第六話 救援、もしくは罠 ⑧
アランと一緒に建物の外に出た。
空を見上げる。
鷲が島の上を回っている。
「まずは、私たちが出られるか、だ」
「うん?」
「あの鷲が島から出るものを攻撃する単純な命令かどうかを確かめる」
「どうしてニコにそれを言わなかったの?」
「ニコにしている話はすべて聞かれている恐れがある」
アランが島の端に立って、杖で靴を叩いた。
「契約を」
それからアランは水際に行って数歩水の上を歩いた。水上歩行の魔術を使ったのだ。やっぱり、アランなら一瞬で魔術をかけることができる。私は空を見て鷲が旋回を止めないのを見た。アランが十メートルほど島から離れる。鷲は襲ってこない。
それを確認したのかアランはこちらに引き返してきた。
「ニコの勘違いでなければ、あの鷲はニコだけを襲うように命令されている。私たちが出て行くのは自由だ」
「そうみたい」
「ひとまず、それを知れたのは安心材料だ。ニコを置いていっても私たちは逃げることができるからね」
アランは島の戻って、右手を差し出したので私が彼の手を掴む。アランは杖を掲げて鳥に向ける。
閃光が鳥に向かう。
鳥が翻ってその光を避けた。
「エミーリア、今のが見えた?」
「うん」
「それはよかった。君の目も少しずつ育ってきている」
アランが前に見せたのと違って、可視化したものではなかったのだろう。私もアランの魔力の流れを見ることができた、ということだ。
アランがまた鳥に照準を合わせる。
閃光。
鳥がそれを避ける。
「ニコが言っていたのと違う、きちんと手前で避けている。鳥は風の流れに敏感だから、魔力でそれが乱されているを察知しているのだろう」
「ニコが思い違いしているの?」
「わからない」
「あの、私も、やってみたい」
「……できればやめておいた方がいい。これは師匠としての助言だ」
「どうして?」
「これは本来魔術師としてすべきことではない。君は防御は覚えるべきだが、攻撃を覚えるべきではない」
「でも、アランがいないとき使えるかも。何があるわからないでしょ?」
「……わかった。だが、使うのは最後の手段にしてほしい。私は君をこのような魔術を気軽に撃つような魔術師になってほしくない」
アランが繋いでいた手の指を絡ませる。
「杖を向ける」
私が右手で杖を持って、鳥を指す。
「君の内側を杖の先まで拡張する。ここまではできるね」
「うん」
「魔力の流れを全身で感じて、その流れが杖を覆っているイメージを持つ」
「できた」
杖も私の一部、そういうイメージを構築する。右手が温かくなってくる。
「流れを杖の先端で止める。少しずつ集める。君ならほんの少しでもいい。そうそうその調子だ」
私の目にも魔力が集まっているのを感じる。
「君の場合、魔素を周囲に取り込む必要はない。そのまま、杖を直線として、魔力を放つ」
私が先端にあった魔力を切り離す。
光が弾けて鳥に向かって延びていった。
「あっ」
が、その光は鳥に到着する前に霧散してしまった。
「まだ魔力を外側に向けるのは難しいようだね。これは仕方ない。攻撃魔術は推奨しないが、切り離す訓練として取り入れるべきかもしれない」
「……うん」
最近は魔術もうまくいっていたから少しばかりショックだった。
「もう戻ろう。もう一つ確認したいことがある」






