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追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


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第68話 選別

 翌朝。


 訓練場に集められたのは、二十人の兵士だった。


 昨日までの講習とは違う。


 雰囲気が重い。


 選ばれている。


 それを全員が理解していた。


 ミレアが前に立つ。


「今日は選別です」


 ざわつきはない。


 ただ、緊張が走る。


 エルザが記録の準備をしている。


 カイルは後ろで静かに見ていた。


「やることは同じです」


 ミレアが言う。


「押されて、流す」


 一拍。


「ただし」


 兵士たちを見る。


「できる人だけ残ります」


 その一言で、空気が変わった。


 兵士の一人が苦笑する。


「分かりやすいな」


「ええ」


 ミレアは頷く。


「分かりやすくします」


 試験が始まる。


 一人ずつ前に出る。


 押される。


 流す。


 最初の数人。


 悪くない。


 だが安定しない。


「次」


 淡々と進む。


 五人目。


 動きが揃う。


 衝撃が抜ける。


 安定する。


 ミレアが小さく言う。


「残ってください」


 兵士が驚く。


「……もうか?」


「はい」


 そのまま端へ。


 六人目。


 崩れる。


 落ちる。


 十人目。


 半々。


 判断が分かれる。


 ミレアは迷わない。


 残す。


 落とす。


 切り分けていく。


 エルザが静かに記録している。


 数値。


 動き。


 再現率。


 カイルは何も言わない。


 ただ見ている。


 やがて。


 二十人が終わる。


 残ったのは――


 五人。


 ミレアが言う。


「以上です」


 落ちた兵士たちが、少し悔しそうに立っている。


 だが納得もしている。


「……無理だな」


「感覚が分からねえ」


 残った五人は、逆に戸惑っていた。


「俺たちでいいのか?」


 ミレアは頷く。


「いいです」


 一拍。


「あなたたちは変えられます」


 カイルが初めて口を開いた。


「ここから上げます」


 五人の目が変わる。


 選ばれた。


 その意味を理解する。


 エルザが低く言う。


「母数が減りましたね」


「はい」


 カイルは頷く。


「その分」


 一拍。


「上げます」


 量ではなく質。


 時間ではなく密度。


 ミレアが笑う。


「尖らせますね」


「はい」


 その時。


 遠くから兵士の声が聞こえる。


「第三部隊、出発!」


 ヴァルディア装備を持った部隊が、整然と並んでいる。


 動きは揃っている。


 無駄がない。


 完成されている。


 ミレアがそれを見る。


「……あっちは“完成”」


 カイルは言う。


「こっちは“途中”」


 一拍。


「だから強くなります」


 五人の兵士が、剣を握る。


 まだ不安定。


 だが。


 可能性がある。


 選ばれた者たち。


 ここからが、本当の勝負だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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