約束27ーギィンジースタリスの花ー
前回ーアルに信じて貰えない事にミリアは…しかし!
=なんてこと!せっかく私がありったけの力を使って転生させてあげたのに!!=
自身の横にいつの間にかどこかに行っていた様子のルゥリが戻って来ていた
(ルゥリ?)
=なんて悲しそうな顔をしているのよっ私は貴方達を見てきたの、この王宮でずっと!信じなさい、貴女はその命を懸けて愛する人を守ったのよ?あの時に比べれば今なんてどうってことないでしょう?=
はっとするミリア
(そう・・・そうよね、私は今を生きている、確かにフィオの面影はもうないかもしれないけど、私は確かにフィオだった、アウレンティーニ様とまだちゃんとお会いしてもいないのだから、どうなるかもわからないし!例え気づいていただけなくても、何度でも伝えるわ、私がフィオレンティーナだと!!)
がばっと勢いよく顔を上げるミリア
「陛下!」
眉間に皺を寄せたままミリアを振り返るアルレシオ
「なんだ」
「私がフィオレンティーナです!!逆に何故、私がフィオレンティーナでは無いと言い切れるのですか?」
「・・・」(何を)
「確かに私はフィオレンティーナであった頃の色を持ってません、でもそれは当たり前でしょう?だって私が転生したのは辺境一歩手前の町の庶民なのですから!!」
「なっ」
周りの貴族たちがざわめく
「庶民だと?!」
「侍女服を着ているだから、どこかの下級貴族だとばかり」
「庶民のくせにフィオレンティーナ様を語るなんて!」
目を丸くする陛下とうっとうしげに眼を細めるクルル
まだこの場に残っていた周りの貴族たちは口ぐちにミリアを責める。
「・・・私はただ、アウレンティーニ様にしていただいた約束を果たして頂きに来ただけです」
胸を張るミリア
「・・・そなたも約束が何か知っているというのか?」
「当たり前でしょう?私がしていただいた約束ですもの!」
馬鹿にするようにアルレシオを見るミリア
その視線を受けて
「では、約束のモノとはなんだ?」
「・・・貴方はアウレンティーニ様から教えて頂いてないのでしょう?それをここでいっても無意味だとおもうのですが?」
「そういって父上に取り次がせるつもりか?泣き落としでもすればどうにかなるとでも?」
「は?」
「触れを出した当初、そなたの様な庶民の娘が城へ押しかけた、可能性もない様な者を父上へ紹介するのも、父上の期待が裏切られた際の姿ももう見たくないのだ・・・そなたを父上に合わせる事はできない」
「な・・・」
「すぐに城より出ていくがいい」
騎士へ視線でミリアを出す様に促すアルレシオ
「なっ!」
警護に当たっていた騎士がミリアへ近づく
そんなミリアを守る様に前へ出るニーナ
「お待ちください陛下、この方に退城を命じるのは・・・」
「ニーナ嬢まで、どうしたと言うのだ先ほどから」
「私は・・・」
「貴女にも退城の許可は出した、すぐに去りなさい」
「陛下!」
ミリアの中でプツリとどこかで何かが切れた音がする
(せっかくここまで来たのにっ触れですって?そんな話私の町まで届いてないわよ!)
ツカツカと王の近くまで近づくミリアは叫ぶ
「・・・アルレシオ、フォン、エッセントル、デ、ミッドガルド!!」
「な!!」
「王の名を呼び捨てにするなどなんという不敬!!」
「近衛!あの者を捕えよ!!」
騒ぐ貴族たち
それを無視して
「泣き虫アルレシオ!貴方がすぐ泣くから私がジーナ(乳母)に何度白い目で見られたか忘れたの?!あのいたたまれない空間を耐えきった私に恩を返そうとか思わないの?!」
「なっ、どこまで仕込まれているんだ・・・」
「変な事言わないでよ!アルのバカ!!うそつき!」
「何を?!」
「貴方がどうしてもって言うから、誰にも見せない約束であげたのにっよくも私の刺繍一号をこんな衆目にさらしてくれたわね!」
「もういい!フィオレンティーナの振りはやめろっ」
「ふりなんかしてない!!私を見てアルレシオ、フォン、エッセントル、デ、ミッドガルド!」
はっとするアルレシオ
「私は私、確かにもう私にはフィオだった時の綺麗な髪も瞳もない、でも、ただ、私はアウレンティーニ様にもう一度お会いしただけ・・・」
真剣なその表情に、初めてアルレシオの瞳がミリアをはっきりと写す
「フィ
呼びかけを遮り、クルルが前へでる
「陛下、わたくしがフィオレンティーナでございます、惑わされてはなりません」
「クルル嬢・・・」
「何をしているのです、騎士達よその娘を捕えなさい、恐れ多くも神聖なる王陛下の御名を呼び捨てし者、捕え牢へ」
動き出す騎士達、しかしその姿を視界の端に捉えたミリアがふと視線を奪われたのは・・・
前へ出て来たクルルの、その唇に乗る赤
彼女がアルレシオの前へ出て来た時にフワリと香ったもの
(まさか・・・いえ、そんな・・・)
ゴクリと言葉を飲み込むミリア
(でも・・・もし)
「クルル様・・・その、香りは・・・」
「騎士達よ、早く
「クルル!!」
焦りを乗せミリアが叫ぶ
(まさかまさか!)
「庶民風情が何様のつもりです!」
「その紅は・・・っつ!はっ!」
口を多い数歩下がるミリア
しかしクルルの後ろにはアルレシオがっ
(近すぎるっ)
はっと視界の隅に入ったのはテーブルごとに場を遮っている布が置かれている場所
テーブルクロス引きの要領でバッと抜き取ると
クルルへと投げつけるミリア
(確かこの布にはキュレアの香を焚き染めていたはず!!)
「きゃぁ!!」叫ぶクルルにかまわず
「ルルシルっ今は亡きフィオレンティーナの名において命じます、陛下の御身を第一にっ退避!!」
ミリアの命を聞きルルシルがアルレシオの傍へ駆け寄る
「気でも狂ったの?!誰か!」布を外したクルルが叫ぶ
負けじとミリアも叫ぶ
「近づいてはダメ!魔術師を呼んで!!」
「騎士達よ!あの娘を捕えよ!!」貴族たちも騒ぎ出す
「聞きなさい!!私が幼い頃アルレシオと薬草園に忍び込んだことがあるの!!」
「フィオレンティーナさまを語るか!」
何人かの騎士がミリアへ向かって走る
「続きがあるのよ!アルレシオ!!思い出してあの子がつけている紅は!あの花からできてる!ギィンジースタリスの花の赤よ!おじじちゃまが言っていた禁じられし赤!!アル!」
驚愕に目を開くアルレシオ
アルレシオより早く動いた男がいた
ジルが一歩ふみ出すより早く
騎士が向かっているタイミングで己の剣を抜き放ち
ミリアの前へ背を向け騎士と対峙するその背中の持ち主は
「騎士達よ!この娘に触れる事は許さん、その剣もし抜くならば・・・この地に散る覚悟をせよ」
フワリと金色の髪をなびかせ、ミリアを背に庇うのは
「アウレンティーニ様・・・」
間違えなく前王陛下、アウレンティーニであった。
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