると、自衛に関して過敏になってるのはわからないではない」


「ん〜、カトウさんの善悪もだけど、私達の担当の範囲は私達で大丈夫なんですか?」


ボルッカ、ヒロ兄、私で三者三様。

ナンクゥーは口出すするつもりないみたい。ドリアードを抱えてクルッとターンしたりしてる。ノッコは言いたいことあるみたいだけど、上手く纏まらなくて、あわあわしてる。あとで、ノッコにも話振るから。


「現状、カトウの主旨は不明ですが。活動はかなり浮き彫りになってきています。まずゴーレムを量産しているらしき施設が一カ所。続いて、収集した魔法遺物を研究改造している施設が一カ所。そして、居住専用施設らしき所が一カ所です。いずれもリラキアの領分ですね」


なぜ? はわからなくて、どこで? と、なにを? はわかってるんだ。


「自衛云々に関しては、明らかに過剰かつ攻撃的過ぎます。皆さんが来訪者とその支援者のパーティーであることはこの窓口では共有しております。しかし、『増長する異能使いの来訪者』が現れることも、この世界ではしばしばあることです」


確かに、よく色んな作品で見てきたけど···


「クエストに関してはすり合わせが必要ですね。まずはクエスト候補の資料をいくつかお渡ししまく。他のパーティーとの兼ね合いもありますが、今日の所は当方で抑えた宿でご確認下さい」


と、黒毛兎のルシーちゃんにどっさり資料を渡された私達は、ノッコにも、


「カトウに、きゃーんっ、言わせたいねん!」


「きゃーん、ですか···状況によりますが、捕獲できれば、魔法遺物抜きではタダの魔法使いのようですし、後に可能かと」


と、やり取りさせて一先ず納得してもらい、宿に向かうことにした。


宿はなんかこう、シュッとした感じだった。

取り敢えず広くて花とか浮いてるお風呂に行って、全員部屋に戻ってきた。


「風呂深過ぎだぜ、フェザーフット殺す気かよっ」


「高そうだが、吉田ハウスの方が落ち着くな?」


「百花繚乱亭ギムリー支店ですから」


「おー、そうだった」


「···なんか、ウチ。ずっと怒ってるのに慣れてへんから、凄い疲れてきたわ」


私達は笑ってしまった。あんま怒らない人ってそうだよね。


「ノッコ、ほんとに怒るのはここぞってとこに取っておいたら? ノッコはふんわりしててほしいよ」


「···うん。そやな。腕伸び夫には悪いけど···お腹空いたぁーっ!! リラキアの珍しいもん食べたいんや〜〜っっ!!!」


絨毯に寝っ転がる大きなノッコに、私達は改めてわらっちゃった。


ノッコが笑えなくなるようなことにならないよう、色々気を付けて、こっからクエスト選ばないとね···

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