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【5/2コミカライズ一巻発売】【完結保証】およそ100年幽閉されていた魔術師夫婦は世界を巡る  作者: 吉野茉莉
第十一話 おろかでみじめで幸せな

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第十一話 おろかでみじめで幸せな ⑤

 私たちは二人分が眠れるベッドがある部屋を見つけて、私が先にベッドに転がった。


「アランは、あのサイラスって人は知っているの?」


「いいや、知らない。師匠からも聞いたことがない」


「だいぶ若いよね。私と同じくらいか、それより若いくらい」


「そうだね」


 背丈だけなら子供と言ってもいい。


「でもなんか疲れちゃった」


 緊張が解けたのかどっと足周りを中心に重くなってきた。誰かと戦う機会が来るなんて思いもしなかったけど、その可能性もこれから入れていかないといけないのか。


「エミーリア、君は」


 寝転ぶ私を見下ろしたアランが言う。


「エチカ師匠を見ても何も言わなかったね。まるで、初めて見たわけじゃなかったみたいだ」


「それは……」


 しまった、と思ったがもう顔に出ている。


「マリアさんの学校で、アランの夢に入ったの。それで、エチカさんとマリアさんを見て……。ごめんなさい」


「いや、別にそれは問題ない。私も君の夢に入ったのだから」


「それは城でのことでしょ。私は……。ううん、違うの、見たことはそうだけど、見たことを言わなかったこと、ごめんなさい」


「そうだね、それは共有してもよかったね」


「うん」


「怒ったりはしないよ」


「可愛かったね、マリアさん」


「私の夢なら、私の主観だ」


 アランはかすかに笑った。


「そう、可愛かった」


「何度も繰り返さない」


「アランにはもったいないくらい」


「あのね」


「はい、いーですよー」


 私もできるだけの笑顔で返した。


 どの程度アランの夢を見ていたが言わなかったけど、これで大体は伝わっているだろう。


「言っとくけど、アランの妻は私なんだからね」


「わかっているよ、と」


 アランが前のめりになってベッドに倒れた。


「どうしたの?」


「魔力切れだ。『壁』の連続使用はかなり堪えるようだ。もう空になりかけている」


 ベッドに顔を埋めながらアランが言った。


「少し目を閉じる」


「うーん」


 上半身だけ身体を起こしてアランの頭を私の膝に移動させる。アランは何も言わなかった。


「しばらく休んで」


 アランの頭を撫でる。

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