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瀧川兄妹異世界転移する!  作者: 大石次郎


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22話 盆と正月

→→→→→兄ターン



岩場の多い平原に唐突にあったバーデラ村は全体的に大味な村だった。


人口的にはおそらくリコット村くらいなんだが、サイズが全て2倍くらいある! 平地で排水に難があるようで水路はキッチリ通されていたが、風除けの塀に囲まれた建物は簡素で、母屋にあたる建屋以外は壁の無い造り。


土地の使い方もざっくりさていて面積だけならリコット村の居住区の3倍から4倍はありそうだった。


岩が多くても平原だから農地は確保できそうなもんだけど、3箇所に広大な農地を確保していた。ボルッカ曰く、芋、菜種、蕗、山羊を主に育てていて、大食いのオーガ達は常に食料問題を抱えているようだ···


「というかほんとデカいなっ」


「距離感おかしくなりそう!」


オーガ族はドワーフ以上に筋骨隆々で額の上辺りに角を数本持ち、犬歯の鋭い種族なんだが、とにかく身長が高い! 成人男性の平均身長は2,3メートル!! 女性でも2メートル!! そりゃ大食いにもなるわ。


代謝がいいのか? 全員『これから夏祭りだ!』みたいな服装をしてる。


「怒らせない限りのんびりしたヤツらだよ。ただ不器用で、すっトロいとこあるから、都会じゃカモにされがちだ。戦士としては最強級の種族なんだけどなぁ」


「都会は厳しいですから···」


遠い目のナンクゥー。


取り敢えず、村長の所に行ってみた。


「ほう、ネルドーアのエルフの紹介状。ほほう、ほほーう···」


なんだかんだでボリュームある紹介状に興味津々なバーデラの村長。昔話の鬼の大将みたいな風貌だが、読書用眼鏡で読み込みに夢中だ。 


「ここに来訪者等···いや来てはいたんじゃろうが、紹介状付きで来たのは40年ぶりじゃな」


オーガ族はノーム、エルフと同じく長命種! 180年は生きる。寿命的に『一昔』てとこか。


「軽業と念力と花吹雪が得意で手先も器用とか」


4人混ぜるとそんな感じではある。


「ちょうどいい。ここはあまり旅人も寄らず皆、退屈しておる。器用なのもよい。どうじゃ? バーデラ専属のサーカス団兼何でも屋として住み込みで働かんかのう? 毎月、芋一樽に蕗の漬物と一番搾り油を一(かめ)、燻製山羊チーズ一包みを固定給で払うぞ?」


「えー···」


現物! 基準がわからないっ。


「いや村長! コイツらチキュウに帰るつもりなんッスよっ。それから今、ギルドのクエストて来てるんで」


ボルッカが間に入ってくれて、村長は渋々引き下がってくれた。助かった···



→→→→→妹ターン



サーカス団始めることになりかけたけどっ、バーデラ村の依頼は昼の明るい内に、村の外れの忌み地の死霊の封印の岩の補修を手伝ってほしい。というものだった。


···ん? 討伐は??


と思ったけど、昼間でも現れる死霊の眷属から補修隊を護衛してほしいということだった。


来てみたらちょっと話違うパターン! ま、やるだけやってみるけど。


今日の内に作業確認を村の食堂で行うことになった。


全ての家具が大きいから『子供用家具』出してもらったけどっ。


「料理、シンプルだね···」


蕗の漬物、蕗炒め、蕗煮付け、フライド蕗、茹で芋のオイルソース掛け(主食)、燻製山羊チーズ、フレッシュ山羊チーズのジャム掛け(デザート)、山羊ヨーグルトの蜂蜜掛け(豪華なデザート)、笹のお茶(麦茶的な立ち位置)という物だった。


ただし大盛り!


「村費が出たから今日は『お誕生日』やっ!」


協議に来た自警団の女の子(おっきい!)は目をキラキラさせていった。


「「「???」」」


私、ヒロ兄、ナンクゥーは言い回しに戸惑った。どっちだろう? て。


「豪華で量が多いって意味だ。あと、実際、食べられる時に誕生日の祝いを何人か纏めてやったりもする」


ボルッカが耳打ちしてきて、私達は了解し、目配せした。


この子、自警団のノッコちゃんは腹ペコらしい。


「あ、これ、収納鞄にギムリーのルートビアのミニ樽入れてたんだけど」


「これ、野営の残りのスモークハム!」


氷温缶(ひょうおんかん)にアイスクリームの残りがあります」


「···オイラもか? じゃ、ハーブキャンディとか、食うか?」


「ふぅわぁああーーーっっっ??!!! 祖霊祭(それいさい)と新年祭が一遍にきたわーっ!!」


盆と正月が一度に、みたいなだと思う。


しばらく泣いて爆食するノッコちゃんに唖然として、私達はクエストの確認どころじゃなかったよ。

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