表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された鍛冶錬金師は、数値を信じるギルドを見限って静かに最強になる 〜評価されなかった生産職ですが、使った人だけが違いに気づきます〜  作者: 神崎タクミ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/78

第39話 守れたもの

 工房の朝は、変わらない。


 火を入れ、道具を整え、素材を確かめる。


 騒がしさはない。

 だが、静けさも重くない。


「依頼は、三件です」


 ミレアが、帳面を見ながら告げる。


「急ぎは一件。残りは通常納期」


「十分ですね」


 カイルは、頷いた。


 かつてのような大量の注文はない。

 だが、無理もない。


 扉が叩かれる。


 入ってきたのは、若い冒険者だった。


「紹介で来ました」


 その言葉は、もう珍しくない。


「前に、ここで直してもらった人から」


 信用は、まだ回っている。


 装備を受け取り、試しに振る。


「……ああ」


 安心したように、息を吐く。


「これだ」


 それだけで、十分だった。


 夕方。


 ロッドが顔を出す。


「商会、完全に引いたな」


「ええ」


「他の工房も、少し楽になったらしい」


 囲われていた職人の一人が、独立を決めたという話も聞く。


「戻ってくるかもしれませんね」


 ミレアが言う。


「戻る必要はありません」


 カイルは、静かに答える。


「それぞれが、選べばいい」


 守ったのは、規模ではない。


 名声でもない。


 “選べる状態”だ。


 夜。


 帳面を閉じながら、ミレアが小さく呟く。


「結局、何を守ったんでしょう」


 カイルは、少し考える。


「工程です」


 一拍。


「それと、名前」


 商会製でも、国家規格でもない。


 “カイルの工房”という呼び方。


 それが、残った。


 外では、風が静かに吹いている。


 市場は、また回り続けるだろう。


 国家も、商会も、次の動きを考える。


 だが、この工房は――


 変わらない。


 守れたものは、小さい。


 だが、それで十分だった。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ