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【5/2コミカライズ一巻発売】【完結保証】およそ100年幽閉されていた魔術師夫婦は世界を巡る  作者: 吉野茉莉
第七話 魔術師不要

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第七話 魔術師不要 ⑥

 そのあとはキガサワは何も言わず、食事が進んでいった。


 デザートはいちごのシャーベットだった。この季節にどうやってシャーベットを作り出しているのかはわからなかったが、口の中でほろりと溶けて美味しい。わざわざ魔術を使って作っているのだろうか。


「どうかな?」


「とても美味しかったです」


「この街は平和だ。中央都市に比べれば物足りないかもしれないが、鉱山からの利益もあり、住人はみな安定した生活を送ることができる」


「どういうことですか?」


「私は君たちにこの街への定住を勧めたい」


「定住?」


「悪い話ではないと思うが。十分な生活は保障できる。魔術師であることは隠してもらった方がいいかもしれないが、私が認めたということなら、街の住人も何も言わないだろう。研究をしたいようなら、その設備も用意しよう」


「ずいぶんと好条件ですね。国家魔術師を呼ぶよりはましだという判断ですか?」


「ああ、そうだ」


「それが残り三人の話と何か関係があるのですか?」


 キガサワが頷く。


「彼らはこの街の基盤を支えるために魔術を使っている。住人には機械だと言っているが、水道もガスも魔術を利用している。そうして三十年維持をしてきた。それをとりまとめているのが私、というわけだ。徐々に魔術以外の技術を取り入れ始めているが、まだ完全に置き換わっていない。それに私を見てわかるように、三十年というのはあまりにも長い時間だった。私はもう老人なのだよ」


「三人に何かあったのですね」


「そのうち一人が病気になった。残された時間はそれほど残っていない。現状を維持するには次の魔術師が必要になる」


「それを私たちにさせたいということですか?」


「そうだ。見る限り君たちは優秀な魔術師のようだ。特に君は国家魔術師だったのだろう? どういう理由で離れたかは問わないが、中央都市に戻るわけにはいかないのだと思うが、どうだろう?」


 アランは首を傾げた。


「申し訳ありませんが、私たちは旅を続けます」


「そうか、残念だ。自分たちで選んでほしかったが」


 キガサワが私をじっと見た。


 その瞳の奥に強い意思を感じた。


「エミーリア!」


 アランの声が遠くでして、私の意識はどこかに飛んでいってしまった。

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