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記憶の手探り

『――ねぇ、ジンク。私と一緒に独立魔法騎士団を目指さない?』

『えっ? 何? ……独立魔法騎士団?』

『あなたも聞いた事あるでしょ? 世界中に支部があって、出身や身分関係なく、困ってる人たちを助けている正義の味方よ』

 少女は生き生きと答えた。

『どうして、その組織に入りたいの?』

『だって、自分の国だけが豊かで平和でも、周辺の国がそうじゃなかったら放っとけないから』 

『……なるほど、〇×▼◇■らしいね。――……まぁ、考えてみれば、自分の国まで戦火に巻き込まれるの事もあり得るね』

 頬を緩めながら、彼女の顔を見る。


 ――そうだな……いつか〇×▼◇■――


 

「――っん…………夢?」


 前日よりも、(まぶた)が軽く感じる。色々と調べて疲れてたから、思いの外よく眠れたようだ。

 僕は寝起きの頭を何とか回転させ、見ていた夢を振り返る。

 えっと……――少女に『独立魔法騎士団を一緒に目指さない?』って誘われて……その組織について説明されたんだったかな。それで……確か、自分も乗り気だった、と。

 話の内容は少し覚えているけど……少女の名前の部分が抜けている。……風景や顔もよく分からない。

 夢は自分の記憶に関連していると聞くし、記憶を思い出す助けになるかも知れない。だから、少女の顔と名前を知りたいんだけどな……。

 それでも、夢で見た事が全て空想だったという可能性は否定できない。

 結局、調べてみるしかないか。 

 そう思って起き上がろうとすると、枕元に本が数冊ほど置いてある事に気付いた。

 許可をもらって部屋に持って来たんだった。使用人が来るまで続きを読もう。独立魔法騎士団については、その後でも良いか。

 僕は枕元の本を持って机へと移動し、続きを読み始めた。

 本の目次に目を通し、昨日読んだ内容を振り返る。

 

 ――今いる場所は、ジルタリア共和国の南東、ロックファリア王国の国境沿いに位置するアルグラント領。アルグラント領は国内の約10%の面積を占めており、国内最大の領土と防衛力を誇る事から”国内最大の防衛都市”とも言われている。本国は約100年前から30年もの間周辺諸国の戦乱に巻き込まれたが、その間、アルグラント領が攻められたのは一度きりだったそうだ。

 とある本の著者はその理由について『現在のジルタリア共和国で内戦が勃発していた際、内戦に関わっていた一軍がアルグラント領を攻め、アルグラント領の防衛力を目の当たりにしたためだろう。アルグラント領を攻めた軍隊の報告書らしきものに、その様な記録がある』と記述している。

 そして、その柱として活躍しているのが、優秀な魔法師を輩出しているアルグラント家だ。

 レイネから話を聞いたところ、両親揃って世界最高峰と名高い魔法学校――ウィステア中立魔法学校を卒業しており、レイネもそこの学校に通っているらしい。その学校はジルタリア共和国の都市に位置するが、アルグラント家をはじめ、国外からも生徒が受け入れてられてる。想像通り、入学するのも卒業するのも難しいそうだ。そんな学校から両親が卒業しているのだから、アルグラント家の影響力がどれ程のものか良く分かる。

 意外に思ったのは、ロックファリア王国とジルタリア共和国の関係は良好で、終戦して数年後には国交を結んでいた事だ。その理由としては、内戦の際にアルグラント領へ侵攻した事を謝罪し賠償金を支払った事、侵攻に関わった軍隊がジルタリア共和国の反乱勢力であったため、既に処罰していた事が大きいそうだ。

 そして、驚く事にジルタリア共和国は内戦で軍力や経済力が弱まっていたにもかかわらず、20年足らずで魔法大国へと返り咲いた。仮にアルグラント領や近隣諸国を攻めた勢力が勝利していれば、各周辺諸国との国交は結べず、国は廃れていただろうと言うのが通説のようだ。

 ジルタリア共和国とロックファリア王国は関係構築を反対する者がいたが、良好な関係を築き現在に至る――と、主要な歴史に関してはこんな感じだ。


 目次の中に知りたい項目が見当たらなかったから、未読の本を開く。

 タイトルは、”平民と貴族の違い”。


 ――……貴族はこんな生活をしているのか?


 そこには貴族と平民の生活や慣習について記されていた。貴族は身支度や家事を使用人にしてもらうらしい。そして、舞踏会や祝宴会でのルール、マナー、お金の使い方まで、僕にとっての常識とは全く異なる。

 ここで過ごしていて感じたけど、貴族の生活は僕にとって非日常的だ。食事の配膳や衣類の準備まで使用人がしてくれた時は少し戸惑った。


 ――まずは、僕の事を詳しく知るべきか。それと、独立魔法騎士団の事も――


 トン、トン、トン

「どうぞ」

 そう言うと、レイネと食事を持って来た執事が入ってくる。


「おはよう、ジンク」

「おはよう」


 レイネに挨拶した僕は、読んでいた本を持って食事の席へ向かった。




 

 







お読みいただきありがとうございました!


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