42話 ノッコとトイトイゴーレム 前編
→→→→→ずっとノッコターン
ワーポーク、て言うたら「一緒にせんといてっ!」て他の獣人種族が怒るから言われへん豚みたいな人型種族オークと、遺跡の野晒しの地上部分で交戦中や。
「ブヒィーっ!!」
「フゴフゴッ!」
鳴き方めちゃポークやん? ちょっと美味しそうに見えてきたわ。
「てぃっ」
ガツンとウォーハンマーで1体の頭をかち割り、他の2体同時攻撃を鉄の大盾で弾く。
ウチらオーガ族はオーク族と相性いいねん。身体大きいて当て易いし、ゴブリンみたいにちょこまかせぇへんし、力任せでくるし、あと普通は魔法も使わへん。
皆、オークのパワーとタフさにあたふたしてるけど、ウチはわりと今回楽かも?
···ウチらのパーティー『ボルッカ隊(ヒロシに任せがちやけど先輩のボルッカがリーダーやねん)』と他3組のC級冒険者隊ばっかしで、森の遺跡で見付かった古代のゴーレム? を使役しだしたオーク族の一団を退治するクエストに来てるんや。
オークがゴーレム使役とか珍しいけど、使役条件がフワっとしてる魔法遺物やったら意外と『先に見付けたもん勝ち』みたいなこともあるみたいやから。
オーク自体はスタンピード起こしたり、特殊個体が発生したり、他のヤバいのと組んだりせん限り『ゴブリンより強い人型モンスター』てだけやねんけどな。
今回は遺跡の調査しはっとる学者さんや案内人とか護衛の人らが早うに見付けてくれたさかい、変なことになる前に来れた感じや。
「どすこーいっ!」
人型の敵、傷付けるの苦手なカズネがもたもたしてる内に囲まれとったからハードシェルで突進して、吹っ飛ばしたった。
「ノッコっ、ありがと!」
「ええで、でも気ぃ付け、あっ」
ちょっとドスドス勢いつけ過ぎたわ! 遺跡の床を踏み抜いて、落っこちてもうた!!
「またやってもうたぁ〜〜っっ!!」
「ノッコーーーっ?!!」
真下やったらまだよかったやけど、そっから坂を転げ落ち、右に左に!
「うわわわっ??」
転がったままちょっと坂登ったり、飛んだり、
「あかーんっ!」
で、どっかに落っこちた。砂地やっ、ズボッで胸まで入ったわっ。
灯り見えた。遺跡の地下まで魔力供給生きとるみたいや、緑色の陰火の火が大きい燈台に灯っとる。
いやというか、この砂、渦巻きだしてへん?
「ちょっ?!」
「バモォオオーーーッッッッ!!!!」
いきなりっ、砂の渦の中心からデカい蟻地獄みたいなモンスター出たぁーっ!!『ダンジョンシュトルム』やぁ!
「あかんっ、砂がっ、あかんんんっっ」
動き難過ぎるっ、踏ん張りきかんっっ。ウチが慌てとったら、
「掴まって下しゃい!!」
びょーんっ、て人形の腕みたいなんが伸びてきたっ。凄い古そうな装飾やけど小型ゴーレムや! 腕伸ばしてくれてるっ。
ウチを夢中で掴まった! ゴーレムは引っ張りだしてくれるみたいやっ。
「んぎぃーっ、重いでしゅーっ!!」
「頑張ってぇーっ、ウチも足で漕いでみるっっ」
2人で気を合わせて登って登って、どうにか砂の渦から出られた。
「バモ···」
口惜しそうにダンジョンシュトルムは砂の中に消えてったわ。
「危ない所だったでしゅ」
「いやほんまにっ···ん?」
ゴーレム? ウチはハッとして飛び退いた。
「あんたっ、オークが見付けたいう古代のゴーレムなんかぁ?!」
「まぁそうですが、オーク達は我々『トイトイゴーレム』の支配権がないので。我々の今のマスターは『カトウ』しゃまでしゅ。オークもカトウ様が古代遺物の力で使役されておりましゅ」
「えぇ〜??」
なんや、黒幕みたいなのおるんか···
「ヤバそうやん。ウチ、取り敢えず地上に戻りたいんやけど?」
「ん〜。ちょっと位置が悪いでしゅ。ここからだとカトウしゃまのいらっしゃる部屋の前を通らなきゃでしゅ」
「えー?」
あかんやんっ。
「でも、オークが遺跡の研究者達に見付かったので、カトウしゃまはここを引き払う準備中でしゅ。荷物の出入りがあるので、それに紛れれば行けるかもでしゅ」
「ん〜···やったるかぁ! 一応脱出の指輪は掛けとこ」
鎖に徹した脱出の指輪は首に掛けて、服ん中入れといた。シトリーおらんから出入り口は出せんけど、共振で位置わかるやろし。
「ウチはノッコ・ジングウ! 45歳やっ。オーガ族の、可憐な少女やで?」
「我々···私はトイトイゴーレムのA0023号でしゅ!」
「番号もアレやな。そやったら『腕伸び夫』な」
「あ〜···それでいいでしゅ」
ウチは腕伸び夫と、まずは黒幕のカトウいうヤツのおる部屋の前を目指すことになったで!
「腕伸び夫はいつ造られたん?」
「400年程前でしゅ。今では『争乱期』と呼ばれてるらしい戦争の多かった時代でしゅ」
「へぇ? ウチの故郷にもその頃活躍しとった人がおったみたいやわぁ」
悪霊になって封じられとるけど。
「腕伸び夫も戦争しとったん?」
「いえ、トイトイゴーレムは生活支援型でしゅから。末期には戦闘にも投入されたみたいでしゅが、我々の個体群は最後はなにも指示されまま、運用勢力が滅びてしまい、以後この地下に放置されておりましゅた」
「ふ~ん。寂しかったんちゃうん?」
「寂しい? どうなのでしょう? 機動停止だったので。カトウしゃまに起こして頂いた時には全て終わっていましゅた」
「あっさりしとるんや」
「あっさり···私は、軍に徴発される前はとあるお家で使用人補助のゴーレムとして使用されておりましゅた」
「へぇ?」
腕伸び夫は歩いて案内しながら、しばらく黙っとった。思い出しとるんやろな、て。
「なにもかも過ぎてしまいましゅた···」
「そうなんや。手ぇ繋いだるわ」
ウチは歩きながら腕伸び夫の手を握ったった。
「データにない作法でしゅが、恐縮でしゅ」
「勉強しぃや」
「了解でしゅ」
ウチは遺跡の地下のどっかを腕伸び夫と手ぇ繋いで歩いてった。




