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クライセン艦隊とルディラン艦隊 第3巻  作者: 妄子《もうす》
30.事後処理

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その11

 さて、ぐだぐたと書いていったが、ようやく会談である。


 フランデブルグ伯一行は、会議室へと通された。


 案内されている間、フランデブルグ伯は強制連行されている気分になっていた。


 敗軍の将であるからその印象は間違いがないだろう。


 しかも、微妙であるが神域での戦闘行為である。


 有利な点が見つからないくらいの立場である。


(これはどういう事だ?)

 フランデブルグ伯は、リーラン側を見て愕然とした。


 既にリーラン側は全員席に座って、待機状態にあった。


 まあ、それ自体はおかしな事ではない。


 この場には、法王も枢密院のメンバーもいない。


 法国側でいるのは、両国の世話係のみだった。


 だが、出世欲の強いフランデブルグ伯は、敏感に場の空気を察していた。


 そう、既に、リーラン側と法国側で話が付いているという事を。


 フランデブルグ伯は、導かれるままに席に着いた。


 勿論、絶望的な気持ちでである。


 会議室に入ってきた時も絶望的な嫌な気持ちだったが、今はそれ以上な状態も有り得るのだと実感していた。


 まっ、得てして、人生なんてそんなもんである。


 フランデブルグ伯は、ふと前を向いた。


 向かい側には、エリオがいた。


 エリオは、いつも通りの表情をしていた。


 多くは突っ込まないで頂きたい。


 フランデブルグ伯はその表情を見て、唖然とする他なかった。


 こう言った状況だと、必ず相手は勝ち誇ったように、蔑みの視線を送ってくるからだ。


 そして、そこから挽回するのがフランデブルグ伯の真骨頂でもある。


 でも、まあ、それは今回に限りっては、もう決着が付いてしまったのだからどうしようもないとは感じていた。


 だが、どうにもこうにも勝手が違うのだ。


 とは言え、これではっきりはした。


 フランデブルグ伯もマニア側の人間だった。


 自分より遙かに若いこの人物に只ならぬ空気を読み取っていた。


「あ、そうですな、こう言った場ですが、まずはご挨拶を」

 エリオは、フランデブルグ伯にジッと見られていたので、そう口を開いた。


「!!!」

 フランデブルグ伯は、明らかに動揺していた。


 それが、シーサク側の面々に伝播していった。


「お初にお目にかかります、フランデブルグ伯。

 リーラン王国のクライセン公エリオです」

 エリオは、微妙な空気に構わずに自己紹介した。


「これはご丁寧に。

 シーサク王国のフランデブルグ伯ロイズです」

 フランデブルグ伯は、エリオに押されながらも自己紹介した。


「こう言った場でお初にお目に掛かるのは、不本意ですが、これも運命ですかね」

 エリオは、本当に残念そうにそう言った。


「ははは……、そうですね」

 フランデブルグ伯は、力なく笑って同意する他なかった。


 エリオを初めて見ると、突っかかる人間が多い中、伯爵は理性を保っていた。


 と言うより、事前の想像と目の前の印象に整合性がとれないのだろう。


 それによって、得体の知れない何かを相手にしていて、どうしたものかと言った感じだった。


「両閣下、法王猊下がお出ましです」

 扉の傍にいた法国のお世話係が、2人に声を掛けた。


 エリオは、その言葉で口を噤み、さっと立ち上がった。


 それに倣うかのように、座っていた全員が立ち上がった。


 それを確認すると、扉の傍にいたお世話係が、扉を開いた。


 すると、法王を先頭に、枢密院のメンバーを引き連れるように会議室の中に入ってきた。


 そして、法王は自分の席の前までゆっくりと歩いて行った。


 枢密院のメンバーは、法王の席の後ろ側にある自分の席へと一列になって歩いて行った。


 法王が自分の席の前に着くと同時に、枢密院のメンバーも自分の席の前へと着いていた。


 一糸乱れぬ行動である。


 法王が、リーラン・シーサクの面々に顔を向けると、リーラン・シーサクの面々は一礼した。


「皆さん、お掛け下さい」

 法王は、返礼するとそう声を掛けた。


 面々はそう言われると、ゆっくりと腰掛けた。


 全員、座ったのを確認すると、法王は自分の席に座った。


 と同時に、枢密院のメンバーも座った。


 こうして、結論の出た会議が始まった。


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