約束8
この頃、裏方が多いはずの三画に
身分が合わない方々が見かけらえる様になった
一人目は第三騎士団長ジル、彼は城の裏門や町の者達との橋渡しもすることが多い衛兵をまとめる者の為
以前から三画では姿を見ていた、まぁ問題ないだろう
二人目は第二騎士団長キリエ、彼女は主に二画の守護を任される警備特化の騎士団長、だが彼女は少し変わり者でもあり、三画にも時々出没していたので、問題は頻度が多い事くらいだろうか。
知る者は少ないが彼女の親戚に以前城の一画での料理長をしていた者がおり舌が肥えている為か、色々な食堂をめぐり自身の口に合う食事を探し歩くという趣味を持っている為日々違う食堂で食べていたのだが・・・何やらこの頃はお気に入りの味が三画の食堂にあるようだ、出現率が多い
そして、三人目は、
第一騎士団長、騎士長統括ルルシル、彼は常に王の傍にあると言われている男である
およそ三画には似合わず、若きものが多い三画の食堂の隅で一人スープをすすっている姿は
普段の覇気をまとう姿とは違い、50代後半引退を想わせる白髪交じりの黒髪がよりその存在を引き立たせる。
彼が食事を三画にしに来るのには理由がある
もちろんミリアだ
「ルルシル騎士長様、こちら本日のメインでございます」
「ミリア様・・・」
すっと差し出された皿から、それを持ってきてくれた娘へと恨めしそうな視線を向けるルルシル
「様は不要です」
小声ですっぱりと切り捨てるミリア
「ミリア嬢、そろそろ」
「参りません」
がっくりと項垂れる姿に、ここのところ食堂利用がなかった第三部隊の兵たちが目を見開く
((え?!あれってルルシル騎士長か?いや・・・まさかな・・・))
ルルシルの傍には兵も下働きの者もよらない為
普通に話しても、聞かれる事はないがそれでも小声で話すミリア
「オレの身にもなってくれないか・・・もう胃がもたん」
「ルルシル様・・・こちら、ほんの少し特別にお作りしました、アーロのフィレにマーゴのソースで仕上げてみました」
にっこりとほほ笑み料理を指すミリア
「何!?」
じっと目の前の肉に興味を奪われた様子のルルシルが、そっとナイフとフォークを操り
そして食べた瞬間
いつも眉間に皺を寄せている姿の騎士長がフワリとほほ笑む
それを遠目に見た、キリエにつられ三画へ来るようになったどこかの第二騎士が驚愕に目を開く
そこからは無言で食べすすめるルルシルをほほえましげに見て
厨房へ戻るミリア
(よかったまだ好きだったのね・・・甘いフルーツのたれのかかったお肉、昔から好きだったものね~皆に聞いた情報では彼はすっかり辛いモノ好きだと言われていたんだけど、味覚って早々変わらないし、あれかな?顔が怖いせいかしら?)などと失礼な事を考えているのだった。
牢から出されたミリアは、王城の二画の部屋で目覚めた
第一第二騎士団と料理長たちの申し入れと
二画の厨房での事が再度調べられ、ミリアは関係がないとされたのだった。
魔術師たちの解読で解った草の事を踏まえ、二画で働いていた厨房の人物が頼まれ行った事だと判明した。
第一騎士団ルルシルの配慮にて、少女を二画の部屋へと寝かせ
翌日無事ミリアは三画へと戻った。
自身が思ったよりも好かれていた事を自覚したミリアはすさんでた気持ちが和いで少し暖かな気持ちになったのだった。
さて、そんなミリア
なぜ三画へと戻っているかと言うと
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二画で目が覚めたミリア
部屋についていた二画の侍女に呼ばれルルシルがやってきた
「・・・あの」(まぁ、私も生きていたらこのくらいなのよね)と、昔馴染みの姿をみつつ話しかけてみる、と
ばっと手をミリアの前に出し何か考えている様子のルルシル
「なぜ、三画の厨房に?」
「え?あ、第三騎士団長のジルさんのおかげで雇って頂ける事になりまして」
「いえ!そうではなく・・・なぜ城へ名乗り出ないのですか?」
「・・・私、昨日何か?」
「魔術師の薬草園へ忍び込んだ時の事や、他の者が知らない陛下のお嫌いなモノを知ってらした」
「それは・・・」
「過去の事はそれなりに力があるものが調べればわかります、でも陛下がクフォの実を好まないのは今は知っている者は私くらいです」
苦笑するルルシルに
「私、最初はちゃんと言ってたんですけど・・・やっぱりこの姿だと、なかなか信じて頂けなくて」
くせ毛な茶髪に黒い瞳、この国の民に多い一般的な色彩のそれを改めてみたルルシルに、何故か責められているような気がしたミリアは少し焦ったようなしぐさで
「あ、でもちゃんと名乗り出ようと努力はしたんです、二画に特攻かけてみたり!」
元気いっぱいなその姿、静かに、ミリアを見ていたルルシルは
「フィオレンティーナ様、なんですね」
待ちに待ったお方、すぐにでもお伝えしなければと手を差し出すルルシル
あの時は幼く、自分には守りきれなかった命、50年・・・私よりこの方を待ち続けているお方がいる。
「陛下が、いえ、アウレンティー二様がお待ちです、参りましょう」
どうやら自分は昨日寝ぼけて味方を手に入れたようだ
「はい」
(どうしましょう!今になってドキドキしてきたわっ!やっと・・・会える、のね・・・アウレンティーニ様)
ルルシルに連れられて向かった二画から一画へ向かう廊下
「ルルシル様!」
走り寄ってきたのは美しい緑の瞳の少女
「ミュレ嬢」
すっと前に出て彼女の視線からミリアを隠す
「ルルシル様!アウレンティーニ様はどちらですか?本日は私とお茶を飲んでくださるそうなんですっ」
「それは・・・」はっとミリアを見るルルシル
(フィオレンティーナ候補・・・という方かしらね?)




