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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第81話 壊れた前提

 最初に崩れたのは、前線ではなかった。


 後方だった。


 「再現層、維持不能!」


 叫びが響く。


 盾が揃っていない。


 動きがバラバラだ。


 押されている。


 明らかに。


 おかしい。


 カイルはそれを見ていた。


 静かに。


 ただ、事実として。


 「……早いですね」


 横でミレアが舌打ちする。


「冗談でしょ。まだ一ヶ月も経ってないんだけど」


 その通りだった。


 制度は成立した。


 承認された。


 だが。


 ――回っていない。


 「中間層、配置完了してません!」


 「最大層、二名負傷!」


 エルザが記録を握りしめる。


「……想定より早い崩壊です」


 カイルは答えない。


 ただ前を見る。


 戦場。


 煙。


 乱れた陣形。


 本来なら。


 再現層が支え。


 中間層が繋ぎ。


 最大層が崩す。


 そのはずだった。


 だが現実は。


 「繋がってない」


 ミレアが言う。


 その一言で十分だった。


 構造はある。


 だが。


 “機能していない”。


 その時。


 前線が割れた。


 魔物ではない。


 人間だ。


 黒い装備。


 統一された動き。


 無駄がない。


 「……ヴァルディア」


 エルザが呟く。


 カイルは小さく頷く。


「はい」


 予想はしていた。


 だが。


 ここまで早いとは思っていなかった。


 ミレアが笑う。


 乾いた笑いだ。


「制度、完成する前に壊しに来たってわけね」


「はい」


 カイルは言う。


「合理的です」


 その言葉に。


 エルザが振り向く。


「……余裕ですね」


「いいえ」


 一拍。


「余裕はありません」


 ただ。


 事実を見ているだけだ。


 前線で爆音が響く。


 最大層の一人が弾き飛ばされる。


「……っ!」


 ミレアが動く。


 だがカイルが止めた。


「待ってください」


「待てる状況じゃないでしょ!」


「はい」


 それでも。


「見ます」


 一歩。


 前に出る。


 崩れた前線。


 中途半端な再現層。


 足りない中間層。


 そして。


 狙われる最大層。


 すべてが繋がる。


「……なるほど」


 ミレアが眉をひそめる。


「何が?」


 カイルは言った。


「壊し方が正確です」


 一拍。


「最大ではなく」


「構造を狙っている」


 その瞬間。


 前線でまた一つ、崩れた。


 再現層が逃げる。


 中間層が機能しない。


 最大層が孤立する。


 そして。


 潰される。


 ミレアが低く言う。


「……最悪ね」


「はい」


 カイルは頷く。


「ですが」


 一拍。


「分かりやすいです」


 エルザが言う。


「どういう意味ですか」


 カイルは答えた。


「壊す場所が分かりました」


 ミレアが一瞬止まる。


 そして。


 笑った。


「……ほんと、そういうとこよね」


 状況は最悪。


 だが。


 次の一手は見えている。


 カイルは静かに言った。


「再構築します」


 一拍。


「ここで」


 戦場は崩れている。


 だが。


 それでも。


 止まる理由にはならなかった。

ここから一気に状況が動きます。


今回は“壊される側”の話です。


次は、どう立て直すか。


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続きをぜひ読んでください。

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