【第97話】久しぶりのダンジョン攻略
考えをまとめた俺は早速バレッサと相談をしようと思ったがこの時間何処に居るのかわからない。
更に言えばダンジョンを攻略している際の時間の関係を考えればアリスとサーシャも含めて話をしたほうが良いかも知れない。
そう考えた俺は今日の夕飯で相談を行う方が一番効率が良い気がしたので三人に手紙の魔道具を飛ばした。
結果として三人が話を聞いてくれるとのことだったので俺はいつもよりも人数多めの夕飯を作ることにした。
醤油が手に入れば今後更に味のレパートリーが格段に増えるのだが・・・。
うーむ。過去この世界に飛ばされた迷い人が醤油を作っていたりしないだろうか。
今日の夕飯は俺の特性のつけダレを着けた唐揚げもどきにすることにした。
準備をしていると今日はバレッサを招待した関係で料理人も二人こちらに来た。
「悪いね、ルーク。突然こちらにバレッサさんを呼び出すことになってしまって。」
「いえ、丁度始めようと思っていた時に連絡が来ましたし、それにススム様に頂いた時を止める収納鞄がありますので。」
「本当にこれ便利だよね。」
今日の元々の料理支援のために来ていたマフィと本来であればバレッサ宅で調理をする予定だったルークもこちらに合流し調理を開始する。
既に唐揚げもどきのタレは作ってはあるが、一応作り方を教え3分クッキングの様に途中から時を詰める収納鞄から完成したものを取り出す。
味付けの関係上、唐揚げとフライドチキンを足して2で割ったような物が出来上がった。
丁度料理ができ始めた頃、招待していた三人に加え予想はしていたが前伯爵も一緒だったようだ。
「今日は招待いただきありがとうございます。ススム様。」
「いえ、僕としても非常に重要な相談があったので。それでヴォルフガング様は・・・?」
「丁度、バレッサと話をしている時にススムから手紙が飛んできたのでな。」
「そうですか。でも、今日は来ると聞いていませんが?」
「がっはっは!だが用意はしてくれているのだろう?」
「・・・ええ、まあ・・・。」
「流石ススムだ!」
既に1週間の内半分以上の日を我が家に食べに来ているのだからそれは用意しておいたほうが確率は高いだろう・・・。
食事も大人数になっていることから最近は二手に分かれて食べることがほぼ当たり前のようになっている。
まあその分、重要な話もしやすいので助かってはいるが。
そして食事が始まるとやはり唐揚げもどきは箸が進む。
暫くは食事を楽しんだ後に本題の話を切り出した。
「バレッサさん、今日はお忙しい所本当に突然すみませんでした。」
「良いんですよ。最近は比較的落ち着いてきておりましたし、新たな話でもそろそろ来そうだなと思っていた頃合いでしたので。」
「あはは。ススム君バレバレだねえ。」
アリスはニヤニヤと笑いながら俺の顔を見ている。
ぐう!だがほっぺにコメが付いているぞアリス。
それに気がついたサーシャがアリスのの顔を拭いてあげていてアリスは照れていた。
「本題なのですが、実は暫く振りに一時的なダンジョンを攻略し、自身のレベルを上げる『必要性』が出てきました。ですのでダンジョンに潜る間隔を調整し、商業ギルド員達への書類の書き方やそろばんの使い方などを教えるタイミングを考える必要があり、今日はバレッサさんにお越しいただきました。」
「ダンジョンに潜る『必要性』ですか?」
バレッサは事態が理解できない様子であったが俺は説明する気はない。
「はい。これは僕特有の理解できない行動だとででも思っておいて下さい。」
「なるほど。そう言われてしまえば何も聞けませんね。人員の選定事態は実は済んでおります。なので後は日程の調整だけになりますが。」
流石バレッサだ。
既に俺の行動を先読みしてどんどん事を進行させてくれている。
「非常に助かります。そうですね。そちらのダンジョンの特性上、一度潜ったら度のタイミングでこちらに戻ってこれるかわからないという不確定さがあります。ですのでこちらで3日間勉強会を行ったら一度ダンジョンに潜り、戻ってきた翌日から再び3日間の勉強という調子ではどうでしょうか?」
「ええ、問題は有りません。いつから致しましょうか?」
「可能でしたら明日最初の勉強会をしたいと思います。」
「・・・随分急ぎの用事なんですね。」
「はい。」
「ススムよ。学校の運営等についてはこちらでしっかりサポートさせてもらう。御主は御主しか出来ないことに集中すると良い。」
そういい、前伯爵がどんと胸を鳴らす。
「非常に助かります。本当に学校長がヴォルフガング様で良かったとつくづく思います。」
俺はそう言い笑顔で答える。
「では私はダンジョンのピースを更に集めますね。」
そう言い、サーシャは【呪われた】ダンジョンのピース集めを加速させることを約束してくれる。
「うー。私は・・・。」
アリスが自分だけ仕事がないことに不安げになるが俺が言葉を添える。
「アリスさんとサーシャさんは僕の無事の帰りを待っていてくれればそれでいいです。帰りを待ってくれている者が居るというのはそれだけで活力になりますから。」
俺の言葉を聞き、アリスが満面の笑顔で頷いていくれる。
「少なくとも自分は最低でも10回はダンジョンに潜る予定です。なので今までよりも遥かにスラム街に対しての力添えができなくなりますがそこは宜しくお願い致します。」
俺が頭を下げると皆が俺を応援してくれる。
翌日から早速商業ギルドに赴き、資料の作り方とそろばんの使い方を教えることになる。
面白かったのは皆、各々の手に俺が考えた各種文房具類を手にしていたことだ。
日本で暮らしていた時は、憎しの象徴だった文房具類もこの世界で改めて見ると味方が大きく変わるのを自身でも感じていた。
収入になるし、基本良いことだらけだよな。
基本的に受講するどの職員達もやる気がある上に元々の地頭が非常に良く、直ぐに吸収していくのが良くわかった。
質問もバシバシ飛んできて俺自身勉強になる日だった。
受講の時間を終え、俺は一応スラム街へと顔を出し日報を確認し問題がないことを確認する。
「うーむ。今日も非常に順調だな。」
日報で書かれていて非常に面白かったのは学校に遂に掲げられることとなった、ルミナス王国の国旗だ。
以前ルビアは学校がまだアジトとして使われていた際は要塞化して近寄れなようにしていた。
そしてその解除を依頼した際もまた抑止力が無くなると非常に恐れていたが、今回のこの国旗が掲げられたことにより学校付近に今までちょっかいを出していたような連中なども一切消えたということが書かれている。
国旗が掲げられている施設などに攻撃をした場合、程度は関係なく死罪だ。
それをよくよく理解しているようで最強の抑止力を得た様子であった。
家に帰り夕食後にサーシャにお願いをして現状集まっている【呪われた】ダンジョンのピースを見せてもらうことにすると非常に驚いた。
なんとストックの数が数倍程度まで増えていたのだ。
「頑張りました!」と胸を張っているが頑張ってどうにかなるものなのだろうかというレベルの増え方だった。
まあ、そのお陰で早々に次に突入する一時的なダンジョンが作成出来た。
『ダンジョンの入口を発見しました。』
名前:“枯れた地で” “吠える” “獅子達の” ダンジョン
推奨レベル:37
ということで、次の獲物はもしかしたら獅子型になるかも知れないと思い、久しぶりに『ビルド』を見直すも現状では特に変更点はない。
今後手に入るであろう【呪われた装備】等に期待だ。
俺は残り二日を商業ギルドでの受講の後、薬品類なども買い貯めし着々と準備を整えそしてダンジョン突入の日を迎える。
「気をつけていってくるんだよ!これお弁当ね!」
アリスから穴熊サンドを幾つか渡されそれをしっかりと時が止まる収納鞄に入れる。
「ありがとう。大切に頂くね。」
「気をつけて帰ってきてくださいね。」
「うん。では行ってきます。」
俺は見送りを受けながら【呪われた】ダンジョンへと突入する。




