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【5/2コミカライズ一巻発売】【完結保証】およそ100年幽閉されていた魔術師夫婦は世界を巡る  作者: 吉野茉莉
第六話 救援、もしくは罠

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第六話 救援、もしくは罠 ⑫

 扉を開けて外に出る。


 アランが無言で水上歩行の魔術を私とアランの靴にかけた。


 一歩水の上に乗る。私がかけた行きよりも安定感があった。


 振り返る。


 扉は閉まっていて、もうニコの姿は見えなかった。


 アランの後ろに私がいる。


 まだアランの顔を見ることができない。


 アランは何も言わない。


 アランは、何を、どこまで知っているのだろう。


 アランは、私のことをどう思っているのだろう。


 無言のまま私たちは湖を渡る。


 風が吹いた。


 もう一度振り返る。


 鷲はもう飛んでいなかった。


 湖の岸にたどり着いた。


 アランの手を借りて地面に降りる。


「ありがと」


 アランはただ頷いただけだ。


 ほんの少し悲しそうな顔をしていた。


 完全に両足が地面につく。


 パアン。


 島の方向から乾いた音がした。


「行こう」


「うん」


 私はアランの手を握った。


 いつまでこうしていられるのか。


 永遠にはいられない。


 ようやく私は、二人の終わりを想像するようになっていた。


 だけどそのときまでは、私は黙っているしかないのか。


 それでも、死が二人を分かつまで、いられるだろうか。


 今はそれを保留して、せめて横に並べるようになる。


 来たるべき時まで。

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