35話 トラップボックスと発芽とブランコ
→→→→→ボルッカターン
ヒロシ、カズネ、ナンクゥーはギルド関係の修行。ノッコは吉田ハウスてオフ!
オイラはギムリーにある叔父さんの家に来ていた。そこの土間になってる作業場で、ひたすら『C級トレーニングトラップボックス』を解除&解錠していた。
コイツはランダムで鍵や罠のパターンが変わる鍵師のトレーニング用魔法道具。まぁ罠は実際爆発したりモンスター呼んだり毒ガス吹いたりするワケじゃなく、ミスを警告してくるだけだが。
「ふぅおおおっっ!!」
オイラはなるべく素早く処理しまくるっ。と、
「うわっ、ボルッカ来てるっていうから見にきたら、なんの発作?」
平服に帽子に鞄姿のタレップが来た。オイラの従姉妹。
「鍵師の基礎トレだっ! 今、組んでる仲間が討伐系クエストメインだから腕、訛っちまうからよっ。いざって時に仕事できないと困るだろ?」
「カズネとヒロシ達かぁ。あの2人、冒険者にしては凄いよく働くよね?」
そう、普通冒険者は一仕事したらインターバル開ける。一応休んではいるが、ヒロシ達はやっぱペース早い。成長も。ナンクゥーとノッコも普通じゃないし。俺もぼんやりしてられないぜっ。
「人それぞれあるんだよっ。つかタレップ! お前もいつまで訓練所通ってんだ?」
「あたし週に1〜2回だし」
「はぁ? じゃあ普段なにやってんだよ?」
「グルメ隔週誌でバイト! 記事も書いてるよっ。ふっふっふっ」
「はぁ? あっ」
ミスしちまった。「爆破とらっぷ作動、オ前死亡オ前死亡」と警告されまくる。
「じゃ、今日も取材あらから! 行ってきま〜すっ」
「おいっ、ギルド登録どうすんだよ? オイラ、知らないぞっ? タレップ!」
なんだよ、ヒロシ達が片付いたら指導してやろうと思ってたのによっ。
「オ前死亡、オ前死亡」
「わかったよ!」
トレーニングトラップボックスを小突いてやったぜ。たくよぉっ。
→→→→→ナンクゥーターン
ボクの精霊使いの教官はノームのお婆さんだった。
呼びだされたボクがズルしないように、ボクのドリアードはバッチリ球形魔法陣で封印されてる。
そしてボクは、
「···無理です。そろそろ、帰ってもいいですか?」
ギムリーのノーム居住区の一角のハーブ園の植え替え用空きスペースの畑の土に埋められていた。ボクは首から上だけ出してる。
ノームのお婆さん教官ロヴミィさんは強力そうな杖を手に、眉一つ動かさない。
「ダメだよ? 土の力を感じるんだ、ナンクゥー。お前はドリアードと相性いいが、暴走しがち。土の精霊ブラウニーの扱いを覚え、バランスを取るんだ。相互に力を高め、お前自身も力を得られるだろう」
「無理です。発芽しそうです」
「ナンクゥー。お前は『大地の祝福』を受けている。きっと意味があるんだろう。今のままフワフワしているだけじゃ、やがて待ち受けるであろう使命を果たせない」
「使命の前に発芽します。ロヴミィ教官。1回土から出ていいですか?」
「···集中するのだ。ブラウニーの気配に」
堂々巡りですね。
「はぁ、終わらないと帰れそうにないですね。やってみます」
ボクは集中し、周囲の土の魔力に呼応する。場所が場所、埋まってるし、嫌でも土の気配はわかります。
形を取っていない、ブラウニー、それを、集める!
ゴゴゴッッッ。
「花天月地です」
地中から巨人のような花咲く土の腕が生え、ボクを地表に掬いあげました。
ボクを降ろすと腕が崩れ、中から土と岩と金属の人形のような精霊、ブラウニーが現れます。ボクの精霊だから花の装飾もあります。
「うむ。顕現には成功。ではそのコントロールを学ぶよ?」
「え〜? まだやるんですかぁ?? ボク疲れましたよ」
ボクは、ぽてっといくらか花の残る土の上に寝転がり、呼応したブラウニーも寝転がりました。もう夕暮れです。
他の皆は上手くやってるのでしょうか?
→→→→→ノッコターン
「できたでっ!」
ウチは土器ゴーレムとレプラコーンのリーダーと協力して、余った材料でウチでも乗れるブランコを完成させたんや!
畑の手入れのあとに思い付いて、日暮れまで掛かってもうたわっ。
「おー」
「オ疲レ様デス」
「乗るでっ」
早速、レプラコーンのリーダーを肩に乗せ、土器ゴーレムを小脇に抱えてブランコに乗ってみてんけど、ゆわ〜ん、ゆわ〜ん、てするっ!
「ふぁ〜〜〜っっ、ウチが乗っても壊れんブランコやーーっっ!!!」
「すりりんぐデスネ」
「そんなブランコ乗りたいかぁ?」
「オーガの村ではお金持ち専用やってんっ。ウチ、みなしごやし、山羊の小屋で育ったから、ブランコ乗りたかってん!」
ちょっと泣いてもうたわっ。
「へぇ〜」
「ヨカッタデスネ」
「へへへ」
しばらくブンブンとブランコに乗って、ウチの大きさとパワーで風を巻き起こしとったら、
「オイっ、ノッコ! 飯だぞ? ところでゴーレムを知らんか? うわっ? なんだこの風??」
「吉田じじっ! 一緒にブランコ乗るかぁっ?」
「それブランコかっ?! 挽き肉にされるわいっ!! というかレプラコーンまだおったんか? まぁいい、遊んでないではよ家に入れっ」
「はぁ〜いっ! 吉田じじ今晩のおかずは?」
「米と焼き魚とソイペーストスープと糠の漬物だ」
「やったぁーっ!! 米、好きーっ!!」
「地味だなぁ〜、俺様レプラコーンの王だぜ?」
「私ノ魔力充填モヨロシク」
腹ペコのウチはブランコをやめて、皆で家に帰ったんや。




