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レッド・ムーン  作者: 翡翠蝶
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魔界図書館の猫妖精

「お願いします!」

「駄目、絶対駄目。」

梨亜が必死に頼み込むが華蓮はガンとして首を縦に振らない。

「魔界図書館ね。ワタクシ行った事は無いけれど、そんな書が在ると聞いたわ。」

需浬が苦笑する。

「華蓮、連れて行ったら如何なのだよ?」

眞李は華蓮を見る。

「朱蘭の過去を知るなんて・・・・・朱蘭に辛い思いさせるだけじゃない!」

「だが、楓雷には過去を知る権利が有る。」

吋土の言葉に華蓮は押し黙った。

「華蓮、連れて行って上げなさいよ。こんなに頼み込んでるんだから。ね?」

需浬は優しく言う。

「・・・・・・・・・・・・判ったわよ。連れて行けば良いんでしょ。」

嫌そうに華蓮は頷いた。




魔界図書館 壱階いっかい 魔法書の間

華蓮と一緒に魔界図書館に来た妖怪と巫女。

そして、その大きさに華蓮以外の皆は圧倒されていた。

「凄い・・・・」

梨亜は目を丸くする。

「外から見てもデカかったけど、中もスゲーな!」

魔界図書館は、五階まで在り、一つの階事に本が分類されていた。壱階は魔法書の間。弐階は生物書の間。参階は呪術書の間。四階と五階は立ち入り禁止だ。

本棚は天井に近い高さでどれもキッチリ本が入れられている。

様々な生き物が本を読んだり本棚を眺めたりしている。司書らしき服を着ているのは全部猫だ。

「猫が一杯いますね・・・・」

「あれは、猫妖精と云う生き物だ。此処の司書は全員猫妖精なのか?」

楓雷は眉を寄せる。

「そうだけど?別に関係無いでしょ?ほら、行くわよ。」

華蓮はサッサと先に行ってしまう。

「『過去の書』は何処に在るんだい?」

「大丈夫よ。知ってるから。」

華蓮は、大きな魔法陣の中に立った。

「「「「「?」」」」」

「早く乗りなさいよ。」

華蓮は不機嫌そうに睨む。

「乗るって・・・・」

「コレ、魔法陣・・・だよねぇ?」

首を捻りつつも魔法陣の中に立つ。

すると、

「ブァン!」

と魔法陣が光り、魔法陣が六人を乗せて浮き上がって行く。

「ええ?!」

「スゲー!」

「予想してなかったからビックリだよ。」

「此れは、図書館の移動用魔法陣。簡単に言えば、エレベーターみたいな物ね。」

華蓮は驚く妖怪達を白い目で見ながら話す。

「貴方達、本当に何にも知らないのね。」

華蓮は下を向く。

「・・・・・・・ま、関係無いけど。」

魔法陣は、天井を通り抜けて行く。

そして参階の天井を通り抜けるとゆっくりと光が薄くなり、止まった。


魔界図書館 四階 関係者以外立ち入り禁止の階    

「此処は?」

「危険な本や持ち出し禁止の本なんかが置いてある。で、館長が居る所。」

長い廊下に扉が沢山付いている。

華蓮は、何の躊躇いも無く廊下の端の部屋に入る。

「華蓮?華蓮じゃないかニャ?」

部屋の真ん中に置かれた机と椅子。

なんと椅子に座っているのは、三毛猫だ。三毛猫は綺麗な白い服を着ている。

「猫?」

「予想はしていたが・・・・」

「何か、引くよな。」

「驚きの連続だね。楽しいな。」

「この状況を楽しめるのは、お前だけだ。」

華蓮は自由に喋る者達を睨むと机に歩み寄る。

「元気にしてた?ヴェル。」

「当然ニャ。けど、華蓮がお客を連れて来るとは珍しいニャね。」

ヴェルと呼ばれた三毛猫は椅子から下りると二本足で立った。

目を丸くするお客に礼をする。

「初めましてニャ。猫妖精のヴェルディン・キャデラですニャ。ヴェルって呼んでニャ。宜しくですニャ。」

「朱蘭さんの所にも黒猫が居ましたよね?」

「ミッドナイト様は格が違いますニャ。我ら猫妖精はとてもじゃニャいけど、敵いませんニャ。」

「そんなに凄いのか・・・・あの猫・・・」

華蓮はヴェルは話し掛ける。

「ヴェル。実は貴方に折り入って頼みが有るんだけど。良いかしら?」

「何ニャ?」

「実は、『過去の書』を見せて貰いたいの。」

「如何してニャン?」

華蓮は、お客の方を見る。

「訳はあの人達から聞いて。」



「・・・・・ニャるほど~。」

『過去の書』が見たい理由を大まかに聞いたヴェルは重々しく頷く。

「ヴェルさん。お願いします、見せて下さい!」

梨亜は真剣に頼み込む。

「見せて遣っても良いんだけどニャ。」

ヴェルは困ったようにヒゲを弄る。

「『過去の書』を見れば判るんだよね?」

蝋火が確かめるように聞く。

「そうニャ。『過去の書』は読む人が一番知りたい過去を教えてくれるニャ。けどニャン。」

ヴェルは言葉を切った。

「書を見れるのは一人だけ。それも一番思いが強い人だけなの。」

華蓮が中々言わないヴェルの後を次いで言う。

「思いが強くなければ書は何も教えてはくれない。中途半端な気持ちで開く本じゃない。」

「それなら、勿論書を見るのは楓雷だな。」

怜川がニッと笑った。

「そうだな。一番知りたいと願うのは楓雷だ。」

吋土も納得の笑みを浮かべる。

「私・・・・が?」

楓雷は驚いた顔をする。

「当然だよ?君は過去と向き合う強い心を持ってるだろう?」

蝋火も優しく言う。

「・・・・・・判った。私が『過去の書』を開く!」

楓雷は決意した。

華蓮はヴェルとアイコンタクトを交わす。

「・・・・・・承知したニャ。じゃあ蛇妖怪さんは一緒に来てニャ。」

ヴェルはドアを開ける時、後ろを振り返る。

「他の人は待っててニャ。」

ドアが閉まった。

「大丈夫でしょうか?」

「安心しろ。アイツは強いし。何が有っても大丈夫だ!」

怜川の言葉に華蓮以外の者は一斉に神妙な表情で頷いた。

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