第九話 双子の星 ⑦
一度ポラリスの部屋に行き、眠っているのを確認して私たちは家を出て男性の後についていくことにした。早歩きの男性の横に並びながら男性が話し始める。
「領主が何者かに殺されました」
「領主というのは?」
「この街にいる魔術師です」
ポラリスが言っていた『あいつ』のことだろう。
「今朝、街の人間が約束をしていた領主に会うために家に向かったところ、倒れているのを発見したそうです。家には鍵がかかっていて、中には誰もいませんでした。領主は……、なんと言っていいか、自分で首を絞めていたような形で倒れていたそうです。それ以外におかしな点がなかったので、魔術師に意見を求めたいと思いました」
「ここの魔術師については?」
「私たちはよく知りません。他に魔術師がいる、ということを知っているだけです。それ以外に詮索はするなと言われていましたので」
「誰に?」
「領主本人です」
「そうですか」
「ああ、あの家です」
中央に近づいたのか大きな屋敷が見えていた。
「率直にお聞きしますが、魔術を使って人を殺すことは可能ですか? 特に今回のような場合です。自分で自分の首を絞めるような」
「可能だ」
アランが答えた。
「ただし、操って他人を殺すより、操った自分自身を殺す方が難しい。本来の意思と反するからだ。それに魔術師は魔術に対して抵抗力がある。直接的に操作をするのはただの人間よりもかなり難しい」
「そうですか。こちらへ」
男性が屋敷のドアを開けてくれたのでその中に入った。
「場所は応接間です。領主は別な場所に移しています。もう一つお聞きしますが、魔術を使ってそういったものが行われた場合、魔術師はそれを見破ることができますか?」
「痕跡が残っている可能性はある」
「そうですか、それならなおのことお願いします。ええ、と」
「エミーリア、君は応接間の方へ。私はその領主の遺体を確認する」
私に遺体を見せないようにアランが配慮してくれたのだ。
応接間から別な男性が出てきて、ここにいた男性が目で合図をした。私が応接間に向かい、アランはここまで連れてきた男性の後ろに立ち反対側の部屋へと入っていった。






