二十一.五話 純真と純愛
あれ?ミラの部屋だ。
あたし、オーカを助けようとして、鳥さんに魔法で……
「ミラぁぁ!!!」
「ミラ。よかった……」
ママ?何でそんな泣いてるの?そんなにギューしたらちょっと苦しいよ。
あ、パパも泣いてる。どうしたんだろ?
なんか頭がボーッとするなぁ。
「これミリ。そんなに強く抱きしめたらミラちゃんが苦しいだろうに。怪我は大丈夫さね。まだ、気を失ったショックで頭がボーッとするだろうけど、しばらく安静にしてれば問題ないさね」
エリエルさんだ。そっかあたし怪我してたんだ。
「ミラ。大丈夫?どこも痛くない?苦しくない?」
「大丈夫だよ。オーカとパルが守ってくれたから」
あたしがそう言うと皆悲しそうな顔をして、顔を見合わせる。
そうだよ。あの時、鳥さんに魔法でバーンでやられる時オーカが助けてくれたんだ。あたしはビックリしすぎて寝ちゃったけど。
「そう。またあの子達がミラを守ってくれたのね。でもミラ?もうあの子達とは会えないのよ」
えっ……
「なんで?」
ママにそう聞き返すと、またママは困った顔をする。
そしたら
「今二人とも怪我をしてしまって、しばらくは会えないって事だよ。元気になったらまたお礼を言いに行こう」
パパがそう言った。
「またたくさん怪我しちゃったの!?エリエルさん見に行ってあげないとダメだよ」
「大丈夫。他の優秀な医術師があの子らを見てるさね」
そうして皆は今日はゆっくり寝なさい、と言って部屋を出て行った。
なんか分からないけど、皆様子がおかしい気がした。でもよく分からないからまたすぐに寝た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「パパ!オーダー!ラーハン二つとチャメン一つ!」
「あいよーっ!」
今はお昼時。この時間はいつも席がいっぱいになって外には並んでる人達がいる。あたしは今日も良い子にたくさんお手伝いをする。
ミラのお家は“赤の雀亭”。
今ではとっても有名なミラの自慢のお店。
「ミラちゃーん!手が空いたらこっちオーダーお願い!」
「今行きまーす!」
お客さんは忙しいのを分かってくれて、少し待ってもらったり、間違えちゃっても怒らない良い人ばっかり。パパとママもたくさん褒めてくれて私はとても幸せだと思う。……でも“あれ以来”あたしは一つだけ納得できないことが出来ました。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「今日もありがとうございました!またお願いしまーす!」
あたしは最後のお客さんをお見送りして、店の看板をしまう。
「ふぅ、今日もお疲れ様でした!」
「「お疲れ様でした!」」
あたし達は店の片付けを始める。片付けをしながら、あれ以来、毎日している同じ質問を今日もまたする。
「ねぇ、パパ。オーカとパルにはまだ会えないの?」
「……まだ、会えないらしいぞ?体調もよくないらしい。ねぇ、ママ?」
「そ、そうよ。まだまだかかるわね……そうだ!ミラ!常連のアリーさんがアキナールのお土産でプリン貰ったわよ!」
「……いらなーい」
あの事件から二週間くらい経った。その時からオーカとパルのことを聞くと決まって“会えない”って言われる。
何でか分かんないけどパパとママが変だ。なんか隠してるみたい。聞いても教えてくれない。良い子にしてれば教えてくれるかもしれないから、あれからミラはいつも以上に良い子にしてる。
でも、やっぱり教えてくれない。
そうしてお片付けが終わると、いつもの公園に行く。もしかしたらオーカとパルがいるかもしれないから。
でも居ない。
今日もやっぱり居ない。
オーカ大丈夫かなぁ。
一番大怪我してたからなぁ。
オーカは今また一人ぼっちなのかなぁ。
オーカはパルとミラと出会うまではずっと一人ぼっちだったらしい。
ミラ達と遊ぶようになっても、夜ミラ達が帰ると一人ぼっちになっちゃってた。
オーカは寂しくないって言うけど、ミラだったら寂しくて死んじゃう。
だからオーカには、今パルが居ないならミラが居てあげないとダメなんだもん。
どうしたらママとパパはオーカに会わせてくれるんだろう。
「またここに来てたのか。もう暗くなるぞ?」
「パパ」
考え事してボーッとしてたら遅い時間になっちゃった。
よし。決めた。
ママがいない今しかない。
「さ、帰ろう。ママも心配してるし、プリンもあるしな」
本当は言いたくなかったけど仕方ない。
「パパ。ミラね。大きくなったらオーカのお嫁さんになりたいの」
「はいぃっ?!」
「ミラが一緒に居てあげないと、オーカはいつも無理して寂しくなっちゃうの。だから、ミラが一緒に居てあげたいの!」
「ミラちゃん?急にどうしたのかな?」
パパが変な笑い方をしながらドーヨーしてる。
「これはあたしの秘密。ミラしか知らない秘密なの。これをパパだけに教えてあげたの。だから、オーカとパルと会ったらダメなの、なんでか教えて?」
あたしの秘密を先に言ってパパの隠し事無理矢理教えてもらおう作戦!
なんかこれ、パルみたい。
「…………危ない目にあって欲しくないんだ。あの子達と関わってから何度も危険なことに巻き込まれているだろう?だからパパとママはあの子達と、もう遊んで欲しくないんだ」
「え?何言ってるの?この前のはミラが言い出したことだよ?オーカ達と初めて会った時だって、ミラが一人で悪い人に連れてかれたんだよ?全部助けてくれたのはオーカとパルだよ!?」
「分かってる。だけど、あの子達と関わらなければ怖い思いはしなくて済むだろう?今まで通りパパとママのお手伝いをして、家族で楽しく過ごせば良いじゃないか」
ミラの初めてのお友達なのに。
全部ミラのせいなのに。
オーカとパルは悪くないのに。
「なんでそんな悲しい事言うの?……もう、嫌い。パパなんか大っ嫌い!」
「分かった!!!」
ミラの大きな声がパパのもっと大きな声で消える。
「ミラがオーカ君の事を好きなのは分かった。でもパパがミラを心配してるのも分かってくれ。だから、こうしよう。勝負だミラ。」
「え?」
「ミラがそれだけ好きな相手だ。オーカ君だって、もちろんパル君だってミラに会いたいはずだろう?それなら、あの子達がミラに会いに来たら、パパはもう何も言わない。今、あの子達が大きな怪我をしているのは本当だ。その後どうなったかは分からないが治ったら、きっと会いに来るはずだろう?どうだ?ミラ」
会いに、来てくれるかな?
いや、きっと来る!絶対来るもん!
オーカとパルはミラに会いに来てくれる!
あんまり自信ないけど。
パルが言ってたもん。オーカは友達を絶対に裏切らないって。
だからまた、三人で一緒に会える。
そしたらたくさんごめんなさいして、ご飯作ってあげるんだ。
「いいよ。分かった。そしたらミラはオーカのお嫁さんになれるんだよね?良い子に待って、良いお嫁さんになる!」
「いや!お嫁さんとかはまた話は違うよ!?お友達としてっ…………はぁ。分かった。仮にそうなったらパパもママを説得する事を約束するよ」
「決まりだね!嘘ついたらパパとずっと喋ってあげないからね!」
私は絶対に諦めないもん。きっと来てくれる。何年でも、何歳になっても待ってる。
信じてる。




