第九話 双子の星 ⑤
「ポラリス?」
私とアランは顔を合わせたあと、立ち上がって部屋を出た。ポラリスの声のした方である部屋に行く。
一瞬躊躇をしたが、ドアをノックもせずそのまま開けた。
部屋は灯りが灯されている。
部屋の中央にはポラリスが呆然とした風に立っていた。
「ポラリス!」
私の声にポラリスが反応してこちらを見て駆け寄ってきた。
「お姉ちゃん! カノープスが!」
ポラリスがさっきまでいたところの床を指さす。
そこにはカノープスが横たわっていた。
仰向けになっている。
私にもわかる、異常さだ。
カノープスが青く淡く発光している。カノープスの魔力が全身に広がっている。
「溶けて……?」
魔力に包まれているがそれが床の周りに漏れているように見える。
「魔力暴走だ!」
アランが叫ぶ。
「ポラリス、結界を解け!」
「え……」
「いいから早く!」
「うん」
ポラリスが手を上げる。
「解いた」
「反射結界は張れるか?」
「僕には」
「わかった。私が張る。ポラリスはカノープスに触れて。エミーリア、手を」
ポラリスが膝をついてカノープスの胸の上に手を置いた。
私がアランの右手を掴んだ。膜を肌で感じる。アランが部屋を覆う程度の反射結界を張ったのだ。
「エミーリア、君はこれを維持して」
「うん」
アランが言い、結界が引き継がれた。頭がくらりとする。かなり高密度な結界であることがわかる。私が直接反射結界が張れないとアランが判断したのだ。それは正しい。
「反射結界で魔力がここから散逸するのを防ぐ」
「アランは?」
「対処する」
アランが歩いてポラリスの反対側に行き、倒れているカノープスに杖を向けた。
「命令をする!
水と火は血に
風と土は骨に
火と風は腑に
土と水は魔力に
留まり、形を保ち、また元へ戻れ
そうなるように
結果を示せ」
カノープスがビクンと跳ねた。
「カノープス! カノープス!」
ポラリスがカノープスの胸に手を強く押している。もはやポラリスの手はカノープスの中にまで沈み込んでいる。
「ダメだ、間に合わない」
アランがそう言うと、ポラリスが屈み込むようにしてカノープスに覆い被さる。床に広がり続けるカノープスの魔力がポラリスに集まっているようだった。
そして、カノープスは泡のように消えていった。






