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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第75話 王の前提

 「最終評価は、王が行う」


 その一言が、重く残っていた。


 灰色の男は去った。


 監査官も続く。


 足音が消えたあとも。


 誰もすぐには動かなかった。


 ミレアがようやく息を吐く。


「……ギリギリでしたね」


「はい」


 エルザは記録を閉じながら言う。


「一次評価は通過」


 一拍。


「ですが」


「本番はこれからです」


 カイルは答えない。


 ただ空を見る。


 時間は、まだ残っている。


 だが。


 余裕はない。


「王が来るんですかね」


 ミレアが言う。


「来るでしょう」


 エルザが答える。


「この案件は直接判断になるはずです」


 一拍。


「例外制度の是非ですから」


 制度。


 それは、国家の形。


 つまり。


 王の領域。


 その時。


 外から伝令の声が響いた。


「通達!」


 全員が振り向く。


「王、来訪予定!」


 空気が変わる。


「時刻は――」


 一拍。


「明朝」


 ミレアが小さく呟く。


「……早い」


 エルザが言う。


「評価猶予、実質終了です」


 今日。


 すべてを整えなければならない。


 カイルが言う。


「準備します」


 短い。


 だが。


 それで十分だった。


 ミレアが笑う。


「やること多いですよ」


「はい」


「再現層、安定化」


「はい」


「最大層、精度向上」


「はい」


 エルザが補足する。


「数値化」


「比較資料」


「説明資料」


 すべて必要。


 カイルは言う。


「絞ります」


「何を?」


「見せるものです」


 一拍。


「全部はいりません」


 ミレアが頷く。


「分かりやすく、ですね」


「はい」


 エルザが言う。


「王は時間を取りません」


 一拍。


「短時間で判断します」


 つまり。


 “理解させる”必要がある。


 カイルは静かに言った。


「なら」


 一拍。


「前提を変えます」


 ミレアが目を細める。


「前提?」


「はい」


「王の?」


「はい」


 エルザが言う。


「どうやって」


 カイルは少しだけ考えた。


 そして。


「戦場を見せます」


 ミレアが一瞬止まる。


「……ここで?」


「はい」


「再現ではなく」


 一拍。


「実戦で」


 エルザが理解する。


「……判断基準を変える」


「はい」


 数値ではない。


 結果。


 王が最も重視するもの。


 ミレアが笑う。


「いいですね」


 一拍。


「王は現場主義です」


 カイルは言う。


「だから」


 一拍。


「現場で勝ちます」


 その時。


 遠くで角笛が鳴った。


 短い。


 だが。


 明確な音。


 エルザが振り向く。


「……まさか」


 伝令が走ってくる。


「報告!」


「何ですか」


「魔物群、接近!」


 静寂。


 ミレアが小さく笑う。


「……来ましたね」


 カイルは空を見る。


 夕暮れ。


 そして。


 夜が来る。


「ちょうどいいです」


 その一言で。


 すべてが繋がった。


 戦場。


 評価。


 王。


 すべて。


 ここで決まる。

ここで「王」+「実戦」を繋げました。


理論ではなく、現場で証明する流れに入ります。


次は――戦場です。


ブックマーク・評価してもらえると嬉しいです。

ここから一気にクライマックスへ行きます。

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