騒動の謎2
就活中ではありますが、余裕が出てきたので執筆しました!
朝食を食べ終えた後は、昨日の案内を再開。と言っても、庭以外の案内は終わっていて、レイネと話をしながら庭を散策していたのだけど。
「へぇー、レイネは次期当主なんだね」
「そうだけど、ミルはまだ幼いからってだけよ。とは言っても、ミルはとても利口で賢いから、次期当主の座も危ういけどね」
言って、レイネは苦笑した。
ミル・アルグラント――レイネの妹で、3歳にして魔法を習得し、勉学に励む天才。レイネの家族がどんな人達なのか気になったので聞いてみると、家族――特に妹の事を自慢気に話した。
「……羨ましいな――」
「あなたにも家族はいるわよ?」
あっ……そっか、そうだよね。僕にも家族は当然いるよね。
「僕の家族については何か知ってる?」
「あなたの両親とは会った事は何度かあるけど……ふふっ――とても面白くて明るい両親よ」
レイネはそう言って笑う。
「そんなに面白いんだ」
「会ってみれば分かるわ」
面白くて明るい両親か……会ってみたいな。
「――お嬢様――いえ、レイネ様、そろそろお時間です」
「あら? もう、そんな時間?」
メイドの声かけに、意外そうに彼女は答えた。会話に夢中だったのかも知れない。
「ごめんなさい。仕事があるから、これから執務室に行かないと」
「分かった。頑張って」
レイネ・アルグラントは16歳。仕事をするにはまだ早い年頃のはずだけど……貴族にとってはこれが普通なのだろうか?
レイネとの会話を通して改めて思ったけど、今の僕には知らない事が多過ぎる。まずは、僕がいる場所について知っておかないといけないけど……その前に――。
僕は考えを巡らせながら、自分の部屋へ戻って行った。
僕は部屋に戻ると早速、棚に隠していた魔石を取り出した。銀髪の少女が渡してきた魔石だ。
青く輝く魔石に再び鑑定を掛ける。
「やっぱり……」
『これをあなたに渡しておくわ。あなたと私の魔力が貯まってるの』
彼女が行っていた事は本当だった。確かに、自分の魔力が貯まっているのが分かる。
魔石に魔力を貯める時、複数の魔力を貯めるためには同時に魔力を注がなければならない。
――つまり、過去に僕と彼女が同時に魔力を注いでいた事になる。
いいや、僕を攫おうとした時に、魔力を魔石に注がせた可能性もゼロとは言い切れない。
確か、とある国では恋人や親友と魔石に魔力を注ぐ事で、親しい関係である証とする文化がある。きっと、周辺、或いはこの国――ロックファリア王国の文化なんだろうけど……――駄目だ。やっぱり、歴史や地理、文化に関しての記憶はあまり思い出せないようだ。
「やっぱり、調べるしかないか……」
――――3階、執務室。
レイネは書類に目を通しては、押印――或いは訂正をしていた。
本来なら当主の役目だが、両親がいない以上、レイネが仕事をしなければならなかった。
「叔父様のお力添えがあったと言うのに……情けないわね」
アルグラント家の精鋭、叔父が派遣した国軍の兵――計200人余りがいたにもかかわらず、10人程度の侵入者を打倒する事は敵わず。その上、ジンクの部屋への侵入を許してしまった。
普通であれば、指揮官としての経験が乏しい点を考慮しても失態と言えるだろう。
侵入した集団は、たった10人で200人余りの精鋭に対抗できる実力。
報告では、侵入者の大半はレイネと同じくらいの背丈をしていたと言う。
銀髪の少女は剣術だけでなく風魔法にも秀でていたらしい。
――なぜ、彼女がジンクを狙ってるの?
レイネは彼女の正体に心当たりがあった。
侵入者がレイネと同年代である可能性が高い事にも驚いたが、それ以上に彼女がジンクの誘拐に加担していた事に驚いた。
平民が着るような素朴な白いワンピースを着ていたらしいが、銀髪に、剣も魔法も優れている者は限られている。自らの正体を隠すことより、目的を優先したのだろう。
そうなると、一つ疑問が浮かんでくる。
――彼女は、何をそんなに焦っていたのだろうか?
普通であれば、工作員を雇うなり、そうでなくとも自分の正体を隠すなりして自分が罪に問われないようにするはず。
しかし、銀髪の少女はそれをしていなかった。
身を隠す魔法、身を偽る魔法に関しては扱える者は少なく、魔道具も高値で取引されているが、彼女の身分であれば手に入れることは難しくないはず。
幾らジンクの魔力量が魅力的だとしても、急いでリスクを負う必要はない。経済的に困窮しているのか、或いは何らかの期限が迫っているのか――。
どちらにせよ、敵の正体が有名な実力者とその取り巻きである事はほぼ確定だろう。
「……厄介な事になりそうね」
そう呟きながら、レイネは眉を顰めた。
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