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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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25話 ゴースト退治と封書

→→→→→兄ターン



月光だけじゃ光源が足りない。

ナンクゥーのドリアードが多数発生させた夜光種の浮遊草(ふゆうそう)の花が淡く、廃墟の屋根を照らしている。


「よっ」


魔法式を練っていたカズネに突進しようとしていた透けたTシャツみたいなアンデッドモンスター、ゴースト2体に、山刀に魔力を込めて投げ付け、ぶち抜いて消し去る。


「ラスタ! ヒロ兄ありがとっ」


無属性弾を7発撃って7体ゴーストを仕留めるカズネ。念力で屋根を引っ剥がしてぶつけると足場減るしな。


「いいから囲まれないように!」


忠告してると、


「どすこーいっ! あっ」


ノッコが鉄のラージシールドに圧縮して魔力を込めるスキル『ハードシェル』を発動してボロい屋根の上を巨体でドスドス走って、トラックで跳ねるみたいなやり方で5体くらい纏めてゴースト達を消し飛ばしていたが、案の定、屋根を踏み抜いて屋内に落下していった。


「うそや〜っっ??」


ま、凄い頑丈だから、よし!


俺は屋根を走りながら魔力を込めたショートグレイブを振るって2体消し去りながら一先ず位置修正する。仲間から離れ過ぎた。と、


「多いなぁ、目撃情報半年前だろ? 貧民エリアだからって放置し過ぎだぜぇ。おいっ、ノッコ! 生きてるかよ?!」


ボヤきながら教会で浄めてもらった豆弾(まめだま)(干した豆で、こっちの世界ではリアルお浄め効果あり。鬼は外!)をパチンコで撃ちまくりながら、屋根から落っこちたノッコの様子を見にゆく面倒見のいいボルッカ。


「は〜いっ! でも階段ボロボロでウチ登れへん(最初に登る時、大体バキバキにした)。この廃墟壊していい?」


「やめろー! 座って算数の座学でもしてろっ」


「いややぁーっ!!」


うん、算数は大事。


ゴースト達は『接触』で生命力を吸ってくるが、『叫び』で精神にショックを与えてくる。どっちも呪いの一種として判定されるようで、ラピスの指輪が利いててやり易い相手ではあった。


数が程々で、足場がしっかりしてたらさっ。


「ハハハ、この攻撃楽で好きです。浄めの、百花繚乱」


ナンクゥーはドリアードが起こす花吹雪を使って霊木の灰を広域に撒いてゴースト達を焼き、いい感じに牽制してくれてる。


カズネはウィッチウィップを構え、一先ず守りを固めた。ボルッカ、ナンクゥー、ノッコもたぶん問題無しっ。


「よし、とにかく、数減らしてくか!」


一旦戻りはしたが、思ったよりゴースト達の動きに纏まりがなさ過ぎてこのままだと持久戦になりそうだったから、屋根から離れた中空で逆巻いてるゴースト達にエアステップスキルで飛び掛かってゆくことにした。


ノッコが短気を起こす前に!



→→→→→妹ターン



なんか狭いとこに入り込んじゃう個体とかもいて、結局明け方まで掛かって『馬首街道北のロングフットの村、ザネルの貧民エリアの廃墟に巣食うゴースト群の退治クエスト』を私達は完遂した。


つ、疲れた···


ザネルは村にしては規模があるのとゴーレムはいないけど文明レベルは産業革命前夜くらいある。人口もわりと多い街。

主な住人のロングフット族はまんま地球人で、中央アジアの西側の人っぽい感じ? 服装はファンタジー的な服装とマカロニウェスタンの中間くらい。


ここは広いらしいロングフット族のテリトリーの南端の街の1つらしくて、『辺境の街』ていうことなんだと思う。ちょっとハードボイルドな雰囲気。


初めて見た、他の種族から『実利的』『平坦』と評価されてるロングフット族の村にはガッツリ貧民エリアがあって、ちょっと哀しかったかも?


とにかく24時間営業の冒険者ギルド系の酒場が小さな支部として機能していたから報告に行った。


「お疲れ、あそこの亡霊どもは貧民区の死に損ないだ。これでようやくあの世に行けたろう」


「まぁ」


「はい···」


返答に困る瀧川兄妹だったよ。


報酬はギムリーから遠征した割にはそこそこだったけど、廃墟で高値で売れる闇属性素材の『ブラックジェム』を何個か拾えたから、儲けは十分だった。


なにより新しいロングフット族の土地も見れてるしね。


「それから村長から、クエストを完遂できたらあんたらに渡してくれってさ」


酒場の朝番のオジサン(ロングフット族だから普通に普通のオジサン)は封書を渡してきた。


···宿に戻った私達は小腹空いたノッコには滋養円盤を、ドリアードに棘が出てきた(主人のストレス値を反映!)ナンクゥーには氷温缶のアイスを食べてもらい、封書を開封してみた。


『クエスト完遂おめでとう。事前にアポを取ってもらえって尋ねてもらえば私個人からもなにか餞別を渡そう。多重に紹介状を書いてもらってる君達は信用度の高い来訪者だと了解している。ところで、ザネルの貧民街にも実は来訪者がいる。すっかりこの世界に定着した者だが、よかったら都合のよい時にでも様子を見てみるといい。少々変わったヤツだがね』


封書に住所と地図も記されていた。


「わりと定着しがちに思えてくる···」


「また結婚してる、とか?」


「ボクんとこの義兄さんみたいにですか? どうでしょう」


「いや、帰るに帰れなくなったのもいるだろ?」


「湯浴みしたら、さっきの店で朝御飯食べへん?」


協議の結果、湯浴みしてさっきのお店で朝御飯食べることになった。


ノッコ案、プリミティブで大体強いから···

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