第六話 救援、もしくは罠 ③
「こちらはアラン、ニコ、君の通信を受け取った。救援に向かいたい。場所は伝えられるか?」
アランが口に出して言う。通信は言葉にする必要はないらしいけど、私に耳で聞こえるようにしているのだろう。
間があって、頭に言葉が響く。
『あ、ああ、これを受け取ってくれる人がいるとは! アラン、ありがとう! こちらはニコ、現在地は、その近くに湖があるはずだ。方向は、わかるだろうか』
「通信で大体の方向はわかる。湖の方へ向かう。また近くなったら連絡する」
『わかった。そちらはアランだけか?』
「そうだ」
『そうか、だったら注意してくれ。この通信を魔術師が聞いているかもしれない』
「わかった」
アランが私を見て一度頷く。
「ここからは二人だけだ。まず、君は認識結界を張る。他に魔術師がいるなら多少の目くらましにはなる」
「どうして私が?」
「私は通信に割く。君は私の手を使わないで魔術を行う訓練だ。私たちの姿を消すだけの範囲でいい。いかに魔術師といえども、距離を取れば見つけるのは難しい。認識結界は君の得意分野だろう?」
「やってみる」
左手で杖を握って空に掲げる。
結界に詠唱は要らない、イメージをすればそれだけでいい。
私と、それ以外を区別する。
私が、私以外の何者でもないことをイメージする。
杖を空に向けてゆらして、私の周りを取り囲むようにドーム状の壁を構築する。
目の奥がチリチリする。
「成功した、と思う」
「エミーリア、上出来だ。とりあえずはこれでいい。速く、正確に、強固にするのは練習だね」
「うん!」
アランに褒められて気分がよくなる。
「では移動しよう。移動しながら維持をするイメージを忘れないように」
今歩いてきた方向から左に折れて向かう。
「ニコのいる場所は通信でそれほど遠くないことがわかっている。一時間も歩けば着くだろう」






