18話 つくねと雨蛙とお花畑
→→→→→兄ターン
ヤーシュ村の周囲の下級モンスター駆除クエストは済んだ。
後処理は村の自警団に任せ、俺達4人は村に戻った。
「ボルッカとナンクゥーを味方に付けたとはいえ、特別な力を得られなかったにしてはいい手並みだね、努力したんだろう? 気に入った」
お? 結構褒められてる。俺達瀧川兄妹はニヤニヤしちまう。
「『馬首街道』の先のオーガ族の村とちょいと遠いが、ロングフット族の村の村長達宛に紹介状を書いてやろう。それからこれはサービスだ。自警団の若手連中もいい経験させてもらったしね」
報酬と紹介状とは別に、俺は『エアステップの奥義書』をカズネは『ムートの魔法書』をもらった。
奥義書はナンクゥーの姉さんの鑑定眼みたいなスキルの修得に必要な物で、魔法書はまんま魔法を修得できる。どっちも修行と適性が必須だが。
「「ありがとうございます!」」
「うん、2人ともB級冒険者になったらまた来な。その頃には身の振り方も固まってるだろう。ナンクゥーもいつまでもフワフワしないことだね」
「了解でーす」
「わかってんのかね? ボルッカもまぁ···元気でな」
「オイラに興味なさ過ぎぃっ!」
「あー、はいはい」
村長にうるさがれつつ、俺達は一晩ヤーシュで疲れを癒し、翌朝、ヤーシュの村を出立した。
因みにクエスト完遂は昨日の内に村長が使い魔のミミズクをギムリーに飛ばして(ファンタジーっぽい!)報告してくれている。
···行きと違い一度来たばかりの道なのと、ナンクゥー以外の俺達3人がネルドーアの森の魔力の強さに慣れてきたこともあって、午後にはゼゼシュ郷に戻れた。
「ゼゼシュの素焼きゴーレムの方が丸っこくて可愛いかも?」
「ボクも好きですね」
「で、お前らどうすんだ? 今日はナンクゥーの実家だか牙城だかに泊まるにしても、このままギムリーにすぐ戻るか? ヤーシュ程じゃないしてもここは普通の土地より魔力が強い。スキルや魔法の修行をするにはうってつけだぜ?」
「百花繚乱亭に泊まるなら安いし、ボクはちょっと皿洗いとかすればタダだし、コスパいいですよ?」
「ヒロ兄、どうしよっか?」
「そうだな、装備の補修もあるし、ヤーシュでニンフの指輪も買ってお金使っちゃったしなぁ」
あのアクセサリー優秀だからさ。
「だから蜂の針拾っといてよかったろ?」
「だな。···よし! ギルドには報告済みみたいだし、数日ゼゼシュに留まってみっか」
「「お〜」」
「ま、いいとは思うぜ。ナンクゥーには俺が白兵戦の基礎を教えてやんよ」
「え〜っ?」
ナンクゥー凄い面倒そうだけど、俺達はしばらくゼゼシュ郷に滞在することになった。
→→→→→妹ターン
ムートは念力強化魔法。魔法の適性的に操作系の私とは相性抜群!
ただこれだけ覚えても一対一の戦い以外では補助しかできないから、メイラル村のシトリーさんからは汎用性の高いラスタを教わっていた。
だから待ちに待った、って感じ。半日ギッチリ読み込んで(ネオ山梨の難解な魔法書を読解するの大変!)それから暴発しないよう気を付けながら、みんなと一緒に百花繚乱亭の裏手で自主練開始!
「ムートっ!」
ゴキャッ、転がってた石を持ち上げようとしたら強く『握り』過ぎて粉砕しちゃった。
「はい、カズネちゃん。今ので助けようとした人は『つくね』になっちゃったね」
洗濯物干してたナンクゥーのお姉さんに言われちゃったよっ。
「···調整覚えます」
もう一度、魔法書を確認だ!
ヒロ兄の方も平服に兜だけ被って、奥義書片手に足元に波紋状に魔力の足場を作って宙で跳ねるエアステップのスキルの修得の為に、空中でつんのめったりやたら高く飛ばされたりして、
「どぅああ〜っ?!」
とか言いながら奮闘してる。うん、慌てん坊の雨蛙、て感じ。
···で、リーズナブルで助かる牙城の主、ナンクゥーはというと、
「ふぁ〜、ドリアード。あの雲、綿菓子みたいですねぇ」
2時間くらいで白兵戦訓練に飽きて、草地をドリアードにお花畑に変えさせて寝転がっていた。
「ナンクゥー! まだ始めて2時間だぜっ?」
「ボクが、2時間も『運動の練習』をするなんて、奇跡」
「いやもっとがんばろうぜっ? マジでさぁ」
ボルッカが一番大変そうだね···




