14話 百花繚乱
→→→→→兄ターン
ネルドーアの森。大地の魔力が強い森林地帯でエルフ族やその混血がチラホラ住んでるという。
ギムリーを出て一晩野営した俺達3人は、ネルドーアの森の外周部に入りそこの渡り場の1つに差し掛かっていた。
「よっとっ」
俺は魔力をいい感じに身体とショートグレイブに回し、スティールビー4体を斬り伏せた。
「よいしょっ!」
ウィッチウィップで2体仕留めるカズネ。合わせて魔法式も少しずつ練ってる。
「暇なさそうだが、高く売れる針だけでも回収しようぜ?」
素早く回避しながらパチンコで癇癪の実を局部に打ち込んで3体仕留めながら提案してくるボルッカ。
「行くよっ、ラスタ!!」
練り上がった魔法式をハイテンションで発動させ、無属性弾を多数放って7体のスティールビーを仕留めるカズネっ。
「ほっ」
俺も山刀を投げ付け、頭をかち割り最後のスティールビーを仕留めた。
「ちょい待てよ? 済ませる!」
ボルッカは早送りみたいな身のこなしで、金鋏と狩猟ナイフでスティールビーの死骸から針を抜き取りまくり、陶器の瓶にしまって蓋をした。
俺もきっちり山刀は回収。
「へっへっ、大漁大漁。冒険者のクエストは経費が掛かって足出ちまったりもするからな。移動途中に機会があったら素材回収をなるべく···ヤッベっ。ズラかるぞ?!」
スティールビーの体液や戦闘音なんかを察知したのか? めっちゃ走ってくる『ダッシュダケ』ていうキノコモンスターが群れで現れた! 俺ら毒や胞子対策はあんまりできてないっ。
俺達は全速で渡り場の向こうの魔除けの林道へ駆け出した。
→→→→→妹ターン
エルフの村、ヤーシュはネルドーアの森の中間域辺りにあるんだけど、ルートがちょっとややこしいんだ。
いくつかの渡り場をガンガン進んで直接的に勧めば、私達が入った外周部の入り口から半日で行ける感じではあるんだけど、中間域の時点で出現モンスターが強いんだって!
しかもルートが複雑な上にネルドーアの住人はあまり外の人々と積極的には交易していないから、ここの渡り場に対応した馬車便がないっ。
となると渡り場を使わず森の中を魔除けの林道頼りにぐるぐる回り道しなくちゃならなくて、迷わなくてももう一晩掛かってしまうとか。
2日続けて野宿はカズネ的に無いよ! と、私達は無理せず大体ルートの中程にある、エルフとの混血者達の郷、ゼゼシュに1泊することにした。
「おおお···ハーフやクォーターの時点でっ、耳がっっ」
「顔付きや体型もシュッとしてるよ、ヒロ兄!」
少し耳の長くやや小柄な気もする住人達は全体的に整った容姿で、格好や風景は違うけどリコット村風の素朴な暮らしをしてる。
農地は森の中だからやっぱりいくつか分散してるみたい。というかネオ山梨、基本地産地消だよね。
リコットと違うのはノームの人達のより簡素な、素焼きを小型ゴーレムを使役してるくらいかな?
「ここはロングフットとの混血が一番多いんだぜ? お前らロングフットはエルフ好きだからなっ! へへへっ」
「いやいやいや、ふふふ(兄)」
「まぁまぁまぁ、でへへ(妹)」
実際、フェザーフットやドワーフ、ノームとの混血は少ないようだよね。ロングフット族は確かこの森のずっと北にテリトリーがあるはずだけど、結構遠いはず···なんて思ってると、
パァンッ! いきなり私達の近くに強力な魔力が直撃し、辺り一面がお花畑に変化した!!
「「「?!」」」
攻撃じゃないと思うけどっ、身構える私達! 魔力は右手の頭上から感じたっ。郷の中に生えてた大木の枝の上に、私と同年代くらいに見えるエルフとロングフットのハーフらしい女の子が立っていた。
傍らに小さな、花咲くお人形みたいなモンスター···いやっ、あれは確か植物の精霊『ドリアード』を、従えてた! なんか資料で読んだよりファンシーな見た目だけどっ。
「ども、こんちは。ボクは『百花繚乱のナンクゥー』と呼ばれてます。特技は百花繚乱です」
「「···」」
いや確かにそんな感じだったけどっ。戸惑う私達。
「いるかな、とは思ったがやっぱりいたなっ。タキガワ兄妹気を付けろ! ヤツ、ナンクゥーはな」
冷や汗を拭うボルッカっ。なになに?
「この郷の民宿の次女でっ、客引きが強引だと度々ギルドでも問題になってる要注意人物だ!」
「「···」」
なんて?




