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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
31.2つの終わりと2つの始まり

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その8

 さて、おざなりになっていた別のラブコメの話である。


(やれやれ、我ながらお節介だと思うが、兄貴分として、この国の為にも動くべきだよな)

 ミモクラ侯爵クルスは、腕組みをしていた。


 彼がいる場所は、自分の執務室。


 珍しく1人でジッと座っていた。


 ここで、王国最大の懸案事項を解決するべく蠢動?暗躍?活躍するべく活動を開始していた。


 有能な軍人であるとは言え、これは国家の大事。


 大事すぎる大事。


 自分1人では手に負えないと考え、きちんと援軍を呼んでいた。


 当然、その相手は朴念仁ではない。


 朴念仁は軍事以外に頼りにならないから呼ばない訳ではなかった。


 あちら側の人間なので、呼ぶなど論外であった。


 今回の大事は、母親である王嗣ラ・ミミから成功させるように厳命が下っていた。


 もしこれに失敗したら、ロジオール家は分裂するだろう。


 それくらいの覚悟を持って、クルスは臨んでいた。


 普段軽口ばかり叩いているクルスだが、人生最大の試練と思い、妙な?微妙な?そこはかとない?緊張感を持っていた。


「ミモクラ侯爵閣下、ヘーネス公爵閣下ならびにローア伯爵閣下がお見えです」

 扉の外から副官リミトの声がした。


「お通ししてくれ」

 クルスはそう言うと立ち上がった。


「失礼します、ミモクラ侯」

 ヘーネス公ヤルスは一礼して、部屋に入ってきた。


「失礼致します、侯爵閣下」

 続いて、宮内庁長官のローア伯が入ってきた。


「お二人共、わざわざお越し頂き、ありがとうございます」

 クルスは、そう言いながら2人を招き入れ、着席を促した。


 そして、ヤルス、クルス、ローア伯の順で席に着いた。


 無論、爵位の順番である。


「今回、お越し頂いたのは、言うまでもありません。

 例の件です」

 クルスは、前置きなしに早速議題を始めた。


 それくらい、切羽詰まっての事なのだろう。


 とは言え、ここには自分より爵位も地位も上のものがいる。


 果たしてどうしたものかと、今更ながら思った。


「いえ、お気になさらず。

 王嗣殿下からのご下命です」

 ヤルスは、ふと自分の方を見たクルスに対して、何を考えているか直ぐに察したように言った。


 一応、従兄弟同士である。


 仲がいいとは言い難いが、まあ、悪くないし、幼少の頃からの付き合いだ。


 何を考えているかぐらいは大体分かる。


 たぶん……。


「はぁ……」

 クルスは、出始めは勢いよく言ったが、やっぱり気になるものは気になってしまう。


 これでも、貴族である。


「この件に関しましては、侯のグイグイ行く突破力が必要なのです。

 この際、貴族の序列など、些細な事です。

 王国の未来が掛かっています」

 ヤルスは、念押しするようにそう言った。


 実際、ヤルスにとっては、クルスは同年代。


 何を遠慮する必要があるのかとも思っていた。


「……」

 とは言え、クルスは直ぐに続けようとしなかった。


 意外に、気が回るのかも知れない。


「首席大臣閣下がこうまで仰っているのです。

 ミモクラ侯爵閣下が先頭に立ち、首相閣下がフォローする。

 そして、儀式全般の準備は私が執り行うという事で、よろしいのではないのでしょうか?

 最適な布陣かと愚考申し上げます」

 ローア伯はこの場の年長らしく、やんわりとまとめた。


「了解しました」

とクルスは納得した顔でそう言うと、

「では、早速、議題に入ります」

と真顔に変わった。


 あ、もう、いい加減にしろよと言う事だと思いますが、議題は例のあれです。


 そう、リ・リラとエリオの結婚式の件です。


 普通なら2人が主体的にやるべきなのでしょうが、まあ、女王の結婚ですからね。


 そうも行かない事は明白である。


 ま、と言うより、放っておくと、いつまでも進まないので、ラ・ミミが強硬手段に出たと言った方が分かりやすかった。


 放っておくのも面白いのだが、自分達に害悪が降りかかってくるので、そうも行かないのだった。


 要するに、物語の登場人物達からもいい加減にしろという事なのだろう。


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