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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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23話 正直者

→→→→→兄ターン



バーデラ村の近くの忌み地に封じられた死霊は『ルェモチ』いった。元はオーガ族の英雄だったらしいけど、戦いに取り憑かれて味方に見放されて討たれ死霊に転じたとか、封じられて400年! 恨みは晴れてない···


クエストの手はずは、村の呪い師達を自警団と一緒に護衛するだけ。補修自体は呪い師達がやってくれる。ただ忌み地の岩に憑いた死霊の眷属は厄介らしい。


全員が呪殺、怒り、恐れ、呪い全般に効果がある『羅刹の指輪』を村から貸与された。こっわっ。


なんだかんだで早朝から出発となった。


「ノッコ、オーガ達全員軽装だが大丈夫なのか?」


羅刹の指輪は全員、頑丈な鎖に付けて首飾りのようにしてたが、呪い師以外の服装は祭りみたいな平服のままだった。ドワーフ系の人らも軽装気味だが、さすがに戦闘員が平服ってことはなかった。


武器は全員ゴツいの持ってて、ノッコもデカいトンカチのウォーハンマーを腰の留め具に吊るし手には鉄板のラージシールドを持っていたが。


「ウチら頑丈やねん。暑っ苦しいし」


簡潔な答え。


「おー···」


「景色はよいです」


ノッコの肩に乗ってるナンクゥー。しっくりきてるようだ···。


「聖水のストックは結構あるし、死に損ない(アンデッド)には野営用の霊木(れいぼく)の灰も有効だろ? 俺は初めてだがこのクエスト自体はD級クエストとしては大昔からある物だぜ?」


「まぁ、対策できるんだろうけどさ···」


「そういえばアンデッドとの実戦初めてだね、ヒロ兄」


「カズネ。『例の作戦』でいくからな?」


「うん!」


俺達瀧川兄妹は一計練ってきていたっ! ふふふ。


そうして、普通の下級モンスターを適当に蹴散らしつつ(オーガの自警団めちゃ強でほぼすることない!)俺達は件の忌み地まで来た。


凄い、負の魔力! 昼間なのに真夜中に心霊スポットに来たような感覚だっ。


「アレや! ふぁ〜っ」


訛強めのノッコ! 奇怪な形の岩の柱が並ぶ空間から『岩のような歪な人型の者』が次々現れた!『イワシビト』だ! 動き、気持ち悪っ


「呪い師を囲んで突進だ! 冒険者とノッコは殿っ」


殿かよっ。自警団リーダーの号令の下、戦闘は始まった!!



→→→→→妹ターン



「アーッッ!」


「ゲゴゴッッ」


呻きながら襲ってくるイワシビト達! 対策してないと触れられるだけで呪われるっ。叫びにも『激怒』『恐慌』弱ってると最悪『即死』の状態異常効果あり! チートない方な私達は、アクセサリー超大事っ!!


イワシビトの素の戦闘力はグレイハウンドと変わらない。魔力込めないとダメージ与えられないけどねっ。


「カズネ! 思ったより数多い! いきなり例の作戦だっ」


「OKヒロ兄!『お浄めデリバリーラッシュ作戦』、受けなさいっ。ムート!!」


私は事前に小分けしてサッチェルバッグ型の収納鞄に詰めてた霊木の灰を念力で操り、イワシビト達に一気に投げ付けまくった! 聖水程じゃないけど、焼け付いて怯みまくるイワシビト達!!


「いいですね。じゃあ私も浄めの、百花繚乱!!」


霊木の灰を収納ポーチから花吹雪と一緒にバラ撒いてイワシビト達を怯ませるナンクゥー。


「よっしっ、今だ!」


「期限切れ前の聖水が火を噴くぜ?」


ヒロ兄とボルッカが聖水も撒きまくり、私達が後ろら押し上げるように一団を進めた。


それにしても重武器を棒切れみたいに軽々振り回して暴れ回るオーガの自警団の強さ! ノッコも何気に男性オーガ並みの身長で普通にめちゃ強い!!


私達は拍子抜けする程簡単に、ヒビが入っていた封印の魔法式の刻まれた巨石の所にたどり着いた。


ここからは呪い師の人達が素早かった。必要な素材をバッと並べ、全員で呪文を合わせ、一気に素材を対価に修復&再封印の魔法式を編み上げ直し、ヒビを塞いでいった。


ただ再封印の間際、中から凄い邪念が響いた!


(来訪者がいるな? 異能はなくとも、『戦士の心』を持っているっ。気付いているだろう? この世界の、闘争の歓喜を!! 解放しろっ! 闘争以上の快楽はないっ!! その荒ぶる魂はっ、いかなる異能も屠るであろう!! ザァハハハハッッッッ!!!!)


声は私達瀧川兄妹にしか聴こえてないみたいだったけど、これ私にじゃない。


「ヒロ兄?」


「大丈夫だ。死者の負け惜しみだよ」 


ヒロ兄はいつも通りに見えた。


封印は完了し、イワシビト達も崩れ、クエストは完遂となった。



村長に馬首街道北の他のいくつかのオーガ族宛に紹介状を書いてもらった私達は、翌朝バーデラ村を後にした。猪に懲りたから帰りは遠回りね。と、


「ヒロシさーん! カズネさん! ボルッカさん! ナンクゥー! ちょお待ってぇーっ!!」


後ろからドスドスとっ、旅装束のノッコが走ってきた。


「なんだよノッコ?」


「ウチも連れてって! 皆と一緒の方が美味しい物食べられ···もといっ、外の世界で修行できそうやっ!!」


「心の声出過ぎぃー」


「正直になりましょうか?」


「食費分働けんのかぁ?」


「ウチは働き者やでっ!」


「···ま、いいけどさ」


段々仲間に入れるハードル下がってる気がするけど、新しい仲間『オーガの娘、ノッコ』が加わった。

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