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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第80話 増やせない技術

 「増やします」


 その言葉は、軽くなかった。


 夜の訓練場。


 灯りは最小限。


 静かだが、張り詰めている。


 ミレアが腕を組む。


「言うのは簡単なんですよ」


「はい」


 カイルは頷く。


「でも」


 一拍。


「無理ですよね」


 エルザが横で資料をめくる。


「現状の再現率では」


「最大層への到達は」


 一拍。


「個人依存です」


 つまり。


 今の構造。


 再現層は広がる。


 だが最大層は――


「選ばれた三人だけ」


 ミレアが言う。


「はい」


「これじゃ増えません」


「はい」


 沈黙。


 だが。


 止まってはいない。


 カイルは三人の兵士を見る。


「やります」


 短い。


 だが。


 重い。


 三人が頷く。


 覚悟はできている。


 だが。


 問題はそこではない。


 ミレアが言う。


「“できる人”を増やすんじゃない」


 一拍。


「“できるようにする”んですよね」


「はい」


 カイルは頷く。


 それが。


 今回の本質。


 エルザが言う。


「方法は」


 カイルは少し考えた。


 そして。


「削ります」


 ミレアが目を細める。


「何を?」


「自由度です」


 一拍。


「最大層の」


 沈黙。


 それはつまり。


 矛盾。


 最大を出すための自由。


 それを削る。


「……弱くなりますよ」


「はい」


「でも」


 一拍。


「増えます」


 ミレアが笑う。


「バランス取りに来ましたね」


「はい」


 エルザが言う。


「再現と最大の中間」


「はい」


 カイルは頷く。


「第三層です」


 空気が止まる。


 三層構造。


 再現。


 最大。


 そして――


「中間」


 ミレアが呟く。


「それ、成立します?」


「やってみます」


 即答。


 その時。


 一人の兵士が言った。


「……やらせてくれ」


 全員が振り向く。


 さっきの五人ではない。


 落ちた側。


 選ばれなかった兵士。


「俺でもできるか」


 一拍。


「試したい」


 ミレアが少しだけ笑う。


「いいですね」


 カイルは頷く。


「来てください」


 兵士が前に出る。


 少しだけ緊張している。


「やることは同じです」


「はい」


「ただし」


 一拍。


「制限します」


 足。


 半歩固定。


 腕。


 角度固定。


 動き。


 範囲制限。


「……窮屈だな」


「はい」


「でも」


 一拍。


「やります」


 押す。


 受ける。


 流す。


 少し崩れる。


「違います」


 ミレアが止める。


「今、動きすぎた」


「……くそ」


 もう一度。


 やる。


 今度は。


 止まる。


 流れる。


「……あ」


 兵士が呟く。


「できた」


 完全ではない。


 だが。


 崩れない。


 エルザが記録する。


「再現率、高」


「出力、中」


 ミレアが笑う。


「成立してますね」


「はい」


 カイルは頷く。


「これで増えます」


 兵士が言う。


「俺でもいけるなら」


 一拍。


「他もいける」


 その言葉が広がる。


 周囲の兵士が見る。


 希望。


 それが生まれる。


 だが。


 ミレアが小さく言う。


「……でも」


 一拍。


「弱いですよね」


 カイルは言う。


「はい」


 認める。


 その上で。


「足りません」


「え?」


「戦場では」


 一拍。


「まだ足りません」


 静寂。


 さっきの戦い。


 上位種。


 あれは。


 最大がなければ止まらなかった。


 ミレアが言う。


「つまり」


「はい」


「まだ必要です」


 最大層。


 結局。


 そこに戻る。


 エルザが言う。


「増やす必要がある」


「はい」


 その時。


 遠くで、また角笛が鳴った。


 短い。


 だが。


 嫌な音。


 ミレアが振り向く。


「……また?」


 伝令が走ってくる。


「報告!」


「何ですか」


「西側!」


 一拍。


「防衛線、突破されました!」


 空気が凍る。


「……早すぎる」


 エルザが呟く。


 つまり。


 別方向。


 同時。


 圧。


 カイルは静かに言った。


「来ましたね」


「何がです?」


「潰しです」


 あの男。


 あの言葉。


 現実になった。


 ミレアが笑う。


 だが。


 目は笑っていない。


「……面白くなってきましたね」


 カイルは言う。


「はい」


 一拍。


「増やします」


 だが。


 時間はない。


 そして。


 敵は待たない。

ここで「第三層」を導入しました。


ただし問題は解決していません。

むしろ――加速しています。


次は「同時多発戦闘」です。


ブックマーク・評価してもらえると嬉しいです。

ここからさらに緊張感上がります。

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